2024年8月2日
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パナソニック株式会社は、これまで住宅用、公共・産業用太陽電池モジュールの開発、製造、販売を通じて培ってきた高性能、高信頼性技術・ノウハウを生かし、太陽電池の新たな用途開拓に取り組んできました。このたび、HIT®車載タイプを開発し、2017年2月に発売されたトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)の「新型プリウスPHV」に採用されました。加えて、駆動用リチウムイオンバッテリーについても、2012年に発売された「プリウスPHV」に続き、当社製の車載用角形リチウムイオン電池が採用されています。
当社製太陽電池は、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独自の構造で、高い変換効率と優れた温度特性が特長です。従来の車載用太陽電池は出力が数W~数十Wで、12V系バッテリーの補充電や駐車中の換気電源のみに利用されていましたが、当社製太陽電池の特長を生かすことにより、限られた面積の自動車ルーフでも大出力(約180W)を実現。12V系バッテリーのみならず、駆動用リチウムイオンバッテリーへの充電を可能にし、EV走行距離の延長と燃費の向上が期待できます。
さらに、「新型プリウスPHV」の流麗なボディデザインにマッチする3次曲面ガラスへのラミネート技術を開発し、先進感あふれるデザインを損うことなく、ルーフへの搭載を実現。車輌の環境性能の向上に貢献します。
当社は、今後HIT®車載タイプの採用拡大を図り、「住宅分野」「産業分野」に加え、「車載分野」においても環境社会の実現に貢献していきます。
先代プリウスHVにも太陽電池モジュールがオプションで搭載されていましたが、車内空調用の換気などの用途に限られていました。今回開発した車載向け専用モジュールは、従来の3倍以上となる約180Wという高出力を実現し、車内アクセサリーの電源として快適に使用できるだけでなく、駆動用バッテリーの充電も可能です。太陽電池で生成した電気エネルギーが走行電源の充電にも使用できるようになり、1回の充電あたりの走行距離の延長が可能となります。
「新型プリウスPHV」は、美しいスタイルと、空力制御による静寂感および低燃費の実現のため、非常に斬新で複雑なボディデザインをしています。特に、ルーフ部に関しては、全体的に柔らかな曲線形状を基本とし、フロントガラス、ピラー、そしてボンネット付近まで複雑な3次曲面で構成されています。
この複雑な3次曲面ルーフにマッチさせるため、当社は独自のラミネート化技術を開発しました。この技術は、モジュールの上下両面を柔軟な素材で加熱圧着することが特長で、平面しか対応できなかった製造プロセスを3次曲面まで対応できるようにした画期的なものです。この開発が車載タイプの実用化を可能にしました。
曲線美が豊かな HIT®車載タイプモジュール
「新型プリウスPHV」の駆動用バッテリーには、2012年に発売された「プリウスPHV」に続き、当社製の車載用角形リチウムイオン電池が採用されています。高容量、高出力、高安全性など車載電池に要求される事項をバランスよく実現した当社製の車載用角形リチウムイオン電池は、回生エネルギーと太陽電池で生成された電気エネルギーを充電し、EV走行距離の延長と燃費向上に貢献します。
「新型プリウスPHV」 のルーフに搭載される太陽電池モジュールは、太陽光発電システムの住宅市場において非常に高い評価をいただいているHIT®です。最大の特長は、設置環境の温度が高くても、設置面積が小さくても、効率的に発電することです。この特長は車載タイプの太陽電池モジュールとしては最適です。
この特長を生み出すのが、パナソニックが独自に開発したヘテロ接合型太陽電池です。図-1に示す通りシリコンでできた基板の表面をアモルファスシリコン膜が覆う構造となり、太陽電池内部で発生した電気の粒を消失することなく取り出せるので、高出力を実現します。
また、定格出力とはモジュール温度が 25℃のときの電力の出力値ですが、太陽電池は温度が上がると原理的に出力が低下します。夏の晴天時には、車輌のルーフを含めて外装温度は80℃以上にもなります。太陽電池モジュールを車輌に搭載する場合、住宅の屋根に設置された場合と同等、もしくはそれ以上に出力が低下することになります。しかし、当社のへテロ接合型太陽電池は図-2に示すように出力の温度係数が一般的な太陽電池に比べて小さいため、出力の低下を抑えます。
高出力であり、かつ、高温環境にも強い(出力の低下が少ない)という、車輌に搭載する太陽電池として最適な2つの特長を備えています。
以上
記事の内容は発表時のものです。
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