2024年11月1日
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パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社(代表取締役社長:山田 昌司 本社:大阪府門真市 以下当社)は、建築業界では初めてとなる、コアンダ効果を利用した管路損失低減技術を開発し、この技術を展開した「コアンダエルボ(高排水用)」を、当社の非住宅用雨水排水システム「大型雨とい高排水システム」用として2024年11月1日に発売します。
昨今、地球温暖化などによる気候変動の影響で異常気象が増加しています。中でもゲリラ豪雨は、我々にとって身近な異常気象の一つです。ゲリラ豪雨時には通常想定される降水量を大幅に超えるため、従来基準の雨とい排水能力では対処できず、結果、軒といからのオーバーフローなどの発生も懸念されています。
上記問題を解決する手段の一つが、たてといの本数を増やすことですが、たてといの本数を増やすことは、一方で建築の外観意匠(ファサード)の美観を損ねることにも繋がります。
この矛盾に対処するため、当社は2020年より、サイホン現象(※3)を利用することで高い排水能力を実現する、大型雨とい高排水システム(※4)を提案してきました。
そして、今回の「コアンダエルボ(高排水用)」によって、従来は、その高い損失係数などが理由で採用できなかった、意匠性の高いコンパクトなエルボを使った高排水システムが利用可能になりました。また、建築の外観意匠のさらなる向上に寄与できます。
加えて、管内流れのブースターのような機能を有する「コアンダエルボ(高排水用)」と所定エルボとの組み合わせにおいて、業界最高水準(※1)となる、従来比最大9%の排水能力の向上を実現しています。
当社は『くらしの「ずっと」をつくる。“Green Housing”』を事業スローガンに、変化する価値観や社会課題に向き合い、持続性のある豊かな社会をつくっていきます。
※1 建築用排水システムにおいて(2024年10月現在、当社調べ)
※2 特定の曲面に沿って流体が流れる際に、周囲の流体を取り込むことで、強い流れを作る現象
※3 配管内の流体の位置エネルギーを利用して、管内の負圧により強い流れを作る現象
※4「大型雨といエアロアイアン・谷コイル」と、株式会社クボタケミックス製「ビニルパイプ・カラービニルパイプ(JIS管)」、当社製「自在ドレン(高排水用)」などの専用部材を組み合わせる排水システム https://sumai.panasonic.jp/amatoi/high-drainage/about/
パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社 外廻りシステム事業部 営業企画部
電話:06-6909-7676(代表 受付 9:00~17:30)
コアンダ効果は、1930年代にルーマニアの発明家・科学者であるアンリ・マリ・コアンダ氏の特許に記載された内容が初出であると一般的に言われています。現在、コアンダ効果は主に空力学で用いられることが多く、例えば、ジェットエンジン、飛行機の翼、ドローン設計、ドライヤーやエアカーテンの流れ制御などがその代表的な事例です。一方、液体や今回の雨水排水システムのような気液二相流での適用事例は、例えばノズルのエジェクタ部分の流れ制御などで、あまり事例は多くありません。今回の「コアンダエルボ(高排水用)」のように、配管内の曲がり部材と組み合わせて、曲がり部の損失係数を低減させる事例は、世界的に既出知財も少なく、非常にユニークです。
コアンダ効果とは、単に「流れが特定の曲面に沿う」ことだけを指すのではなく、「特定の曲面に沿って流体が流れる際に、周囲の流体を取り込むことで、強い流れを作る現象」も含みます。この後者の現象を用いることで、小さい内部曲率の影響で損失係数が大きい「DLエルボ」の損失係数を大幅に低減することに成功しました。
この技術の実現は、緻密かつ膨大な計算を通じて表面形状を導出後、加えて網羅的な検証・評価を経て設計された、DLエルボの内部形状に最適化した「コアンダブロック」の表面形状によります。また、この技術は、雨水排水配管用エルボに限らず、さまざまな配管部材にも適用が可能です。
従来の高排水システムにおいては、損失係数が比較的低い「LLエルボ」しか使うことができませんでしたが、今回の技術開発によって、コンパクトで汎用性が高い「DLエルボ」も選択可能となりました。「DLエルボ」を使用することにより、「LLエルボ」と比較してすっきりしたデザインとなるので建築の外観意匠(ファサード)向上に貢献します。一般的にコンパクトなエルボは、その曲率半径の小ささから損失係数が高く、ゆえに「LLエルボ」に代表される大ぶりのエルボを使わざるを得ませんでした。しかし今回の技術開発によって、この背反関係を解消することが可能となりました。
1970年頃より、サイホン現象を利用した雨水排水システムはヨーロッパ諸国、オーストラリアなど世界中で広く施工されています。このようなシステムにおいて、最大排水能力はエネルギー保存則であるベルヌーイの定理より算出することが可能であり、この定理より、部材の損失係数の大きさが最大排水能力に大きく影響します。中でも、エルボのような曲がり部材の損失係数の影響は大きく、このロスを低減することが排水能力を向上させる大きなファクターです。今回のコアンダ技術による「DLエルボ」の損失係数の大幅低減が、システム排水能力の向上に大きく寄与しています。
記事の内容は発表時のものです。
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