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2024年10月3日
技術・研究開発 / プレスリリース
~自然言語処理トップレベルの国際学会ACL 2024で論文採択~
パナソニック コネクト株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 執行役員 プレジデント・CEO:樋口 泰行、以下パナソニック コネクト)は、世界的に利活用の進む生成AIの利便性を高めるため、独自開発観察駆動型AIエージェントが生成AIのRAG(※1)にナレッジグラフ(※2)を参照して回答できる新技術を開発しました。本技術が評価され、自然言語処理トップレベルの国際学会ACL 2024(※3)で論文が採択されました。
生成AIは、インターネット上の既存のデータをもとに学習しているため、企業固有の情報や個人関連の情報等については答えられないという特徴があります。これが原因で、間違った回答をしてしまうハルシネーションの課題も指摘されています。また、同じ質問をしても、回答が安定せず、異なった回答をすることも頻繁にあり、ビジネスで利用する際の課題が指摘されています。
これらの課題を解決するには、信頼できる外部の情報を生成AIに参照させる手法、RAGが一般的です。このRAGの手法には、公開済みの企業情報や、社内情報など、文章化された情報を参照する方法と、ナレッジグラフを活用する方法があります。
さらに現在一般的な文章を参照する手法を使う場合、ChatGPTはインプットデータに限りがあるという点と、参照する情報が多すぎると間違えやすいといった課題があります。
これらを解決するため、パナソニック コネクトでは、GPT(※4)上に独自の観察駆動型AIエージェント(以下AIエージェント)を立ち上げ、各モジュールが質問への回答に、観察、行動、反省の3段階で吟味できるシステムを構築しました。また、既存の文章ではなく、この度RAGの参照にナレッジグラフを活用できる仕組みも開発しました。
AIエージェントが、ナレッジグラフを利用してユーザーの質問に回答できるようにすることで、素早く適切に必要な情報だけ回答することを可能にします。
この技術により、リアルタイムパフォーマンス上ではBest performanceを達成し、自然言語処理の分野におけるトップレベルの国際学会ACL 2024で論文が採択されました。
社内情報等の文章を参照する既存のRAGの手法では、膨大な文章の中から回答を探すため、時間を要する点と、言語をデータに変換した後、質問への類似度に基づき回答を抽出するため、例えば同じ単語でも異なる意味が複数ある場合に、異なるデータに変換されてしまうため、間違った回答をしてしまうことがありました。
これを回避するために、文章ではなく、ナレッジグラフと呼ばれる様々な情報(知識)を体系的に連結し、各々の関係性をグラフ構造で表した情報をRAGに活用する手法を採用しました。これにより、膨大な文章の中から必要な情報を探すよりも、素早く必要な情報を探し出すことが可能になります。また直接類似度計算を基に回答を検討する必要が無くなるため、間違う頻度も低減できるようになります。
ただし、このナレッジグラフを活用する際でも、質問が複雑になるほど、厳密には必要としない周辺情報も含まれてしまう可能性があります。
これを回避するため、GPT上に独自開発のAIエージェントを生成できる技術開発を行いました。AIエージェントがGPTを利用して自己学習(※5)を行うことで、適切な回答を導き出します。
例えば、「観察」の段階で、AIエージェントはナレッジグラフを参照します。次に「行動」の段階で、AIエージェントはさまざまな操作を行い、必要な知識を引き出します。「反省」の段階で、不要な情報を削除し、必要な情報をメモリーに記憶します。この反復プロセスを通じて、AIエージェントは、質疑応答を自律的に行い、より精度の高い回答をすることを可能にします。
AIエージェントがRAGの参照にナレッジグラフを利用できるようにし、自律的な質疑応答を繰り返して情報の取捨選択を可能にすることで、素早く適切に必要な情報を収集することが可能になり、ビジネスにおける生産性の向上が見込めます。また、同じ質問に対して安定して同じ回答ができるので、チャットボットなどのサービスにも安心して活用することが可能になります。
今後は、さらに回答のスピードを速める技術開発を行い、正確で安定した回答をビジネスの様々なシーンで活用できるようにすることを目指してまいります。
パナソニックグループでは、お客様にパナソニックグループのAI製品やサービスを信頼してお使いいただけるように責任あるAI活用を実践するために定めたAI倫理原則の順守や、未知の情報に対して知ったかぶらないAIなどの技術開発に注力しています。
※1 Ritrieval-Augumented Generation(RAG)の略。外部データベースを活用して情報を検索し、その情報を基に生成AIが応答を作成する手法。
※2 さまざまな知識(=ナレッジ)を体系的に連結し、グラフ構造で表した知識のネットワーク。ナレッジグラフを活用することで、これまで処理が難しかった非構造化データを処理することが可能になる。
※3 The 62nd Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics
自然言語処理トップレベルの国際学会。
https://2024.aclweb.org/
※4 ChatGPTおよびGPT3.5、GPT4.0を今回の開発では利用。
※5 一連のアルゴリズムに基づいて定められたタスクを自律的に実施する人工知能。
パナソニック コネクト株式会社は2022年4月1日、パナソニックグループの事業会社制への移行に伴い発足した、B2Bソリューションの中核を担う事業会社です。グローバルで約28,300名の従業員を擁し、売上高は1兆2,028億円(2023年度)を計上しています。「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」をパーパス(企業としての存在意義)として掲げ、製造業100年の知見とソフトウェアを組み合わせたソリューションや高度に差別化されたハードウェアの提供を通じて、サプライチェーン、公共サービス、生活インフラ、エンターテインメント分野のお客様をつなぎ、「現場」をイノベートすることに取り組んでいます。また、人と自然が共存できる豊かな社会・地球の「サステナビリティ」と、一人ひとりが生きがいを感じ、安心安全で幸せに暮らすことができる「ウェルビーイング」の実現を目指しています。
また、「人権の尊重」と「企業価値の向上」を目的に、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進を経営戦略の柱のひとつに位置づけ、多様な価値観を持つ一人ひとりがイキイキと力を発揮できる柔軟性の高い企業文化の改革に取り組んでいます。
▼パナソニック コネクト株式会社 ウェブサイト
https://connect.panasonic.com
▼パナソニック コネクト Newsroom
https://connect.panasonic.com/jp-ja/newsroom
▼パナソニック コネクト DEI(Diversity, Equity & Inclusion)
https://connect.panasonic.com/jp-ja/about/sustainability/dei
記事の内容は発表時のものです。
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