開発に着手したメンバーは、まず学校給食食器としての安全性、利便性(使いやすさ・重さ)、耐久性についてのテストを繰り返していった。
西川:福知山市の学校給食センターさんにも足を運び、従来の食器がどのように洗浄されているのか、現場を直に見せてもらいました。
私たちが一番気を配ったのは、やはり強度面ですね。当然ですが、業務用途となる学校給食食器には、形状全てに意味があります。ご家庭で使っていただく食器とは違い、洗浄時に機械による強い力が加わるため、表面に傷が付かないかなど、何度も分析・改良を加える必要がありました。従来のkinari製品では使ったことのない加工を施すなど試作を重ねましたね。
石田:従来からさまざまな材料で製品化検証をしてきた知見は生かせたと思っています。以前タンブラーを2カ月で約1万個製造した実績がありましたが、今回の取り組みは新規の金型を開発した上で、約3カ月で5種類の食器を約4万枚製造する、というミッションとなりました。製造部門には、ちょっとした色味の違いも許されない、などのこだわるべきポイントをきちんと伝えて、共に品質確保に努めました。
最も苦労したのは、食器を載せるトレーですね。一見、シンプルな形なので簡単に見えるかもしれませんが、大きな面積を持つものを、強度と軽さを両立しながら高い品質で製造するというのは非常に大変でした。