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2023年9月14日
技術・研究開発 / プレスリリース
~A4サイズ、セットアップから測定まで5分、センサ搭載のノイズ可視化システムがリアルタイムに電磁ノイズ発生源を特定~
パナソニック コネクト株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 執行役員 プレジデント・CEO:樋口 泰行)、国立大学法人 金沢大学は、共同研究の成果を8月3日、米国ミシガン州で開催された電気・情報工学分野で世界最大規模の学術研究団体IEEE※1における「EMC+SIPI 2023/2023 IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility, Signal & Power Integrity」(会期:7月31日から8月4日)にて「電磁ノイズの二次元可視化システム開発」を発表、また札幌で開催された電波、電気通信及び電子科学分野の国際学術団体 URSI※2における「第35回国際電波科学連合総会/URSI GASS 2023/35th URSI General Assembly and Scientific Symposium」(会期:8月19日から26日)にて8月22、24日に「電界分布の広帯域測定のための積層型メタサーフェスの等価回路解析」、「現場における電磁ノイズ可視化に向けた広帯域メタサーフェスの性能評価」を発表、いずれも世界初※3となる研究成果を発表しました。
近年IoT※4技術が加速する中、電子機器が取り扱う情報量が増加、またデータ通信の高速化に伴い、電子機器が発する不要な電磁ノイズが急激に増大する傾向にあります。製品開発の現場では、電子機器を電波暗室内に設置して、発生する電磁ノイズの強度を周波数毎に測定し、EMC※5規格で定められた限度値を超えていないかを確認しています。
この電磁ノイズ源を特定するためには、さらに近傍で電磁界分析をして要因を特定する必要がありましたが、操作が煩雑で測定時間が長いという課題がありました。また測定装置が大きくてセットアップに時間がかかり、できあがってもリアルタイムなフィードバックを得るのが困難で、電磁ノイズの特定に1日から数日を要することも少なくありませんでした。
この課題に対し、パナソニック コネクトは、商品開発で培った電磁界シミュレーション技術と金沢大学で開発された薄板状の電波吸収体に吸収される電波強度から電波の2次元分布を計測する技術を、両社共同でプリント基板※6上に波長よりも十分に小さい金属パッチの周期構造※7を2次元平面上に形成し(メタサーフェス)、プリント基板を上下2段にスタックすることで、2つの共振器を適切に結合させるスタック型メタサーフェス電波吸収体を開発、広い周波数範囲の電磁ノイズを吸収できる性能とセンサの小型化の両立を可能とした電磁ノイズ可視化システムの開発を実現しました。
製品開発の現場やお客様環境における電磁ノイズ対策では、持ち運びの自由度が高い装置で、電子機器から放射される電磁ノイズをリアルタイムに測定できるような技術が要求されます。
この度の開発により、A4サイズで幅広い周波数(300 MHz~1.4 GHz)の電磁ノイズをリアルタイムに可視化し、迅速に電磁ノイズ発生源を探ることが可能となります。
製品開発での適用はもちろん、工場の設備の電磁ノイズによるトラブルや、パワエレ※8設備、車載機器、医療機器などさまざまな現場で発生する課題への分析が容易となり、EMC分析技術の革新が期待できます。
今後も現場で電磁ノイズのトラブルを抱えるお客様が、EMC対策を効率的に実施できるよう、電磁ノイズ可視化システムの性能をより向上させ、EMC対策でお困りのお客様に貢献する研究開発を推進してまいります。
製品開発の現場では、電子機器を電波暗室内に設置して、発生する電磁ノイズの強度を周波数毎に測定しています。この際に、規格を超えた電磁ノイズは明確になりますが、どこから発生しているかは分かりません。そのため、近傍で電磁界分析により要因を特定する必要があり、リアルタイムなフィードバックが困難でした。また測定装置が大きくセットアップにも時間がかかっていました。
本システムは、A4サイズのメタサーフェスと、リアルタイムスペクトラムアナライザ※9とPCから構成され重量はわずか3 kg、現場へ持ち運びが容易で、電子機器から放射される電磁ノイズを瞬時にリアルタイム測定できます。
従来の電磁界センサで空間的に走査する測定方法は、操作が煩雑で測定にも時間がかかります。さらにリアルタイム測定では、完成品状態での電磁ノイズ状態を正確に測定できない課題がありました。近年用いられている赤外線センサによる位置データの測定値を合わせて電磁ノイズを可視化する方法では、装置全体の重量が10 kg以上となり可搬性に乏しく、セットアップにも時間がかかっています。本システムでは、1つの電磁ノイズ条件の可視化につき、セットアップから測定まで約5分、現場の測定作業の効率化が可能です。
電磁界センサで空間的に走査する測定方法では、A4サイズを測定するのに数十秒かかり、短時間のみ放射されるようなバーストノイズの取りこぼしが発生していました。しかし、本システムではアレイ型に並べられたセンサで取得した電磁ノイズをRFスイッチで高速に切り替えるので、1秒以下でのリアルタイム表示が可能です。
※1 Institute of Electrical and Electronics Engineers:
世界最大規模の電気・電子・情報工学分野の国際学会
URL:https://www.ieee.org/
※2 International Union of Radio Science:
電波、電気通信及び電子科学分野の国際学術団体
URL:https://www.ursi.org/
※3 2023年9月現在、当社調べによる。
※4 IoT:Internet Of Thingsの略。あらゆる「モノ」がインターネットでつながること
※5 EMC:Electromagnetic compatibilityの略。電子機器から放出する電磁ノイズを抑え、かつ周辺からの電磁ノイズの影響を受けずに動作すること
※6 プリント基板:電子部品を固定し、電気的な接続配線を行う絶縁性の板のこと
※7 金属パッチの周期構造:金属板の小片を周期的に配置した構造のこと
※8 パワエレ:パワー・エレクトロニクスの略。半導体回路システムで電力を制御する技術のこと
※9 リアルタイムスペクトラムアナライザ:入力信号の周波数ごとの強さと、時間変化を解析できる計測機器のこと
※10 2023年9月現在、当社調べによる。1条件の測定につき、機器のセットアップから測定までをおよそ5分で実施。
パナソニック コネクト株式会社は2022年4月1日、パナソニックグループの事業会社制への移行に伴い発足した、B2Bソリューションの中核を担う事業会社です。グローバルで約29,500名の従業員を擁し、売上高は1兆1,257億円※11を計上しています。「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」をパーパス(企業としての存在意義)として掲げ、製造業100年の知見とソフトウェアを組み合わせたソリューションや高度に差別化されたハードウェアの提供を通じて、サプライチェーン、公共サービス、生活インフラ、エンターテインメント分野のお客様をつなぎ、「現場」をイノベートすることに取り組んでいます。また、人と自然が共存できる豊かな社会・地球の「サステナビリティ」と、一人ひとりが生きがいを感じ、安心安全で幸せに暮らすことができる「ウェルビーイング」の実現を目指しています。
※11 2022年度売上高
パナソニック コネクトは、「人権の尊重」と「企業価値の向上」を目的に、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進を経営戦略の柱のひとつと位置づけ、多様な価値観を持つ一人ひとりがイキイキと力を発揮できる柔軟性の高いカルチャーを目指しています。
「少数であること」やその他の理由で権利が守られていない状況に対しては、妥協できない「人権」の問題として取り組みます。
例えば、2016年、国内の人事制度運用上の配偶者に「(同性婚も含む)事実婚を結婚したものと同様に取り扱う」ことを発信するなど、家族の在り方の多様化に対応しています。
▼その他の取り組みについてはこちら
https://connect.panasonic.com/jp-ja/about/sustainability/dei/lgbtq
▼パナソニック コネクト株式会社 ウェブサイト
https://connect.panasonic.com
▼パナソニック コネクト Newsroom
https://connect.panasonic.com/jp-ja/newsroom
記事の内容は発表時のものです。
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