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2019年4月16日
製品・サービス / プレスリリース
第51回市村産業賞功績賞受賞者
(左から)長野能久、吾妻正道、三河 巧
パナソニック株式会社は、「交通系ICカードに幅広く普及した低消費電力強誘電体メモリの開発と実用化」の功績に対し、公益財団法人 市村清新技術財団より、第51回市村産業賞の功績賞を受賞し、4月12日に贈呈式が行われました。パナソニックとして4年ぶり20回目の受賞となります。
名称 | 市村産業賞 功績賞 |
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テーマ | 「交通系ICカードに幅広く普及した低消費電力強誘電体メモリの開発と実用化」 |
受賞者 |
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半導体メモリへの応用が可能な超格子構造を有するビスマス層状酸化物系の新規強誘電体材料を発明し、これまで半導体製造で用いられていなかったこの材料を半導体製造プロセスの中で集積化できるように成膜、加工のプロセス技術を確立しました。これにより、従来技術のフラッシュメモリ技術を凌駕する低電圧動作が可能かつ微細構造の新型不揮発性メモリFeRAM注1)の事業化に成功しました(0.8 μmFeRAM)。さらに、微細化への最大の課題であった水素による強誘電体酸化物材料の還元を、強誘電体キャパシタの上下左右をすべて被覆する"完全水素バリア被覆構造"という革新的手法で解決し、FeRAM混載として、当時としては業界に先駆けた最先端の微細化を実現しました(0.18 μmFeRAM)。
当社は、2000年にこの低消費電力強誘電体メモリの製造・販売を開始しました。現在は交通ICカード用途を中心に、デジタルカメラ等の電池認証タグ、家電・AV用NFCタグなどのラインナップがあります。今後、高セキュリティと低消費電力を備えたメモリの開発を進め、IoT用途などグローバルに販売を強化していきます。
広く電子機器に組み込まれ、電源を切ってもデータが保持できる混載不揮発性メモリとしては、1990年代から、データ書き換えが電気的に可能なROMやフラッシュメモリが主流となりました。一方で、動作電圧が高く消費電力も大きいという課題があり、低消費電力メモリの必要性が高まっていました。これらを原理的に解決できるのが、強誘電体材料の持つヒステリシス特性を利用し、低消費電力化が図れる不揮発性メモリFeRAMでした。しかしながら、実用化には材料の信頼性、製造時の課題、微細化という3つの技術的な大きな壁がありました。
これらの3つの壁を克服するために、受賞者らは以下に示すキー技術(図1)を開発しました。
以上により、半導体製造や微細化で劣化させることなく、材料の持つ高いポテンシャルを引き出すことに成功しました。最小加工ルール0.8 μmで製造したFeRAMの量産を2000年に開始し、2003年には同0.18 μmと、微細化を進めたFeRAMを世界で初めて量産しました。
受賞者らが開発したSBT系FeRAMの特長は、高速(100 ns以下)・低電圧駆動(2.0 V以下)です。このFeRAMを内蔵したICカードは処理速度が速く、かつ、有効範囲の広い通信を可能としました(図2)。ICカードをかざし、スムーズに改札ゲートを通過できるため、複雑な乗り換えを必要とする日本国内の交通系ICカードのコア半導体として広く普及しています。
リコー三愛グループ各社を統轄した創業者、故市村清氏の昭和38年4月29日紺綬褒章受賞を記念して、市村賞を創設し、科学技術の普及啓発に資するとともに科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。
本表彰はわが国の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野の進展に多大な貢献・功績のあった技術開発者に対して行います。(公益財団法人 市村清新技術財団の第51回 市村産業賞推薦要綱に掲載された表彰の趣旨を引用しています)
以上
記事の内容は発表時のものです。
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