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画像:海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料

2025年1月8日

技術・研究開発 / プレスリリース

海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発

パナソニック ホールディングス株式会社 MI本部は、これまでに開発してきた植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、海洋生分解性[1]の植物由来樹脂等へ展開し、海洋環境で完全生分解性を有する成形材料[2]を開発しました。海洋生分解性樹脂にセルロースファイバーを高濃度添加することで、優れた機械特性と海洋生分解性が両立する成形材料として開発することに成功しました。

昨今の海洋プラスチック問題や石油資源の枯渇・地球温暖化といった環境問題から、天然資源の効率的な利用(SDGsゴール12)や、海洋汚染の防止および大幅な削減(SDGsゴール14)が国連の開発目標として定められ、樹脂量の削減が世界的に求められています。

当社は、2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始、2019年に天然由来成分であるセルロースファイバーを55%濃度で(※1)、2021年には70%濃度(バイオマス度[3]70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発(※2)、2022年3月には植物由来の樹脂を使用したバイオマス度90%以上の成形材料を開発しました(※3)。また、自然界での分解特性向上という観点からは、2022年12月に、複合化技術を植物由来樹脂(ポリ乳酸)等へ展開した完全生分解性の成形材料を開発しました(※4)。さらに、土壌では完全生分解性の成形材料であっても自然界の中でも微生物密度が低い海洋では分解しにくいため、自然界流出時の環境汚染リスクのさらなる低減を目指し、海洋での生分解性を実現する取り組みを進めました。混練技術、成形技術を改良し、セルロースファイバーのつなぎ部分を海洋生分解性の樹脂に置き換えることで、海洋での完全生分解性を有し、耐久性用途に使用されるポリプロピレンと同等の強度をもつ、バイオマス度100%のセルロースファイバー成形材料の開発に成功しました。また、従来のkinari(セルロースファイバー55%)(※5)同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功、素材そのものを褐色化させることも可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できます。

開発した成形材料は日本バイオプラスチック協会が認証する「海洋生分解性バイオマスプラ」マーク(※6)を取得しています。

2027年に海洋生分解性ペレットの販売を開始する見込みであり、今後、海洋生分解性セルロースファイバー成形材料の特長と優位性を活かし、家電筐体や車載機構部材、高強度とデザイン性を活かした大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品、また飲料・食品容器等への展開を進めていきます。このような取り組みにより、樹脂使用量の低減を通して持続可能社会の実現に向けた企業活動を推進していきます。

なお、開発した成形材料は、米国・ラスベガスで開催されるCES 2025(2025年1月7日~10日、米国太平洋時間)にて展示を行います。

<特長>

1. 海洋生分解性の高濃度セルロースファイバー成形材料を開発

2. 耐久性用途に使用されるポリプロピレンと同等の強度と海洋生分解性の両立

3. 主成分が天然由来成分となり、樹脂使用量を削減できることで地球環境へ貢献

海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料

海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料を用いたカップ

ポリプロピレン(PP)に対する曲げ弾性率と曲げ強度

 

海洋生分解性材料
(開発品)

生分解性材料(※4)

PP

曲げ弾性率
[相対値]

4.8

3.5

1.0

曲げ強度
[相対値]

1.1

1.5

1.0

※1 パナソニックグループ プレスリリース
2019年7月8日 高いデザイン性を実現する高濃度セルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/jn190708-1

※2 パナソニックグループ プレスリリース
2021年2月4日 70%高濃度セルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/jn210204-1

※3 パナソニックグループ プレスリリース
2022年3月18日 バイオマス度90%以上のセルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/jn220318-2

※4 パナソニックグループ プレスリリース
2022年12月6日 完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/jn221206-1

※5 パナソニックグループ プレスリリース
2021年12月1日 高濃度セルロースファイバー成形材料『kinari』のサンプル販売開始
https://news.panasonic.com/jp/press/jn211201-2

※6 識別表示制度(日本バイオプラスチック協会ホームページ)
海洋生分解性プラスチックの中で日本バイオプラスチック協会のバイオマスプラ識別表示基準を満たす製品は、「海洋生分解性バイオマスプラ」の名称とマークの使用が認められています。
http://www.jbpaweb.net/identification/

【用途】

家電筐体、車載構造部材、日用品、飲料・食品容器など

【特許】

国内23件 海外33件

【用語解説】

[1]海洋生分解性:微生物密度が土壌よりも小さい海洋環境であっても微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解される性質のことをいう。

[2]成形:材料を溶かして、金型に流し込むことで、製品の形に加工すること。成形することができる材料を成形材料という。

[3]バイオマス度:材料に含まれる植物・生物由来の原料(バイオマス原料)の割合のことをいう。

<パナソニックグループの環境取り組み>

パナソニックグループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を制定しました。2030年までに自社の事業に伴うCO2排出量を実質ゼロに、また2050年に向けて現時点の全世界の排出総量約317億トン(※7)の「約1%」にあたる3億トン(※8)以上の削減貢献インパクトの創出と、資源効率が脱炭素化に寄与し限られた天然資源の消費を削減するサーキュラーエコノミー実現に向けた事業活動に取り組んでいます。

※7 2020年 エネルギー起源CO2排出量 317億トン(出典:IEA)

※8 CO2排出係数は2020年基準
https://holdings.panasonic/jp/corporate/panasonic-green-impact.html

【お問い合わせ先】

パナソニック ホールディングス株式会社 コーポレートR&D戦略室 技術広報担当
Email:crdpress@ml.jp.panasonic.com

記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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パナソニックホールディングス株式会社
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海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料
海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料を用いたカップ

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