
2025年11月27日
- 技術・研究開発
- トピックス
Adobe Acrobat Readerの特定のバージョンに、一部のPDFが開けないバグが発生しております。PDFが開けない場合、お使いのAcrobat Readerを最新版へアップデートの上お試しください。

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、パナソニック)は、香川大学 創造工学部 高尾 英邦教授との共同研究により、独自のナノ触覚センサを搭載した毛髪キューティクル診断システムを開発しました。従来のキューティクル分析機器の視野と比べて100倍以上となる50 mm範囲を5分で評価可能で、毛髪の前処理が不要で評価できるシステムとして日本初(※1)となります。
キューティクルは髪の表面を覆ううろこ状の層で、髪内部の水分や栄養分を外部刺激から守る役割を担っています。しかし、摩擦や熱、化学的処理、紫外線などによって損傷し、一度剥がれると再生しません。その結果、髪のツヤの低下やパサつき、枝毛や切れ毛などの要因となります。従来のキューティクル評価は電子顕微鏡などの分析機器に依存しており、毛髪の切断などの前処理が必要で、視野も0.5 mm以下と局所的でした。そのため、毛髪の損傷個所や損傷具合を定量的に把握することは困難でした。
今回開発した毛髪キューティクル診断システムには、香川大学が開発したナノ触覚センサを搭載。毛髪の張力や接触量・スキャン速度などを自動制御することで、50 mm範囲の安定計測が可能となりました。さらに、毛髪の専門家による官能評価を学習させた独自のディープラーニングモデルを搭載し、人の指先の繊細な触感覚に基づく毛髪のダメージレベル定量化を実現しています。
本システムを活用することで髪の根元から毛先へと時間経過でダメージが蓄積していく過程を定量化できたほか、寝返りを想定したモデル試験では、毛髪同士のこすれあいによるキューティクル損傷、ならびに、高浸透ナノイー&ミネラル(※2)&マイナスイオンを搭載したドライヤーによる摩擦ダメージ抑制効果も確認できました。
パナソニックは、今後も新たなヘアケア習慣を提案するとともに、さらなる技術革新を通じて、お客様一人ひとりが輝く美しさと健やかさの実現に貢献していきます。
指では捉えきれないような毛髪の“手触り”を数値化するために、独自のナノ触覚センサを応用した毛髪診断技術をパナソニックと共に2018年から研究してきました。指先を超える感度と分解能を実現する全く新しい触覚センサにより、毎日変わる髪の質感や特徴をデータとして記録・分析し、髪質やダメージを迅速に判断する「毛髪キューティクル診断システム」が誕生しました。個人に合う最適なヘアケアを追求して生まれる髪の輝きが、一人ひとりの毎日をさらに輝かせる未来の実現を期待しています。
本システムは香川大学独自のMEMSデバイスであるナノ触覚センサを搭載し、毛髪の表面に接触させながらスキャンすることで、キューティクル形状と摩擦力を正確に計測します。毛髪の張力やセンサの接触量・スキャン速度の自動制御化により測定を安定化し、従来の分析機器の100倍以上となる50 mmの広範囲を一括で計測可能になりました。さらに毛髪の切断等の前処理が不要で、毛髪をセットしてワンプッシュで測定開始。1回のスキャンで収録する200万点のデータから、キューティクル枚数と表面ダメージレベル、髪の太さや引張強度を自動で測定して、総合評価の診断結果を表示します。1回あたり5分間で診断が完了し、従来の分析機器と比べ簡便かつ短時間で評価可能になりました。
過去4年間にわたってブリーチやカラー施術を受け続けていた女性を対象に、キューティクル枚数とダメージレベル評価を行いました。1本の毛髪(長さ約500 mm)に対して、根元、中間、毛先と部位を変えて各50 mm領域を計測した結果、根元から毛先へとダメージが蓄積していく過程を定量化。被験者は髪の中間~毛先のパサつきに悩んでおり、本システムにより髪悩みの根本原因の可視化に成功しました(※4)。
寝返りを想定したモデル試験において、毛髪同士がこすれあうことによりキューティクルが損傷していることがわかりました。さらに、高浸透ナノイー&ミネラル(※2)&マイナスイオンを搭載したドライヤーを使用することで摩擦によるダメージを防ぐことができることを発見しました(※5)。
■高浸透ナノイー&ミネラル(※2)&マイナスイオン搭載 ヘアドライヤー ナノケアを使用した場合と高浸透ナノイー&ミネラル(※2)&マイナスイオン非搭載ドライヤーを使用した場合のキューティクル減少率を比較
■頭の重みの加重下で毛束を3か月相当こすり合わせたときの施術前後のキューティクル枚数を計測し、減少率を算出
※1 毛髪のキューティクルを50 mmの広範囲かつ前処理不要で5分間で評価可能な装置、かつ(研究段階や未公開技術を含まない)公開されている装置として日本初(2025年7月22日時点、パナソニック調べ)
※2 ミネラルとは、亜鉛電極を含む放電ユニットから発生される亜鉛粒子です
※3 当社から依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しています
※4 本研究成果は、第86回応用物理学会秋季学術講演会(2025年)にて発表しました
MEMS触覚センサを用いた毛髪キューティクル診断システムの開発(2025)
https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jsap2025a/presentation/10a-N305-8
※5 使用環境(季節・温湿度など)や個人差で効果は異なります(パナソニック調べ)
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。