2024年12月19日
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パナソニック ホールディングス株式会社 プロダクト解析センター(以下、プロダクト解析センター)は、一般社団法人ブレインインパクト(以下、ブレインインパクト)の監修のもと、顔映像から脳の健康状態を示すBHQ(Brain Healthcare Quotient)※1を推定する計測器を新たに開発しました。セントラルスポーツ株式会社(以下、セントラルスポーツ)が運営する「セントラルウェルネスクラブ24 葛西」に計測器を導入し効果検証を行い、検証結果から脳の健康状態の可視化が利用者のモチベーションアップに効果があることを確認しました。
※1 BHQ(Brain Healthcare Quotient):MRI計測により、脳の健康状態をわかりやすい数値で示す、国際標準に承認されている指標。脳の健康状態を数値で示すことで、病気になる前の健康なうちから、人々が脳の健康を管理できるように、内閣府ImPACT山川プログラムにて開発されました。
プロダクト解析センターでは、これまで人間の感覚や感情、身体への負担など、人のココロとカラダの状態を可視化・定量化するためのユーザビリティ評価技術を開発してきており、オリジナルの表情解析技術も有しています。
一般に「認知症患者の表情は乏しくなる傾向がある」と言われています。そこで、「認知症」と「表情を作る能力」との間に何らかの相関関係があるのではとの仮説を立て、実証データの収集と推定精度の高い仕組み構築を進めてきました。こうした中で、MRI計測によって導き出された数値と独自のアルゴリズムで解析した結果に一定の相関関係を確認できたことから、「推定BHQ」を計測する機器(以下、「推定BHQ」計測器)の開発を新たに行いました。
今回開発した「推定BHQ」計測器は、モニターに映し出された喜怒哀楽の表情を参加者にまねてもらい、その表情・感情の変化からBHQを推定します。BHQはMRI計測による脳画像データから算出される指標ですが、本機器では、短時間(計測時間は1分程度)で簡易にBHQの数値化体験を提供できるため、日常生活の中、公共のスペースにおいてもご利用いただける機器となっています。
(1)計測IDの入力
(2)モニターに表示される表情をまねる(練習1回、喜怒哀楽の4表情)
(3)計測結果表示(実年齢から想定されるBHQ値と計測した「推定BHQ」値の差分)~推定した脳の健康状態を3段階(高/平均/低)でも表示~
セントラルスポーツ協力のもと、「セントラルウェルネスクラブ24 葛西」に機器を設置し、脳の健康に良いとされる運動を日常的に実施しているフィットネスクラブ利用者に任意で推定BHQ計測とアンケート回答を実施しました。
◇調査期間:2023年6月13日~6月21日
◇調査対象:セントラルウェルネスクラブ24 葛西の会員94名(内 女性は81%)
◇対象属性:平均年齢 67.3歳
◇調査方法:運動前後に「推定BHQ」計測、計測結果の説明、アンケート実施
◇アンケート内容:脳の健康状態可視化の有益性および可視化による運動意欲と継続利用、実施したフィットネスの種類、心理状態
「推定BHQ」計測によって、「自身の脳の健康が可視化されることが、有益だと思う」と回答した人は、全体の76%でした。また、有益だと回答した人のうち、9割が、「脳の健康の可視化が運動意欲の向上につながる」とし、8割は継続的に脳の健康状態を確認したいと回答しました。
これらのことから、「推定BHQ」による脳の健康可視化が、継続的な脳の健康把握と、運動モチベーションのアップに効果的であると考えられます。
プロダクト解析センターは、今後もBHQ推定技術の開発とBHQ改善施策のご提案を通して、人々の脳の健康状態を向上し、ウェルビーイングなくらしの実現に貢献します。
■パナソニック ホールディングス株式会社プロダクト解析センター(https://holdings.panasonic/jp/corporate/pac.html)
パナソニックHDプロダクト解析センターは、パナソニックグループのプロダクトを通して蓄積された解析評価技術を幅広い分野のお客様にご利用いただいております。今回開発した顔の表情による推定BHQ機器について、スマホアプリなどでの簡易な計測の実現を行っていくと共に、企業や自治体などを対象に社員や住民の脳の健康管理に用いていただけるよう、商用化を行うことも検討しています。
■一般社団法人ブレインインパクト(https://www.bi-lab.org/)
一般社団法人ブレインインパクトは脳の健康管理指標BHQに関連する各種取り組みについての国際標準化活動を推進すると共に、脳情報のデータベースを公的共用リソースとして提供しています。今回の研究成果を活用し、脳科学研究の振興及び研究成果の社会への還元をより一層進めていく予定です。ブレインインパクト理事長の山川は以下役職も兼務しています。
・東京工業大学科学技術創成研究院バイオインターフェース研究ユニット特定教授
・京都大学ブレインヘルスケア・ビジネスエコシステム寄附講座特命教授
・神戸大学産官学連携本部客員教授
■セントラルスポーツ株式会社について(https://www.central.co.jp/)
セントラルスポーツ株式会社は、全国で約240店舗のスポーツクラブを運営しています。民間フィットネス業界では初めて、独自に研究所を設立しており、今回の研究成果を含め、脳科学の知見も活用し、各クラブでの科学的根拠に基づいたプログラム開発・スポーツ指導に活かしていく予定です。
脳の健康可視化の有益性に関する質問について、「どちらともいえない」と回答した参加者について考察を深めるため、表1に有益性に関する評価ごとに、脳の健康の可視化が「運動意欲の向上につながる」「脳の健康を継続的に確認したい」と回答した参加者の全体及び平均年齢を基準として、67歳以下、68歳以上で集計した割合を示しています(「有益とは思わない」と回答した参加者は1名のため、除外)。表1から、有益性について「どちらともいえない」と回答した参加者の中で、運動意欲向上につながると回答した参加者の割合が、67歳以下で14%に対し、68歳以上では67%でした。また、同様に、継続的に確認したいと回答した参加者は、67歳以下ではいなかったのに対し、68歳以上では47%でした。
これらの結果から、高齢の参加者では自身の脳の健康状態の把握については慎重である一方、実際にはBHQ値に影響を受け、行動を変える可能性が示唆されています。
記事の内容は発表時のものです。
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