2024年11月15日
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パナソニック株式会社マニュファクチャリングイノベーション本部は、植物由来のセルロースファイバーを70%の高濃度で樹脂に混ぜ込む複合加工技術と、それを製品化する成形加工技術を開発しました。2019年にプレスリリースしたセルロースファイバー55%濃度の成形[1]材料※1から高濃度化の開発を進め、本開発の70%濃度でも、素材のもつ自然感を活かす意匠を表現することにも成功しました。
昨今の海洋プラスチック問題や石油資源の枯渇・地球温暖化といった環境問題から、天然資源の効率的な利用(SDGsゴール12)や、海洋汚染の防止および大幅な削減(SDGsゴール14)が国連の開発目標として定められ、樹脂量の削減が世界的に求められています。当社としても、2017年に「環境ビジョン2050」を策定し、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向けた開発活動を進めております。
当社は、2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始、2019年に天然由来成分であるセルロースファイバーを55%濃度で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発しました※2。その後、セルロースファイバーのさらなる高濃度化の開発を進め、70%濃度で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発しました。樹脂、セルロース材料の最適化、混練[2]方法の改良により、高剛性タイプ、高流動タイプの2種の複合樹脂成形材料の開発に成功しました。高剛性タイプでは、セルロースファイバーの形状を制御することで、曲げ弾性率で9 GPa以上の高剛性を実現、車載機構部材にも展開が可能です。また高流動タイプでは、高濃度化の課題である流動性の改善、新たな金型構造等による成形技術の開発、さらに成形プロセスの最適化と組み合わせることで、55%濃度と同等の薄肉成形加工が可能となり、家電筐体や日用品などに展開可能です。また、着色自由性が高く、着色剤なしでも、素材そのものを褐色化させることで色むらを制御することが可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できます。
現在、セルロースファイバーを含む檜、杉、竹、麦、茶葉、コーヒーなど、様々な植物廃材を有効利用する取り組みを、自治体、企業と連携して進めています。これらの植物廃材を樹脂に混ぜ込むことで、植物ごとの色や香りなど感性価値を生み出すことが可能です。今回の複合加工技術、成形技術の開発により、これらの植物廃材についても70%濃度で樹脂に混ぜ込むことができ、薄肉成形加工が可能となりました。
今後、高濃度セルロースファイバー成形材料の特徴と優位性を活かし、家電筐体や車載機構部材、高強度とデザイン性を活かした大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品、また飲料・食品容器等への展開を進めてまいります。同時に、材料特性や素材優位性をさらに高めることで幅広い商品への展開を加速し、樹脂使用量の低減を通して持続可能社会の実現に向けた企業活動を推進してまいります。
家電筐体、車載構造部材、日用品、飲料・食品容器など
国内21件 海外33件
マニュファクチャリングイノベーション本部 企画部
E-mail:midpress@ml.jp.panasonic.com
以上
記事の内容は発表時のものです。
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