設立からちょうど5年が経とうとしていた2013年、フードバンク山梨に存続の危機が訪れる。
米山氏「この年に『生活困窮者自立支援法』が成立し、施行の2015年からは、それまで受けていた数千万円規模の助成金が受けられなくなることが決まりました。年間350万円の寄付金だけでは団体を存続させることができないため、何らかの対策が必要でした」。
常日頃から企業の助成プログラムについても情報を集めていた米山氏は、本サポートファンドの公募に名乗りを上げる。助成事務局による訪問ヒアリングなどを踏まえ、フードバンク山梨は2014年から2年間助成を受けて組織の基盤強化に取り組むこととなる。
フードバンク山梨では、最初に組織の現状を知るために組織診断を受けた。その結果、倉庫を確保する資金の不足、不安定な職員の雇用、フードバンクを推進する法整備の遅れといった課題が見えてきた。
米山氏「組織診断で第三者視点の意見も頂きながら、私たちに足りていない部分を把握することから始めました。結果、ファンドレイジング(資金調達)活動が後回しになりがちだということで、そこを重点的に強化していくことになりました」。
助成1年目はクレジットカードで寄付ができる体制を整え、クラウドファンディングにも初挑戦。2年目の2015年は、外部講師を招いたファンドレイジングとマネジメントの研修に職員全員が参加した。
米山氏「週1回の学習会では、『定期的に続けること』の大切さを知りました。また、限られたメンバーだけで学ぶのではなく、スタッフ全員で参加して、思いやノウハウを共有していけたのが良かった。ピンチを成長のチャンスと捉え、できることを一つひとつ、やっていきました」。
広報活動や緊急寄付活動、寄付者へのフォローなど、細かい取り組みの積み重ねが功を奏し、350万円だった寄付・会費収入は2014年度には3倍近い1,017万円、2015年度には9倍の3,161万円まで増加。2019年度には5,300万円を超えた。ボランティアの新規登録者数も当初の2倍へと増えた。