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2016年2月1日
製品・サービス / プレスリリース
新たな周波数資源利用に道を拓くテラヘルツ無線技術
国立大学法人広島大学、国立研究開発法人情報通信研究機構、パナソニック株式会社は共同で、シリコンCMOS集積回路[1]により最大毎秒100ギガビットを超える伝送速度でデジタル情報の無線伝送を可能とする、テラヘルツ波(300GHz帯)を用いた無線送信技術を世界で初めて開発しました。
本研究成果は、「International Solid-State Circuit Conference (ISSCC) 2016」(1月31日~2月4日、サンフランシスコ)で発表およびデモンストレーション展示されます。
2016年後半あたりからWi-Fiに利用される周波数であるミリ波[3]帯(57GHz~66GHz)よりもさらに高い周波数であるテラヘルツ波[4]帯は、一般にはまだ利用されていない新たな周波数資源です。テラヘルツ波帯を用いた無線システムは、広い周波数帯域を利用可能で超高速通信に優れているという特長があります。今回、デジタル信号処理回路との接続が容易なシリコンCMOS集積回路を用い、独自の周波数変換回路と電力合成技術を適用することで毎秒100ギガビット相当の無線伝送の可能性を国際的な周波数割り当てが見込まれる300GHz帯で世界で初めて実証しました。本技術が実用化されれば、データセンター内のデジタル情報や、スーパーハイビジョンの映像信号を光ケーブルなどを用いることなく無線で接続できるようになります。
本研究開発は、総務省平成26、27年度「テラヘルツ波デバイス基盤技術の研究開発-300GHz帯シリコン半導体CMOSトランシーバ技術-」の成果の一環です。
従来、テラヘルツ帯信号を用いた無線通信実験は、高周波動作に有利な化合物半導体を用い、出力をオン・オフし通信を行うような単純な回路方式による検討が主でした。一方、テラヘルツ帯を用いた無線通信技術が広く普及するためには、デジタル信号処理回路との組み合わせや高速化に必須となる多値変調回路との集積化が容易なシリコンCMOS集積回路によりテラヘルツ帯信号の無線伝送を可能とする技術が望まれていました。
本開発の無線技術は、シリコンCMOS集積回路により実用的なテラヘルツ帯の信号生成を実現したものであり、以下の技術を用いています。
今回は無線通信システムのうち、300GHz帯の送信回路を実現したものです。テラヘルツ帯無線通信システムの実用化にはこの他に300GHz帯受信回路、高速通信に対応したデジタル信号処理による変復調回路が必要となります。今後これら無線通信システムに必要な回路の基盤技術を開発し、シリコンCMOS集積回路による無線通信システムの実用化を目指します。
1.局部発振信号と中間周波数帯の変調信号を同時に3次非線形回路に入力することで、中間周波数帯から300GHz帯へと変調信号を歪ませることなく周波数変換を可能にする技術
2.周波数変換後の信号を32個並列に接続し、300GHz帯の出力信号を大きくするための電力結合技術
3.無線送信回路に必要となる差動信号を、入力信号を増幅しつつ電力分配することで効率よく発生する増幅回路技術

以上
記事の内容は発表時のものです。
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