馬杉は、プロジェクトリーダーとしての役割を果たしながらも、自社で扱う照明機器の提案にもこだわり抜いた。
馬杉「野球、サッカー、ラグビー……国内の複数のスタジアムをファイターズさんと視察させていただきました。どんな照明が何台あるかということ以外に、スタジアム運営そのものについても勉強させてもらいました。
通常、スタジアムの照明というと500~700台ほど設置されますが、エスコンフィールドの場合は開閉式ドームということもあり、照明を外野側とバックネット側にしか置けないという制約がありました。その上で、明るさを確保する必要がありました」。
限られた設置面積で必要な明るさを確保するための解決策としては、そこに従来よりも大きめの照明機器を置くことが考えられる。しかし照明1台当たりのサイズが大きくなれば、プレーする選手にとってはまぶしさが増すことに直結する。
馬杉「高校で野球をやっていた時は、ピッチャーのほかに、センターも担当しました。当時、光の加減で守備の際にまぶしくて、ボールが見にくいということもありました。そういう実体験もあって、できるだけプレーヤーの皆さんに寄り添ったスタジアム照明を実現したいと思っていました」。
馬杉は他のメンバーと検討を重ね、2種類のLED投光器を組み合わせ、搭載する機器を1台ずつ制御することで、明るさを確保しながらも、まぶしさを抑える照明設計を提案。プレーヤーファーストを考慮したソリューションを実現した。