
2025.02.07
パナソニックグループのひと
Panasonic HXで、クリーンな脱炭素社会を目指す:保田 繁樹
シリーズ:

水素事業の基盤構築に挑むトップランナー
保田 繁樹
パナソニック株式会社
グローバル環境事業開発センター
やすだ・しげき 2003年入社。燃料電池の技術開発を担当。2010年にドイツに赴任し、欧州向け燃料電池の市場導入に貢献。2024年に現職となり、工場の電力を再生可能エネルギーで賄う実証設備の導入と、Panasonic HXの事業基盤の構築に携わっている。
海外初の「3電池連携」へ
私は2024年5月から英国で、工場の電力を再生可能エネルギーで賄う実証設備の導入と、Panasonic HX*1の事業基盤の構築に携わっています。ミッションは、海外初の純水素型燃料電池、太陽電池、蓄電池の連携に向けた、①パナソニック マニュファクチャリング イギリス株式会社への実証設備の導入②今後の社会実装に向けた事業基盤の構築③海外向け燃料電池の新たなマーケット開拓です。
*1: 水素を活用するパナソニックのエネルギーソリューションの総称。環境負荷の少ない水素(H)の本格活用で新たな選択肢を提案し、パートナー企業や行政、ビジネス顧客とのコラボレーション(X)により、脱炭素社会へのトランスフォーメーション(X)に貢献していく決意を込めている。

※Panasonic HXを象徴するCGイメージ。実際に存在する施設ではありません。

パナソニックが25年かけて培った燃料電池技術を生かし、水素を活用して工場に電力と熱エネルギーを供給する海外初の実証設備を、2024年12月に英国に導入しました。ここを、脱炭素社会の実現に向けてパートナー企業や行政、ビジネス顧客との共創を図るショーケースとして、水素事業の基盤構築に挑んでいます。クリーンエネルギーである水素の活用は、脱炭素を通じた地球環境問題の解決において、重要な要素の一つ。工場の電力を再生可能エネルギーで賄うこの実証は、今後の社会実装への大きな一歩です。
英国での実証で得たデータとノウハウを、次につなげることにも取り組んでいます。今回直面した主な課題は、①英国の建設プロセスの知識がなく、全てが手探りで、さまざまな想定外の事案に対し、速やかな解決が求められたこと➁設計会社との安全設計の議論が難航し、水素の安全性に対する認知度を上げる必要があったこと③契約の入り口でしっかり擦り合わせないと思い通りに進まない、現地パートナーとの連携の難しさ。
これらの解決に向け、最も助けられたのは、仲間たちの粘り強さ、特に日本からの支援でした。立ち上げの中心メンバー3人だけでは考えが硬直しがちで、孤立感もありましたが、日本から手厚くサポートしてもらい、問題が起きても「ここさえ突破すれば」と前向きになれました。「やり切ろう」と全員が気持ちを一つにしていたので、たとえかすかな光でも、解決の方向性を見いだせたのです。
成功するまで、先頭を走り続ける

競争力強化で大事なのは、先頭を走り続けることです。それができれば、お客様の声をいち早く捉え、商品やサービスで優位に立てます。その上で、PLP*2がうたう「お客さま起点で考える」が肝要に。私は技術畑を歩んできたので、組織の中で仕事が閉じることが多かったのですが、外に出てお客様に接し、カルチャーが全く違うことが多いと気付きました。ここ英国から私が確信を持って言えるのは、お客様の声を事業開発に生かす、そのPDCAを高速で回す仕組みが競争力強化のカギになるということです。水素の価値をお客様にしっかりお伝えする双方向性も大事だと、最近は感じています。
*2: Panasonic Leadership Principles:経営基本方針の実践を目指すためのグループ共通の行動指針。
3電池連携の競争力を高め、世界に類を見ないソリューションを、強い商材やサービスに仕立て上げる―。ここがわれわれの一丁目一番地です。パナソニックの強みのさらなる進化に取り組み、環境先進地域の欧州を皮切りに、将来はグローバルに展開していく予定です。

私は入社以来、燃料電池の開発に携わってきました。クリーンエネルギーである水素を社会に実装していく、その一翼を担えることを誇りに思います。水素が当たり前にある社会の基盤を構築し、次世代の人々が豊かな環境で無理なく生活ができるようにしたい、それが私の夢です。
今回の実証は、あくまでもスタート地点に過ぎません。われわれの価値を確実に実現するまで、トップランナーの自覚を持ってお客様と共に走り続けます。
記事の内容は公開時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
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