2024年11月15日
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パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、パナソニック)は、共創パートナーと新たな食の体験価値を創造する「未来の食プロジェクト」をスタートします。第一弾として、京都大学大学院 工学研究科化学工学専攻 中川究也准教授との共同研究で開発を進めている「常圧凍結乾燥技術」を用い、料理を科学する料理作家KYOTO SNT LAB.と共に乾燥食品のプロトタイプを完成させました。
パナソニックのキッチン家電事業は、電気コンロの生産を開始した1927年に端を発します。その後、1935年にはトースターとコーヒー沸かし器を発売し、1953年の家庭用冷蔵庫、1956年の電気炊飯器、1966年には家庭用電子レンジの販売を開始するなど事業を拡大。家電製品を通じて家事の負担軽減を図るとともに、食品を冷凍保存する2ドア冷凍冷蔵庫と食品を解凍する電子レンジを組み合わせて冷凍食品を積極的にメニューに取り入れるなど、常に社会変化に合わせた新たなライフスタイルを提案。科学的なアプローチで美味しさを追求し、調理家電の進化を通じて豊かな食卓を届けてきました。
2001年以降は、産学連携で「食のおいしさ」に関する研究に着手し、その研究成果を製品開発に応用しています。例えば、冷凍に関する成果は、急速冷凍により解凍加熱後もおいしい「はやうま冷凍」、霜つきを抑えておいしさを長持ちさせる「うまもり保存」として採用。食品の保存庫から、おいしく保存という新たな価値を提案する調理庫へと、冷蔵庫を進化させています。
この度、「未来の食プロジェクト」では、冷凍技術の可能性を追求して京都大学の中川准教授と共同研究に着手しました。新たに開発を進めている常圧凍結乾燥技術は、冷凍で鮮度を保ちながら乾燥を制御します。出来上がった乾燥品は常温で長期保存が可能になるほか、従来の乾燥技術で処理した食品とは色や香り、食感が異なるという特長を持ち合わせていることが明らかになりました。さらに「和食を科学する」という観点で食を追求するKYOTO SNT LAB.の中村元計氏、才木充氏、髙橋拓児氏との協働により常圧凍結乾燥技術の新たな価値創造に取り組み、乾燥食品の手軽さと、風味豊かな食感を兼ね備えた新たな保存食品を作る技術としての可能性を見出しました。和食の海外展開や、機内食、宇宙食、災害食などへの展開が期待できるほか、廃棄される規格外の青果物や未利用魚などを乾燥食に加工することで、フードロス削減にも貢献できると考えています。
パナソニックは、今後、技術、製品、サービスの進化を加速するとともに、「新たな食の価値創造」と「社会課題の解決」を目指していきます。
冷凍した食品を乾燥した冷気にさらすと氷が昇華して乾燥が進む現象を利用し、常圧の大気圧下で温度を独自のアルゴリズムで制御することで、水分活性を0.6以下まで乾燥させることができます。出来上がった乾燥食品は香りがよく、1カ月の常温保存が可能なほか、水分活性の調整で食感の異なる乾燥食品をつくることも容易です。
常圧凍結乾燥したフルーツの乾燥品では、既存の真空凍結乾燥と同様に多孔質な構造を持ちつつも細孔の大きさが異なることが確認できており、独自の特長との相関が示唆されます。また、熱風乾燥と比べて、色・香りのほかビタミンCなどの栄養価の成分変化も小さいことがわかりました。
KYOTO SNT LAB.のアイディアの起点となったのは、「食品のもつ香りのいかし方」です。例えば、山椒、生姜、大葉など香りを特長とする食品本来の香りをうまくいかしたまま常温で保存することが可能になれば、湯を注ぐ、レンジで温めるといった手軽な調理で簡単にプロの味を再現できるのではないかと考えました。
常圧凍結乾燥を用いて出来立ての雑炊を乾燥食品に加工すると、湯を注いだ際に既存製法よりも三つ葉や松茸の香りが広がり、より出来立ての状態を再現。常圧凍結乾燥は、料理において香りを残したい食材で強みを発揮することが確認できました。今回、常圧凍結乾燥を用いた乾燥食品のプロトタイプとして、「鰻の炊き込みご飯」「雑炊」「ぜんざい」の3品を完成させました。
なお、「鰻の炊き込みご飯」は、家電と食のサブスクリプション「foodable」で、限定販売を予定しています※。
※2023年上期中を予定
<関連リンク>
foodable:https://www.eatpick.com/shop/foodable/
記事の内容は発表時のものです。
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