
2025年12月11日
- サステナビリティ
- プレスリリース
- 企業・経営
- Panasonic GREEN IMPACT
- 環境・サステナビリティ
- ESG経営

世界のCO2排出量のうち、およそ4分の1は人やモノの移動・輸送に由来すると言われる中、電気自動車(EV)の普及によるCO2排出量の削減は、脱炭素社会の実現に向け、大きな貢献が期待されている。2025年7月、パナソニック エナジー株式会社(以下、パナソニック エナジー)は、米国カンザス州で車載用円筒形リチウムイオン電池の新工場を稼働開始した。同工場はネバダ工場に続く北米第二の車載電池生産拠点となる。
同社の北米における車載電池事業の拡大は、パナソニックグループの長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」が掲げる四つのインパクトのうち、既存事業を通じて社会のCO2排出削減に貢献する「CONTRIBUTION IMPACT」を体現するもの。地域社会と緊密に協働し、雇用創出や地域の高等教育機関との産学連携を通じて、持続可能な社会の実現を目指していく。
米国カンザス州デソト市で稼働を開始したパナソニック エナジーのカンザス工場は、約120万m2の敷地を誇る北米最大級の車載用リチウムイオン電池工場だ。車載用円筒形リチウムイオン電池「2170」を量産し、日本と北米の2軸体制による車載事業拡大の中核を担う。2017年に稼働したネバダ工場に続き、北米における第二の生産拠点として新工場を立ち上げ、両工場をフル稼働させることで、世界有数の生産能力を備えた体制を構築する計画だ。
カンザス州デソト市の新工場
2025年7月14日、デソト市で行われた開所式には、ジェリー・モラン米国上院議員、デイビッド・トーランド カンザス州副知事、リック・ウォーカー市長をはじめ、州政府および連邦議会関係者、日本政府関係者、顧客企業やサプライヤーなど約400人が出席した。
式典冒頭で、パナソニック ホールディングス株式会社 グループCEO 楠見 雄規(くすみ ゆうき)は次のように述べた。「カンザス工場は、EV市場の成長と脱炭素社会の実現に貢献する重要な拠点です。雇用創出、教育機関との連携、技術革新を通じて、地域社会と共に未来を築く象徴であり、パナソニックの誇りです。カンザス州およびパートナーの皆さんのご支援に心より感謝申し上げます」
カンザス州選出のジェリー・モラン米国上院議員は次のように語った。「カンザス工場は、カンザス州の技術力と労働力の信頼性を証明するプロジェクトです。クリーンエネルギーと製造業の融合は、国家レベルでも重要な意味を持ちます。この電池工場は、地域の若者に新たなキャリアの道を開くでしょう」カンザス州政府および連邦政府関係からも期待の声が寄せられた。
日本で車載電池の生産を開始したパナソニック エナジーは、その後、北米市場においても業界に先駆けて高性能・高品質な円筒形リチウムイオン電池の生産を拡大展開し、EV市場形成に貢献してきた。
約30年におよぶリチウムイオン電池生産の実績、そして約8年にわたるネバダ工場での生産で蓄積してきた技術とノウハウを生かし、カンザス工場ではさらなるモノづくりの進化と早期の安定生産の実現を目指す。最適なレイアウト設計や自動化・省人化により工場全体の生産性をネバダ工場比で約20%向上させており、高いコスト競争力の実現を図る。今後はセル容量を約5%高める新材料を用いた製品の投入も計画中だ。
同時に、パナソニック エナジーは、カンザス工場を含む北米での電池生産活動に伴う環境負荷低減にも取り組んでおり、2030年度に2021年度比で車載用リチウムイオン電池のカーボンフットプリント(CFP)(※2)を50%低減(※3)することを目標に掲げている。製品CFPの8割以上(※4)は資源採掘や原料加工などサプライチェーンの川上において発生するため、現地調達化やリサイクル材の利用、レアメタルの利用削減などの体制を構築することで、より効果的なCO2削減対策を推進している。
※2 カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products):原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスをCO2換算で表した数値
※3 北米工場生産品の電池単位容量あたりのCO2排出量
※4 2021年度 パナソニック エナジーによる試算
パナソニック エナジーは生産開始以来でEV約400万台分に相当する約200億個ものリチウムイオン電池を供給しており、その間、同社の電池起因による車両リコールは発生していない。この実績を基に、北米における現地生産によって電池を安定供給し、EV普及をさらに加速させることで、脱炭素社会の実現に貢献していく。
パナソニック エナジー北米株式会社 CEOの高本 泰明(たかもと やすあき)は、カンザス工場と同社の果たす役割について次のように表明した。「カンザス工場は、EV市場の成長と持続可能な社会の実現に向けた挑戦の最前線です。北米市場でのEV用電池生産リーダーとして、私たちはさらなる高みを目指し、未来を変える力をここから生み出します」
パナソニック エナジー北米株式会社 CEO 高本 泰明(たかもと やすあき)
カンザス工場の稼働は、同州史上最大の経済開発プロジェクトでもある。最大約4,000人の直接雇用に加え、サプライヤーなど関連企業を含めると約8,000人の新規雇用創出が見込まれ、年間25億ドルの経済効果が期待されている。
パナソニック エナジーは、カンザス工場の稼働を通して、地域社会の持続的な発展にも貢献することを目指している。農業が主要産業だったカンザス州では、大学卒業後に多くの若者が州外で職を求める状況が続いており、地域課題となっていた。若者が夢を持ち、意欲的に働ける環境づくりに取り組む地域の人々の思いは、パナソニック エナジーのミッションと共鳴するものと確信している。
実際、州や郡の教育担当者からは、人材育成での連携要請など、熱心な支援が寄せられており、持続的なハイテク人材の雇用機会創出と産業振興を目的に、カンザス大学など地域の高等教育機関との産学連携を推進。カンザス大学との連携においては、電池関連技術の開発や専門人材の育成に取り組む。
また、地域社会との連携の一環として、今年の9月には、パナソニック ノースアメリカ株式会社のブランドアンバサダーである競泳オリンピアンのケイティ・レデッキー選手が、カンザス州レネックサ市のシーダートレイルズ探究センターを訪問。工学や科学といった分野で次世代を担う学生たちと交流した。
パナソニック エナジー北米株式会社 人事担当副社長のクリステン・ウォルターズは、カンザス工場が地域に与える影響について、次のように語った。「この工場は、雇用・教育・技術革新を通じて人と組織を育てる場であり、私たちの人づくりの姿勢を体現しています。人材への投資は、企業の成長だけでなく、地域社会の活性化や米国製造業の再興にもつながります」
社員の写真とストーリーが展示されているカンザス工場入口
山田 重夫(やまだ しげお)駐米日本大使は、次のような言葉で、脱炭素社会へと向かうパナソニック エナジーの推進力に大きな期待を示した。「カンザスの電池工場の完成は、持続可能な社会の実現に向けた両国の連携が新たなステージへ進んだことを示しています。ここから、未来に向けた国際的な協力がさらに加速していくことを期待しています」
パナソニック エナジーは、今後も、グループの長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」が掲げる「CONTRIBUTION IMPACT」を体現する車載電池生産事業の拡大を通じて、地域社会と歩みを共にしながら、社会全体のCO2排出量削減に貢献していく。
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。