【更新】2021年10月29日 タイトル及び一部本文の表現を修正
パナソニックは、家電、建材、デバイスなど100年に亘り多くの商品を世に送り出してきた。その中で培われた、様々な素材―金属・プラスチック・木材・ガラスなど―を巧みに加工する技術が、いま、サーキュラーエコノミーの実現に大きな役割を果たしつつある。サーキュラーエコノミーで重要なのは、環境負荷低減と経済の両立だ。そのため、パナソニックは、独自のリサイクル技術に、高い加工技術を組み合わせることで、市場でも引けを取らない高性能な製品を実現している。
その一例として、今回紹介するのが住宅用床材だ。
廃材から新たな価値へ
パナソニックが目指すのは、環境に配慮した、お客様にとって心地よい床だ。木質系材料に再生資源や再生可能な森林から産出された植林木などを厳選して使用するなど、自然保護に配慮した製品づくりを徹底してきた。
さらに、こうした取り組みに留まらず、木材資源の再利用を推進する商品開発にも着手し、試行錯誤の末に完成したのが当社独自の商品「フィットボード」だ。通常では廃棄されてしまう建築廃材などを再資源化し活用した木質材料を100%(接着剤は除く)使用、環境に配慮したパナソニック独自の新素材を実現した。加工技術を駆使し、高密度に仕上げた結果、一般の合板等に比べても硬度に優れ、表面の傷やへこみがつきにくい特徴を持つ、優れた性能を実現した。例えば、キャスター付きの椅子や家具を頻繁に使うシーンにも最適だ。また、使用している木質材料は針葉樹が主体で、一部混入する広葉樹も古材のため、虫(ヒラタキクイムシ)の養分となるデンプン質が少なく、虫害を受けにくい性質に仕上がっている。また、独自の技術によって、耐水性能の付加にも成功した。
環境配慮の視点を超え、1商品として優れた基本性能を
この「フィットボード」は、床材を形成する「基材」と呼ばれる、いわば部品だ。パナソニックの床材は、複数の材質を層状に重ねた複合フローリング。通常は合板などで作られる「基材」をベースとし、化粧素材や塗装を重ね、耐久性やデザイン性などの機能を高めている。このベースとなる「基材」に、環境配慮商品である「フィットボード」を活用するだけでなく、さらに高度な印刷・加工技術で表面を仕上げてこそ、付加価値の高い床材となる。
パナソニックでは、建材のデザイン性能を高めるため、天然木に着目。原木の産地や木材に知見のある家具工房を訪ねるなど研究を重ね、印刷や加工で美しい木目、色彩、艶などを再現する技術を磨いてきた。この「フィットボード」を採用した床材でも、木目の柄パターンを複数作成しランダムに組み合わせることで、本物の天然木さながらの自然なバラつきや深みを巧みに表現。インテリア建材として、ニーズを満たすデザイン性能を実現している。自由で多様な広がりを見せるインテリアトレンドにも応え、落ち着きのある木の表情や素朴な風合いなど、加工技術を駆使して個性豊かな表情や色合いを揃え、「環境配慮」という視点を超えた高い商品力に結び付けている。
真に持続性のあるサーキュラーエコノミーへ寄与
サーキュラーエコノミーの真の実現に向けては、1つのアクションを、いかに継続性をもって実行できるかという点も重要だ。環境に配慮した素材は、あらゆる製品に使われるのが理想だが、使用することによって市場に並ぶ商品よりも劣るスペックとなっては意味がない。新たなものを生み出すには、開発リソースもかかる。一事業として適切な、コスト面でのバランスに見合う商品開発ができて初めて、継続的な活用が可能となるのだ。パナソニックは、培ってきた技術力を駆使することによって、難題である「環境配慮」と「製品本来の実力」の両立を実現している。事業としての継続性に覚悟を持ち、本気で持続可能な社会の実現への貢献に向き合っていることを、この「フィットボード」の実例が、目には見えにくいところで、しかし力強く証明している。