2024年10月17日
- サステナビリティ
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2023年11月30日から12月13日まで、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)が開催。世界的な異常気象の増加を踏まえ、気候変動対策について議論が交わされたほか、2015年のCOP21で採択されたパリ協定の目標に対する進捗状況を世界全体で評価する「グローバル・ストックテイク(GST)」の1回目の場としても注目を集めた。パナソニックグループはセミナーへの参画やエネルギー自立分散型ソリューションの展示を通じ、グループの理念や、脱炭素社会の実現に向けてグローバルで展開する環境取り組みを発信した。
COP28では、参加国・地域、国際機関の取り組みを世界に発信するパビリオンが設けられた。環境省が開設したジャパン・パビリオンのテーマは「Together for Action」。脱炭素化や気候変動の緩和・適応に貢献する日本の技術や取り組みを、14事業者が紹介した。
パナソニックグループはCOPのジャパン・パビリオンに5回連続で出展。今回パナソニックグループが展示した「エネルギー自立分散型ソリューション」は、ペロブスカイト太陽電池やグリーン水素生成デバイス、純水素型燃料電池などの発電デバイス群と蓄電デバイス群を組み合わせ、CO2フリーエネルギーの地産地消を実現するもの。気候変動に伴い増加が懸念される災害時のバックアップとして地域への電力供給を行い、日常生活の継続を支援する。
これらの「つくる」「つかう」「いかす」技術・ソリューションを通じ、「社会の脱炭素化と安全安心なくらしに貢献」というコンセプトを訴求した。
パナソニックグループをはじめとする企業が地球環境問題の解決に貢献する上で、脱炭素化に寄与する技術開発・イノベーションは大きな役割を果たす。ただしこれらを推し進めるためには、事業活動を通じたCO2ほか温室効果ガスの排出量だけではなく、削減貢献量(製品・サービスの導入などによるバリューチェーン上の排出削減への貢献量を定量化する考え方)が、企業評価に適切に反映される仕組みが必要だ。
こうした考えの下、パナソニックグループの経営幹部はCOP28のジャパン・パビリオンで経済産業省が主催するセミナーに参画。世界の温室効果ガス排出削減に貢献する日本の技術の開発・普及や、削減貢献量の意義・国際標準化の必要性について議論した。
12月5日の「Tech for Transition」をテーマにしたセミナーには、グループCEOの楠見 雄規が参加。
削減貢献量に関する「テクノロジーX ルール作り」をテーマに議論を交わした。楠見は気候変動問題の解決に向けたPGIの概要や取り組み、CO2削減に「IMPACT」をもたらすパナソニックグループの革新的なソリューションを説明。また、削減貢献量については、グローバル共通基準の策定に参画してきた点に言及。「排出量には国際的に認知されている算出方法が存在しますが、削減貢献量にはこうした『モノサシ』が確立されていません。そのためパナソニックグループは昨年から、削減貢献量の社会的意義や標準化について話し合う、さまざまな国際会議に参画してきました」と紹介した。「こうした取り組みが結実し、今年5月のG7広島サミットで首脳会合の成果文書に『脱炭素ソリューションを通じて、他の事業者の排出削減に貢献するイノベーションを促す、民間事業者の取り組みを奨励』と明記されたのです」
楠見はヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water:A2W)や電気自動車(EV)用電池、純水素型燃料電池、ペロブスカイト太陽電池など、お客様や社会の脱炭素化に貢献する製品・ソリューションも紹介。「パナソニックグループは、あらゆる事業領域で削減貢献量を最大化。創業者・松下幸之助が90年前に思い描いた『物と心が共に豊かな理想の社会』の実現に貢献していきます」と語った。
12月3日の「ネットゼロ社会に向けた削減貢献量の適切な評価」セミナーには、パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)品質・環境担当、CS担当 執行役員の上原 宏敏が参加。金融業界による削減貢献量の評価・活用拡大に向けたステップについて議論した。
上原はCOP28に先立ち10月に東京で開催されたGGX x TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)サミットでも、削減貢献量は企業が気候変動問題の解決にどれだけ貢献したかを測る指標であり、その活用は社会全体の脱炭素化につながると言及している。COP28では、企業や事業を評価する指標として削減貢献量が金融業界で活用されるようにするためには、算出方法が標準化され、公平かつ企業間の比較が容易であることが必要と示唆。そのためにパナソニックグループとして進める3つのステップを説明した。
一つ目は、削減貢献量を算定するプロセス・条件の標準化だ。持続可能な開発のための世界経済人会議 (WBCSD)や経済産業省のGXリーグのメンバーとして、パナソニックグループは削減貢献量の開示・評価ガイドラインの作成を推進。国際電気標準会議(IEC)が2024年に導入を目指す国際規格の策定も支援している。
二つ目が、削減貢献量の算定事例を業界ごとに収集・共通ルール化すること。非常に難しい取り組みだが、これにより企業間の削減貢献の比較が容易になり、評価指標としての活用が期待できるという見解を示した。
三つ目は、削減貢献量の積極的な開示である。今年からパナソニックグループは『サステナビリティ データブック』に削減貢献量の数値とその算定方法を掲載している。「WBCSDやGXリーグのガイダンス、IECでの議論を踏まえつつ、透明性をもって公表しました。削減貢献を果たす事業の変革・成長を加速している証しとして、今後も継続して開示していきます」と強調した。
上原が示す一連のステップを踏み、削減貢献に取り組む企業が適切に評価されるようにするためには、企業自身の取り組みはもとより、あらゆるステークホルダーによる議論・協力が必要となる。楠見はCOP28の場で「削減貢献量の概念が世界的に認知されれば、企業は削減貢献の拡大に向けた創意工夫を競うようになり、社会のエネルギー変革に向けた力はより大きくなると確信します」と語った。パナソニックグループは中長期環境ビジョンである「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」の推進とともに、脱炭素社会の実現に向けて、社会やグローバルのパートナーと緊密に連携した取り組みを進めていく。
※掲載している解説図版は、COP28でのパナソニックグループ発表内容(原典:英語)を日本語化したものです
記事の内容は発表時のものです。
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