パナソニックは、昨年11月、2022年4月に持株会社制へ移行することを発表した。大きな組織変更に踏み切ったのは、個々の事業ごとに競争力を徹底的に高めること、そしてグループ全体としての成長を確保していくことが目的だが、その先にあるパナソニックの姿はどのようなものか。2021年の年頭、津賀社長から全社の従業員に向けて発信したメッセージは、将来に向けたパナソニックのさらなる変革を予見させるものだった。
「変化」を機会に、さらなる挑戦を
昨年は世界中が新型コロナの拡大、それがもたらす大きな環境変化を経験した年でした。脅威と機会が混在する中、当社においては社員一人ひとりが自らの行動を変え、この大きな変化に向き合ってまいりました。
結果、売上高は回復基調にあり、固定費の水準も大幅に改善しています。ただ、固定費・利益の改善については、この体質を今後も維持できるかどうか、今我々はまさに正念場にあります。我々の資金の全てはお客様から頂いた「社会のもの」であり、お役立ちの実現に向けて最もふさわしい形で使っていかねばなりません。その意味でも改めて無駄を徹底的に減らすべく、引き続き社員全員で知恵を絞っていく所存です。
会社の形という点では、昨年11月、持株会社制への移行を発表しました。事業の「専鋭化(※)」を進め、競争力を徹底して強化すること、グループ全体で成長性を確保すること。これにより、長期視点でパナソニックグループを発展させていく、ということを社長交代発表と共に、決意を持って示しました。今後も全社員の衆知を集め、現場の状況を踏まえながら、新体制の更なる具体化を進めてまいります。
※絞り込んだ領域で競争力を徹底して磨き上げる姿を示す造語
そして、2021年。今年4月には新たなCEOが就任し、10月には持株会社制に向けた組織再編が行われる予定です。今年はこの変革に魂を注ぎ込み、100年企業パナソニックの将来の発展に向け、真の再スタートを切る上で非常に重要な年です。この年の年初にあたり、当社社員一人ひとりに対し、自らのマインドを変え、この大きな変化を機会に変えていくことを求めていきたいと思います。
今回の組織改革の目的も、個々の事業競争力強化、グループの成長性確保に向け、会社を最適な形にし、各事業が自ら出来ることを増やしていくのが基本です。既存の組織や枠組みを前提に生じる不安については出来る限り早期に乗り越え、新たな課題も全員で知恵を出して解決していける形にしていきます。また、パナソニックを事業会社という小さな単位にすることで、向き合う市場、お役立ちの姿をより明確にできると考えています。社員一人ひとりが、「ここは自分の会社だ」という気概で、自らを輝かせるべく新たな挑戦に取り組み、その総和としてパナソニックブランドが輝く。こうした姿を目指していきます。
将来振り返った際、「あの時の挑戦が飛躍の契機となった」と思えるような年にしていきましょう。
津賀社長が社内に強く求めているのは、「マインドセット」の変革だ。持株会社制への移行を通じ、パナソニックグループは自らの向き合う市場をより明確にしていく。今回の変革を、一人ひとりが挑戦し飛躍できる新たな機会として従業員が自分化し、向き合う市場に対して最適なお役立ちの姿を実現できた時、パナソニックグループも大きく飛躍し更なる成長を遂げることだろう。