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「働く親」の負担を軽減するために 「Yohana」がパーソナルアシスタントサービスを米国でスタート

2021年9月21日

特集

「働く親」の負担を軽減するために 「Yohana」がパーソナルアシスタントサービスを米国でスタート

パナソニックの常務執行役員 松岡陽子が創業し、CEOを務める米国のウェルネス企業「Yohana」。松岡は自身も4人の子どもをもつワーキングマザーであり、家族の幸せの向上に寄与するテクノロジーの開発に携わってきた。コロナ禍の到来によって「働く親」の負担はさらに増し、深刻な子育ての危機に直面している――強い課題認識のもと、「Yohana」は2021年9月、共働きの親たちを対象とした、これまでにない新たなパーソナルアシスタントサービスをシアトルでローンチした。


人とテクノロジーの良さを組み合わせ 忙しい家族をサポート

「Yohana」は、働く親とその家族が、家庭の幸せを最優先し、お互いと向き合う時間を大切にするためのサポートに特化した企業として設立された。その第一弾のサービスとして、まずシアトルでローンチしたのがパーソナルアシスタントサービス「Yohana Membership」だ。働きながら家庭でも様々な「こなさねばならない用事(タスク)」を抱える親たちを、チャットボットやバーチャルアシスタントではない実際の人間「Yoアシスタント」が、専用アプリのチャットを通じて支援する。

写真:「Yoアシスタント」専用アプリ

家のメンテナンスから、子どもや自分自身の予定の調整、病院の予約、贈り物やバースデーケーキの手配、習い事用の軽食の注文など――無限にあるタスクも、やるべきことの詳細が決まらない段階から共有可能だ。進捗状況は、お客様と「Yoアシスタント」双方が「Yohanaアプリ」で確認できるため、すべてのタスクを一緒にやり遂げられるようサポートしていく。サービスの提供はまずシアトルで登録したメンバーから開始されるが、ウェイティングリストには全米で登録が可能となっており、今後対象地域の拡大も視野に入れている。

Yohana紹介動画(英語)

このサービスの特長は、最新のAIと実在の人間によるサポートを掛け合わせていることだ。アプリ上のチャットで連絡を取り合うことができる「Yoアシスタント」は、タスクの遂行を手伝う問題解決のプロフェッショナルで、地域ネットワークに精通しており、社内外の様々な分野のエキスパート、専任リサーチャーや経験豊富なプロフェッショナルの手配をこなす。長期的にお客様と関係を構築しながら、データシステムと直感的なツールを活用し、完了したタスク一つひとつから学ぶことでユーザーの好みに沿った提案や、より効率的な進行ができるようになる。

最初のターゲットとして選定したのは、30~40歳台前半のワーキングマザー。松岡は「彼女らが抱える問題は非常に大きい。これを解決できるサービスを構築できれば、より大きな課題も解決できるようになる」「今回、アメリカで発表したが、『自分は若い男性で、子どももいないが、これは使える』という声も寄せられている。ただ、まずはターゲットを明確にしたところからチャレンジを始めたい」と語る。さらにはパナソニックの持つ幅広い事業領域との相乗効果も、このサービスの可能性を広げる重要な要素であると指摘する。

目指してきたソフトウェア起点のビジネス コロナ禍で「働く親」の負担増に着目

今回、この新サービス「Yohana Membership」が実現した背景には、「Yohana」の創業者かつCEOである松岡自身が、これまでテクノロジー業界の最先端で積んできたキャリア、そして家庭での役割を両立する中で抱いてきた課題意識と、その解決に貢献することへの強い思いがあった。

「Yohana」の創業者でありCEOの松岡陽子(通称 Yoky Matsuoka)

「Yohana」の創業者でありCEOの松岡陽子

UC Berkeleyで科学学士号(EECS、1993)を取得。
その後、人工知能とコンピュータサイエンスという新たな専門分野をもつMITにて修士号(1995)とともに、電気工学とコンピュータサイエンスで博士号(1998)を取得。
1998年~2000年までハーバード大学工学・応用科学部の博士研究員を務めた後、カーネギー・メロン大学教授(2001~2006年)、ワシントン大学教授(2006~2011年)にて、ロボットによる人体・脳のリハビリ機器の開発に携わる。
2009年末、Google Xの創立メンバー(Co-founder)に加入。
ガレージベンチャーだったNestに参画。Nestは2014年、Googleに買収される。
2015年にQuanttusのCEOとなり、2016年にAppleに入社してヘルスケア製品開発に従事。
2017年にGoogle/Nestに戻り、2019年までGoogleのVice PresidentでGoogle NestのCTOとして従事。
2019年10月、パナソニック株式会社へ入社。2020年7月より常務執行役員。

松岡は2019年にパナソニックへ入社後、シリコンバレーに結成したチームを中心に、従来パナソニックが得意としてきたハードウェア起点ではなく、ソフトウェアやサービスを起点とした新たなビジネスの立ち上げに向け検討を進めてきた。その最中コロナ禍に突入し自身の生活も一変したことにより、事業として目指すべき方向性が定まっていった。松岡自身は、ソーシャルメディアの「Medium」上においてこう語っている。

松岡:「私自身、コロナで生活が大きく揺らぎ、手に負えない状態になりました。私以外にも多くの女性が同様の経験をしたことでしょう。そんな中、問題点だけでなく、その解決方法にも関心が集まりました。4人の子どもの母親である私は、これまでいつも、ほとんど曲芸のように色々なことをやりくりしている状態でした。仕事でもプライベートでも、有意義な貢献をしたい。と同時に、家族の面倒を見たり、彼らとの時間を楽しみたいとも思っていましたし、彼らに今よりもっと良い世界を残すことも夢見てきました。

パンデミックが起こり、4人の子どもたちが全員同じ屋根の下でオンライン授業を受けている間、私は次から次へとオンラインで打ち合わせをすることが増えました。どこにも行けないので、普段であればドライブしたり、外を走ったりしていた時間が、家族と過ごす時間に変わったのです。当初は確かに心地よく感じることも多かったのですが、その時点では仕事と家庭が一緒くたになり、至って不健康な状態になっていることに気づいていなかったのです。

家族と一緒にいる時期、仕事はいつも以上にありました。ミーティングをしているときに、子どもが興奮して入ってきて、私に何かを見せようとしたため、『あっちにいって』と言わざるを得ず、悲しい気持ちになったことも。家で仕事をしていると『合間』の時間がないため(ミーティングが終わった次の瞬間、家族が私を呼んでいるのです)、私には考えごとをしたり、自分のことをしたり、トイレに行く暇さえもありませんでした。さらに同じ頃、日本にいる両親が病気になり、一人っ子の私は、約9,000キロ離れたところから彼らの手助けをしなければなりませんでした。

このような中で、私は他社での役職を辞任するなど、非常に厳しい決断をせざるを得ませんでした。皆を裏切っているような気持ちでした。しかし、色々な人、特に他の母親たちと話をするうちに、同じような思いをしているのは私だけではないことが分かってきました。米国でこの1年間に約300万人の女性が仕事を辞めた背景の一つには、このような現実があります。女性の大量離職は国家の危機とも言われています。

他の多くの女性と同じく、私は何とか頑張ろう、母親なら嫌というほど分かっている無理な期待に応えようとしては失敗してきました。(しかもパンデミックで、事態は益々酷くなりました。)ただ一つ違うのは、私には多少なりとも、そんな皆さんのお役に立てることが有るかもしれないということでした。パナソニックに転職し、チームを立ち上げた時、私がやりたいことは、はっきりしていました。家庭に役立つ技術の開発です。ただし、そこには様々なアプローチがあります。どんなアプローチがよいのか――。

世界的な感染爆発の中でチームの仲間と仕事をしているうちに、私は、答えが目の前にあることに気づきました。私たちがすべきことは、忙しさに圧倒され、限界に追い込まれている家族をサポートすることだったのです。私がよく知っている人たち、そして私自身は、まさにそうした家族の一人です。しかし、現状を見ると、テクノロジーは本来人の役に立つものであるべきなのに、既存のソリューションは、救世主というよりも、むしろ厄介者になっていることがあります。これまで1年半の間に、チームには使命感を持った人々が集まり、世の中の家族が幸福や健康を大切にし、もっと一緒にいられるようになるものを作ろうと励んできました。女性や家族がギリギリの状態まで頑張らなくてはならない問題を、完全に解決することはできないかもしれませんが、家庭でできることから始めるなら可能だと考えたのです」。

今回、この「Yohana Membership」のサービス提供を最初に開始するシアトルは、松岡にとって関わりの深い土地だ。自身の子育てのタイミングで過ごしていた場所であり、またワシントン大学の教授を務め、最新のロボット義手開発でマッカーサー基金の「天才賞」を受賞、その際の助成金を元に「Yoky Works Foundation」(身体・学習の面で課題を抱える子どもたちのために、読字への障害を取り除き潜在能力を解き放つことを追求する財団)を設立するなど、テクノロジーと人間との掛け合わせによって人々の助けとなることを、キャリアの道筋として定めた地でもある。

松岡は、今回のサービス提供の開始に際し、次のように抱負を語っている。

写真:「Yohana」の創業者でありCEOの松岡陽子

松岡:「私のバックグラウンドはAIで、教授の時代もAIの最先端で仕事をしていました。しかしそこで感じたのは、まだAIだけでは人間のニーズに対応できないということでした。10年後全てAIになっているかと言われると、私はそうは思いません。テクノロジーでできることは増えると思いますが、優しさや感情、家族とのつながりは今後も続きます。問題発生からそれが解けるまで『End to End』でサポートができることが重要です。例えば子どもの喘息がひどく助けてくれないかと依頼した際、薬を渡すだけでなくAIが進化してセンサーで喘息が起こる前に防げるとしても、やはり足りません。プロフェッショナルを雇って、枕に入っているダウンや、壁の後ろに生えているカビによるアレルギーを指摘するなど、課題を状況含めHolistic(全体的)に見ること、これはテクノロジーと人間の組み合わせでこそ可能なことです。

まず、このサービス開始で目指す最初のゴールはExperience、『Yohana』がある生活を体験してもらうこと。一人ひとりの体験者に、I can't live without 『Yohana』(Yohanaが無いと困る)と思ってもらい、自分が何かやらなければいけないと思ったときに『Yohana』が真っ先に思い浮かぶ、そうした領域に持っていくことが重要だと思っています。今はスタートライン。この先に、サービスを通じて、多くの人が自分の子どもとの時間が増え、仕事も成功する――そうした広がりを実現できればと考えています」。

「Yohana」ロゴ入りイメージ

人とテクノロジー両面でのサポートを組み合わせ、忙しい家族のより良いくらしを支援すべく立ち上がった「Yohana」。企業名の由来は松岡の通称「Yoky」と日本語の「花」だ。花は「人に贈る」「人から頂く」ことで「あたたかさ」や「幸せ」、「楽しい」といった感情を生む。こうした花から連想される感情は手掛けるビジネスにおけるキーであり、花を「人に贈る」「人から頂く」その一瞬一瞬の「心のゆとり」や「幸せな気持ち」を世の中の人々に提供することで、働く親たちのウェルビーイングを実現していきたい――という思いが込められている。その歩みは今まさに「スタートライン」、始まったばかりだ。家族の幸福感を高める製品・サービスの創出で新たなお役立ちを形にし、世界の家庭に届けていく「Yohana」の挑戦に注目していただきたい。

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