2024年12月20日
- 企業・経営
- プレスリリース
パナソニックグループでは近年、異なるキャリア・経験・人脈を持つキャリア採用(中途採用)の社員が増えている。彼らはそれぞれ高いモチベーションと共に中途入社してきた人財だが、新卒入社の社員と比べると「気軽に相談し合える同期が少ない」という課題を抱えている。そんなキャリア採用者同士をバーチャルでつなぐことで、日々の困りごとを相談でき、お互いの知識を生かして解決し合える場として2019年に誕生したのが、社内オンラインコミュニティ「キャリクロ(キャリアクロスオーバーの略)」だ。参加者はオンライン上で、立場や所属部署を超えて、自分が求める知識を持っている参加者を探し、相談することができるというもので、グループが目指す「衆知経営」実践の場の一つとして、社内で広く認知・評価されている。2023年7月現在、約2,000人のメンバーを有するまでに成長したキャリクロ。一方で、創設メンバーが大切にしているのは「ゆるいつながり」の場であることだ。
近藤 一哉(こんどう かずや)(写真左)
パナソニック ホールディングス株式会社 PanasonicWELL本部 コーポレートイノベーション戦略部
2019年に入社。インダストリー領域でAI×IoTの新規事業を立ち上げ、現在は全社データ活用を推進。
宮島 勇也(みやじま ゆうや)(写真中央)
パナソニック ホールディングス株式会社 技術部門 MI本部 ラピッドマニュファクチャリング推進室
2016年に入社。「キャリクロ」のほか、イノベーションを創出しやすい社内風土や環境づくりを推進。
山田 亮(やまだ りょう)(写真右)
パナソニック株式会社 空質空調社 DX担当 DXセンター 戦略企画部
2018年に入社。主にDX戦略をリードする。実家はパナショップを経営。幼い頃から創業者・松下幸之助のエピソードに親しんで育つ。
パナソニックグループでは、経営基本方針の一つに「衆知を集めた全員経営」(衆知経営)を掲げている。これは一人ひとりの知恵を結集して経営を行うこと、すなわち衆知を集めて経営に生かすことである。
また、グローバルで約23万人、日本国内では約9万人の社員が働くパナソニックグループは、多様な人財がそれぞれの力を最大限発揮できる、最も「働きがい」のある会社を人・組織・文化の目指す姿としており、「一人ひとりが活きる経営」の実践を目指している。中でもDEI(※)の推進を重要な経営施策の一つとして位置付け、さまざまな取り組みを推進中だ。
※DEI(ディー・イー・アイ)は、「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称。
2019年12月に社内チャットツール上に創設された社員向けオンラインコミュニティ「キャリクロ」は、キャリアや立場にかかわらず情報への公平なアクセスの機会を等しく得られ、相談し合える場として評価され、DEI取り組みのうちの「Equity(エクイティ、公平性)」の向上に貢献する活動として役員からも高い評価を得ている。現在はキャリア採用者に限らない多くの社員や経営層までもが参加する2,000人規模のコミュニティへと成長を遂げた。現在でもメンバーは月に約100人ペースで増加しているという。
キャリクロの発起人である宮島 勇也(みやじま ゆうや)は次のように語る。
宮島:キャリクロの最大の特長は、キャリア採用者の方が入社してすぐに、組織や業務を超えた「バーチャル同期」をつくれる、ということです。
私は2016年にキャリア採用で入社したのですが、当時は「同じタイミングで転職してきたメンバー同士がヨコにつながる仕組み」というものはありませんでした。そのため、いわゆる「同期」に当たる人もいませんでした。新しい環境に飛び込み、右も左も分からない、だけどモチベーションは高く、お客様のお役に立ちたいと強く思っている――そんなキャリア採用者たちが、不安に思ったりためらったりすることなく、気楽に相談し合える場があればいいなと思っていました。その後、同じキャリア採用者として入社してきた山田さん、近藤さんらと、知り合うことができました。彼らと話しているうちに、オンライン上でバーチャル同期とゆるくつながれるコミュニティがあったらいいね!と盛り上がり、キャリクロが生まれ、私はそのコミュニティの代表を務めることになりました。
最初はメーリングリストを使うところから始めたのですが、ほどなくコロナ禍のタイミングと重なり、社内チャットツールをプラットフォームとして活用することに切り替えることとなりました。
宮島:今のキャリクロは、パナソニックグループの社員であれば、キャリア採用者に限らず誰でも参加できるコミュニティです。キャリア採用者の方のために創られた場所ではありますが、そこに生え抜き社員が入れないというのはもったいない。グループが目指す「衆知経営」という言葉通り、社員全体の知恵が集まる場を目指しています。
「運営側としては参加者にコミュニティへのコミットなどは特に求めず、皆さんがただただ安心・安全に課題解決ができる場を保てるよう、見守らせてもらっています」。2018年入社の山田 亮(やまだ りょう)はそう語る。
山田:キャリア採用の仲間たちは、未知の領域に飛び込みながらも、「新しいことに挑戦しよう」「頑張ろう」という強い意志を持って転職してきました。彼・彼女ら全員にとって情報を平等に得られる場所が必要であり、それがキャリクロなのです。
コミュニティのメンバーに対する特別なルールはなく、ノルマや数値目標も特に設けていません。日常業務とは別の社内コミュニティですから、誰に対してもストレスフリーでありたいですし、誰のことも否定しない、「ゆるいつながり=弱い紐帯(ちゅうたい)の強み」が続く場所でありたいと考えています。
「キャリクロをみんなが使ってくださるのは、『便利さ』と共に『自分にも、組織の外に仲間がいるんだという安心感』を提供しているところにあると思っています」と語るのは、2019年入社の近藤 一哉(こんどう かずや)だ。
近藤:私たちの会社は事業領域が多岐にわたります。そのため同じパナソニックグループの社員であっても、一人ひとりが身近に触れられる情報には差があります。
しかしキャリクロでならお互いが時には相談者となり、時には回答者となることで、それぞれの所属組織では得られない情報を得られる。この便利さと共に、自分は一人じゃない、遠くの組織にもたくさんの仲間がいるという心理的な安心感を得ることにもつながっています。これが結果として皆さんに日々使ってもらえるしくみになった大きな理由なのではないかと思っています。
近藤:私自身、キャリクロで得られる情報の多さと展開の速さには驚かされることが多いです。
以前、自分の担当する、ある新規事業をスケールするため、当初計画していなかった、飲料業界への売り込みにチャレンジすることになりました。しかし戦略を立てようにも、当社に飲料業界に詳しい方というのはそうはいません。そこでキャリクロで「飲料業界から転職してきた方はいませんか?」と相談の投稿をしたところ、すぐに数人の方が名乗り出てくださり、投稿の翌日には業界について勉強させていただく会議を開催することができました。そこでは業界のバリューチェーンから戦略の立て方まで詳しく相談させてもらえ、職場のメンバーと驚いていたところ、今度はある役員の方から「飲料会社の経営者の知人を紹介できますよ」と投稿いただき、一気に実ビジネスの話まで始まることになりました。キャリクロがなかったら、これほどのスピード感でここまで展開が起きることはあり得なかったと思います。
宮島:テーマによっては、グループCEOの楠見から返信があることもあります。CEOからレスが来る、と聞くと驚かれる社外の方もいますが、グループ内で情報を提供し合うという点では皆がフラットでいられる場所なので、実際にはそれほど緊張が走ることもありません。
役員からの返信に対して、もしも投稿者が反応しづらそうにしているようであれば、その場合は運営メンバーが先にレスを返すなどして、会話が途切れないようにサポートすることもあります。ですが、基本的には、私たちは見守り役に徹しています。
山田:キャリクロで皆さんが熱心に反応してくださるのは、「同じ境遇のキャリア採用者同士、助け合いたい」という思いはもちろんのこと、「その情報を必要としている人の先には、お客様がいる」ということを理解されているからだと思います。ただ仲間を作るだけの場所ではなく、情報をシェアした先におられるお客様へのお役立ちのために一刻も早く意見を出し合おう、すぐに動こう、という気持ちが通い合っていると感じますね。
宮島:まさにそうですね。お客様への価値提供、お役立ちのためのコミュニティであるとメンバー同士が認識できているから、業務に欠かせないコミュニティとして長く活用してもらっている。自立的に動いてくださる皆さんのおかげで、持続可能性の高いコミュニティへと成長することができました。
近藤:一方で、積極的に投稿しなければならないといったルールはなく、あくまでも「ゆるく参加していていい」というところが、皆さんの心理的安心につながり、エンゲージメントの高さにもつながっているのだと思います。
宮島:2023年6月、参加者が2,000人を突破したことを記念して、コミュニティ創設以来、初となるオフラインイベントを開催したところ、約100人もの方に集まっていただきました。
これを告知したら、「幹事をやります」「グッズを作ります」とすぐに有志の方が声を上げてくださって……会場ではたくさんの方から「キャリクロのおかげで仲間が見つかりました」「困っていることが解決できました」と声を掛けていただけて。創設から3年半はオンラインでのつながりだけでそのような機会が持てなかったので、皆さんと直接お話しさせてもらえたのはうれしかったですね。
山田:有志の方の活動といえば、「パナソニック用語集」をまとめてくださった方たちもいます。
創業から100年以上の歴史の中で生まれてきた「パナソニックグループ独自の表現」をキャリクロ上で募り、その意味を一つひとつ定義し、いつでも閲覧できるオンライン用語集としてまとめてくれました。
宮島:パナソニック用語はキャリア採用者にはなかなか把握が難しい分野なので、主にキャリクロ内の生え抜き社員の皆さんが率先して仕上げてくれました。
キャリクロの成長を支えてきたのは、運営メンバーたちの「新しく仲間になってくれたキャリア採用社員を少しでもサポートできれば」という思いだ。「パナソニックグループは世界で最もキャリア採用希望者が入りやすい、優秀な人財に選ばれる会社であってほしい」と3人は語る。
近藤:本当にたくさんのキャリア採用者が、当社には入社して来られます。そして多くの事業において中心的な役割を担っておられ、とても素晴らしいことだと思っています。一方で、どうしても入社タイミングや所属組織によって情報格差が生まれてしまう現実もある。その差異を埋めるしくみとしてキャリクロを創りました。私にとっても、安心できるコミュニティを超え、今や業務を推進する上で欠かせないツールになっています。未来の仲間ともまたキャリクロをきっかけに出会い、助け合っていければと思います。
山田:私はレノボやマイクロソフトを経てパナソニックに参画しましたが、パナソニックグループならではのやりがいは確実にあります。事業のポートフォリオが広く、グローバル視点を持ちつつ世界中に地域に根差した開発・製造・販売拠点を展開している企業であり、パナソニックグループが変われば世界も変わると信じています。ここで自分の旗を掲げたいという人に、ぜひ仲間になっていただき、チャレンジしてほしいですね。
宮島:バーチャル同期が2,000人いる、役員からもアドバイスをもらえる――そんな会社はなかなかないと思います。この環境を自己実現のために役立ててほしいと思いますし、そこに私たちも参加して一緒に挑戦させてもらえたらうれしいです。
変化する世界の中にあっても、衆知経営を実践することでお客様に寄り添い、持続可能な「幸せ」を生みだす「チカラ」であり続けたい――「幸せの、チカラに。」をブランドスローガンに掲げるパナソニックグループは、今後もこのキャリクロの取り組みに留まらず、お客様一人ひとりの幸せの、チカラになるために、さまざまな取り組みを推進していく。
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。