下川氏とパナソニックグループ共創のきっかけは、意外なところにありました。
「2020年に『森のタンブラー』の存在を知ったのが始まりです。当時、サステナブルをテーマにしたイベントなどでECOALFも同じ会場に出展することが重なり、パナソニックさんが開発に携わったものだというお話を聞いて、すごく興味を持ちました」。
タンブラーの主原料は、パナソニックグループが2015年から研究開発を続けている植物性由来の高濃度セルロースファイバー成形材料。2021年からは「kinari」というブランドで展開しています。これは従来のプラスチックとほぼ同じ性質を持ちながら、半分以上が植物繊維で構成される非常にサステナブルな成形材料です。
「ECOALFでは、発祥のヨーロッパはもちろん日本展開においても『ファッションという枠にとらわれない』ことを大切にしています。コラボするお相手についても業種の枠組みを超えて、地球環境の問題を一緒に解決できるパートナーと取り組めたらと思っています」と下川氏。「より多くのお客様との接点を生み出すために、店頭で手に取っていただきやすいこのタンブラーをぜひECOALFのプロダクトに加えたいと思いました」。
下川氏はkinariの開発部門であるパナソニック ホールディングス(株) マニュファクチャリングイノベーション本部にコンタクトを取りました。
石油由来の樹脂量を減らすべく開発されたkinariは、間伐材やコーヒーかすなど植物廃材の、元の原料の個性を活かした色合いを表現することができます。その一方で、着色自由性が高い白色の樹脂ペレットなので従来の樹脂同様に自由に着色することも可能です。
「これはファッションアイテムとしても面白い素材だなと。木の風合いを楽しめるタイプのほかにも、アパレルメーカーとしてより個性的なカラーリングにもチャレンジしてみました」。
下川氏は、サンゴや魚などの「気候変動によって失われているキレイな色を守りたい」というメッセージを込め、2022年春夏モデルのタンブラーを開発・発売。そして今回の旗艦店オープンに合わせて新たに秋冬モデルも発表しました。