2024年12月20日
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大阪市此花区の夢洲では今、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開幕に向けて、各施設・パビリオンの建設が急ピッチで進められている。それらに先駆け、「解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。」をコンセプトに掲げるパナソニックグループの体験型パビリオン「ノモの国」の建築外観が8月に完成した(※1)。9月19日には、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、PHD)でパビリオン総合プロデューサーを務める原口 雄一郎(はらぐち ゆういちろう)が、同パビリオンの世界観や体験エリアの詳細内容を披露した。次代を担う子どもたちのソウゾウする力を「Unlock(解き放つ)」するパビリオンの実現に向け、建築設計を手掛けた建築家・永山 祐子(ながやま ゆうこ)氏とPHD 関西渉外・万博推進担当参与の小川 理子(おがわ みちこ)も、今の思いを述べた。
※1 ファサード膜の施工を除く。ファサード膜は2025年1月の施工を予定。
パナソニックグループパビリオン「ノモの国」は、次代を担う子どもたちが常識や思い込みから解き放たれ、自分でも気付いていない秘められた力や可能性を「Unlock」する体験型パビリオンとして2023年7月に着工。2025年2月の竣工に向け、AR(※2)を用いて空間演出や内装イメージの検証をしながら展示・内装工事が進行中だ。
「ノモの国」は、「モノの捉え方はココロの持ちようで大きく変わる」、いわば「モノとココロは写し鏡のような存在である」という思いを込めて名付けられた。
※2 「拡張現実」を意味するAugmented Realityの略称。
パビリオンの総合プロデュースを手掛ける原口は次のように述べる。
原口:ノモの国では、子どもたち自身が主人公となり、結晶に秘められた力を解き放つ物語を体験します。パナソニックグループが培ってきた「ひとの理解」の研究に基づく行動解析・表情解析などの技術や、光・映像・音・空気に関する「空間演出」の技術を駆使して、五感を刺激するイマーシブ空間を演出。体験者の感覚(カラダ)を研ぎ澄ましてもらい、感性(ココロ)を解き放ち、ソウゾウする力をUnlockするきっかけを提供します。
ノモの国のUnlock体験エリアは四つのZONEで構成されており、体験者の個性や特性が反映された一人ひとりの可能性やストーリーを「蝶」をモチーフに描き出す。
パビリオンでは、通り抜けられる巨大な映像を空中に映し出す幅7m×高さ3.5mの「ミストウォール(※4)」や、直径1.3mもの映像が天井から目の前に降り注ぐ「ボルテックスリング(※5)」による演出を展開。立体音響や360°映像、ハプティクス(※6)など、パナソニックグループの光・映像・音・空気に関する「空間演出」技術を駆使して五感を刺激する、イマーシブ空間を体験できる。
※4 拡散を抑制して遠方まで気流を届ける技術で作られた粒径6μmの極微細ミストの映像スクリーン
※5 渦輪気流にミストを閉じ込めて遠方まで飛ばす技術で作られたミストの輪
※6 振動や風を用いた演出
ZONE1:カガミイケの奥深く
23.4チャンネルの立体音響や映像、ハプティクスの技術によってクロスモーダル(感覚複合的)に感覚(カラダ)が研ぎ澄まされ、Unlock体験が始まっていく。
ZONE2:ノモの森
「結晶」を手に、自分の感性(ココロ)の赴くままに未知の世界を探索。
木々や岩々に結晶をかざすと、それぞれ別の光や音で反応する。
ZONE3:古木の谷
ZONE2での行動解析データの分析に基づき、一人ひとり異なるストーリーが映し出される。モチーフとなる蝶が結晶から解き放たれる。
ZONE4:大空へ
「ミストの滝」を抜けると、解き放たれた蝶が周囲の蝶たちと響き合い、大きなエネルギーとなって大空へと羽ばたいていく。
「解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。」
原口:このパビリオン体験を通じ、子どもたち一人ひとりが、自分がもともと持っている感性に気付いてくれるとうれしいです。パビリオンから出てきたら、世界の見え方がそれまでと少し変わっている……そんな体験をしてもらえたらいいですね。
ノモの国での体験をより楽しんでもらうこと、また、来場できない方にもその世界観を理解してもらうことを目的としたアニメーションも制作中です。
ノモの国ポータルWebサイトなどのオンラインで、来春の公開を予定しています。
建築家の永山氏は次のように語る。
永山氏:私自身、α世代の子どもを育てていますが、「ノモの国」はまさにその世代の子どもに向けられたものであると知り、コンセプトに深く共感してコンペに参加しました。子どもは、一人ひとりが将来どのように変化していくか分からない、可能性を秘めた存在だと思っています。今回のパビリオンのために私が最初に描き上げたスケッチでも、特定のカタチを表すのではなく、変化していく構造、子どもたちの心を解き放つような柔らかく自由な形態をイメージしていました。
このとき描いたものが、今、ほぼ変わらぬ姿で現実に設置されつつあることに深く感動しています。初めに純粋な気持ちで生み出したアイデアが、最終的にそのままの姿でカタチになるのは、なかなかないことです。こちらの熱意をくみ取ってくださったパナソニックさんをはじめ、関係者の皆さんの強い思いがあってこそ実現できたのだと感じています。
永山氏:ファサードは、自由な形、曲線を持った構造体が積み重なることで、「循環」を表しています。このユニット形状にたどり着くまで、3カ月ほどかかりました。また、構造設計は多くのスタッフと協力し合うことで推進できました。
ユニットは、一番多いところで20段ほど重なります。ここにオーガンジー(※7)に特殊な金属を積層させた膜を750枚ほど設置し、海風に布がなびくような柔らかな印象を加えます。見方によって、さまざまな形が見えてくる、見え方が変わっていく構造体です。子どもたちには、このパビリオンを見て、感じて、「自分たちも夢に描いたものを形にできるのではないか」とワクワクしてもらえたらうれしいです。
※7 薄くて軽く透明感のある織物
小川は次のように述べる。
小川:2021年4月から本プロジェクトに携わり、ついにここまで来たという思いです。コンセプトはかなり時間をかけて検討し、チーム一丸となって取り組んできました。子どもたちが大人になっても思い出してもらえるような、心に残る原体験を提供するべく、引き続きアクセル全開で推進していきます。
パナソニックグループは、子どもたちに無限の可能性を解き放つ機会を提供するため、会期中のパビリオンでの体験に加え、会期前から学生たちとの共創活動をパビリオンづくりに反映していく取り組みや、閉幕後もレガシーとして子どもたちとつながり続けるオンライン次世代共創プラットフォームの構築にも取り組んでいく。
原口:学生の方たちとパビリオンを一緒につくるという思いで取り組んでいます。閉幕後もリアルの場はもちろん、バーチャルプラットフォームによる連携で、長期にわたり次世代層との共創を紡いでいきます。
小川:今後もパナソニックグループでは、大阪・関西万博を機に、次代を担う子どもたちの未来をより豊かで希望に満ちたものにできるよう取り組みを加速し、子どもたちが「自分の可能性を信じて、一歩を踏み出す心」を育んでいきたいと思います。引き続き、ご期待ください。
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