
2026年7月22日
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パナソニック HVAC & CC株式会社(以下、当社)は、神戸大学との共同研究により、世界で初めて(※2)、弱酸性かつ軟水の水を用いた洗顔が肌状態に及ぼす影響について検証し、肌の保湿・バリア機能への効果を確認しました(※1)。なお、本成果は当社が実施した研究段階の試験結果であり、現時点で当社は本技術を搭載した製品を実用化していません。また、本研究成果の一部は2026年6月25日の日本香粧品学会で発表しました。
一般的に肌のバリア機能を保つには、肌表面を弱酸性に維持することが重要とされています。しかし、洗顔後に水道水で洗い流すことで、肌が水と同じ中性付近へと傾くことが今回の研究結果から明らかになりました。また、水道水にはカルシウムやマグネシウムが含まれ、これらがせっけん成分と反応して「せっけんカス」を生成し、肌に付着することが肌の乾燥を招く一因となることも知られています。
当社はこれまで、グローバルに水事業を展開する中で、水の安全性や清浄度の追求に取り組んできました。さらに研究を深化させる中で、単なる安全・清浄にとどまらず、「水質そのものが生活者の体感や身体へ影響を与えている可能性」に着目。水質を弱酸性に調整し、かつカルシウムやマグネシウムを除去した「弱酸性軟水」を開発し、肌状態への効果検証を行いました。
今回、27人の研究参加者に対して、日常の洗顔時に使用する水を水道水から研究用に開発した「弱酸性軟水」に切り替え、肌状態の測定と主観評価を行いました。その結果、経表皮水分蒸散量(TEWL)が19%(※1)改善し、これにより、肌の水分が外へ逃げにくくなり、バリア機能の維持効果が期待できます。また、皮膚のうるおいの指標である角層水分量、はりの指標である皮膚粘弾性においても改善が見られました。さらに主観評価(アンケート)においても、「しっとりする」「すべすべする」といった項目で評価の向上が確認されました。
これらの結果は、洗顔に弱酸性軟水を用いることで、肌表面が速やかに肌本来の弱酸性域へと回復しやすくなり、肌環境が整うことでバリア機能の維持に寄与した可能性を示唆しています。
「軟水化することで、刺激の原因となる微量なせっけんカスや金属イオン由来の沈殿物の皮膚への付着を減らせたことと、弱酸性化することで、洗顔に伴うpHの上昇を抑えられたことにより、常在菌叢にストレスを与えなかったこと、これらの組み合わせが良好な皮膚状態につながったと考えられます」
パナソニック HVAC & CC株式会社は今後も、水や空気といった身近な環境要素に対する技術的検証を通じて、日々のくらしの質向上につながる研究開発を進めていきます。本研究を皮切りに、今後も弱酸性軟水に関する研究を継続し、肌の美しさに加え、肌トラブルや困りごとを解決する水の開発を目指し、人々の健やかなくらしに貢献していきます。
※1 二群間クロスオーバー試験(n=27)において、弱酸性軟水を4週間使用した際の左頬の経表皮水分蒸散量(TEWL)の平均値変化率。洗顔後、温度20±5℃、湿度50±10%RHの環境で20分間馴化した後に測定し、使用前比19%低減。
※2 弱酸性かつ軟水の水を日常的な洗顔用途で継続使用し、皮膚状態への影響を評価したヒト介入試験として世界初。2026年7月27日現在。当社調べ。
図1. 参加者の性別・年代構成
参加者を2つのグループに分け、「弱酸性軟水」と「中性軟水」をそれぞれ4週間ずつ使用して洗顔を行い、洗顔後の肌状態を測定しました。
- 対象者:40~50代の関東在住の健常な男女27人
- 試験期間:2025年2月~4月
- 試験方法:単盲検二群間クロスオーバー試験
- 使用水:
- 弱酸性軟水:pH 4.2±0.4、硬度10 ppm以下
- 中性軟水:pH 7.8±0.7、硬度10 ppm以下
- 参加者宅の水道水:pH 7.2±0.4、硬度60~120 ppm
- 使用方法:朝晩の洗顔時に試験水を使用
- 評価項目:角層水分量、経表皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚粘弾性、皮脂量、肌pH、画像解析、皮膚常在菌叢、主観評価(アンケート)
- 測定部位:額・右頬・左頬
図2. 経表皮水分蒸散量(TEWL)の結果
経表皮水分蒸散量(TEWL)は、バリア機能を評価する指標の一つであり、バリア機能が向上するとTEWL値が低下します。弱酸性軟水を用いることで、水道水使用時と比較して左頬で19%(※1)低減し、弱酸性軟水使用群で有意な改善効果が確認されました。
図3. 角層水分量の結果
角層水分量は、皮膚のうるおい状態を評価する指標であり、値が高いほど角層に十分な水分が保持された状態を示します。弱酸性軟水、中性軟水の両方で数値の上昇(良化)が見られたことから、カルシウムやマグネシウムを除去した軟水そのものを用いることが、肌の保湿力改善に寄与することが分かりました。
図4. 皮膚粘弾性の結果
皮膚粘弾性(RO値)は、皮膚のはり・引き締まりを評価する指標の一つであり、はりが向上するとR0値が低下します。弱酸性軟水使用群で水道水使用時と比較して数値が低下し、有意な改善効果が確認されました。
図5. 主観評価の結果
弱酸性軟水使用群にて水道水使用時と比較して肌のしっとり感・すべすべ感の向上が確認されました。
図6. 弱酸性による皮膚状態良化の作用機序仮説
本研究において弱酸性軟水が肌状態を良化させたプロセスとして、当社では以下の2つのアプローチからなる作用機序仮説を立てています。
(1)軟水効果(せっけんカスの低減):水道水中の硬度成分を除去した軟水を使用することで、肌表面における皮膚残渣(せっけんカス)の生成・付着を軽減します。これにより、角層水分量の向上がもたらされると期待されます。
(2)弱酸性効果(即時的・長期的肌環境改善):弱酸性の水が持つ収斂効果により、洗顔直後から肌を引き締めます。さらに、長期的に使用することで皮膚表面のpHが安定的に低く保たれ、コリネバクテリウムなどの悪玉菌が棲みにくい皮膚常在菌環境へと改善。結果として肌のバリア機能(TEWL)が強化され、外部刺激からの防御力が高まることで、肌の赤み、かゆみ、肌荒れといった炎症を抑制する効果が期待されます。
記事の内容は発表時のものです。
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