共創で「食の新体験」をお届け~家電と食のサブスクサービス「foodable」

2023年4月21日

環境・サステナビリティ / 特集

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共創で「食の新体験」をお届け~家電と食のサブスクサービス「foodable」

現代の多様化する食のニーズに対応し、ワクワクする「食の新体験」をお届けするために、パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、キッチン家電レンタルと厳選された食材によるサブスクリプションサービス「foodable(フーダブル)」を開発・提供している。長年にわたりキッチン家電の製造・販売を手掛けてきたパナソニックが、令和の時代に本サービスを創出したのは、「お客様一人ひとりのより良い食生活をサポートし、食を通じたウェルビーイングを実現したい」という思いからだった。40を超える食業界パートナーとの共創で「家電×フード」のサブスクという独自の体験価値を生み出し、さらにフードロスの最小限化も視野に入れながら前進する開発メンバーに思いを聞いた。

「家電×フード」のサブスクサービスを独自開発

先進国のフードロス、容器包装問題など、食に関する社会課題は複雑化の一途をたどり、今、エコシステム全体での解決への取り組みが求められている。食品メーカー、流通業、そしてパナソニックをはじめとする電機メーカーなど企業が、それぞれの視点で食にまつわる付加価値向上に取り組む中、foodableは業界初とも言える独自のサービスを構築した

foodableは、パナソニックのキッチン家電と毎月選べるこだわりの食材を組み合わせて楽しめるサブスクリプションサービス。「家電×フード」のサブスクという新しい発想が好評で、2021年6月の提供開始から着実にファンの数を増やしてきた。昨年秋には、手持ちのキッチン家電を使ってより気軽に始めていただけるよう「フードのみプラン」も新設。2023年3月現在で19ものコースが選択可能となっている。

foodableロゴ
図版:foodableの「家電×フード」プラン全13コース、「フードのみ」プラン全6コース

foodableの「家電×フード」プランは全13コース。「フードのみ」プランは全6コース。

写真:「おうちで全国ご当地米食べくらべ体験コース」のイメージ

「おうちで全国ご当地米食べくらべ体験コース」では、パナソニックが誇る「銘柄炊き分け」機能を搭載する炊飯器用に、foodableでしか手に入らないカスタマイズメニューを開発。毎月選べる銘柄米を最適な炊き方で楽しめる。

届けたいのは「食の新体験」

今回の開発メンバーは、キッチン家電とは全く別の領域でキャリアを積んできた2人。

「私は長年、テレビ事業に携わってきました。キッチン家電の部署に移ったのは2018年ごろのことです」と話すのは、パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部の大宮 広義(おおみや ひろよし)だ。過去には米国に駐在して新規事業創出に挑戦した経験もある。

大宮「私がここに異動したときは、テレビは当たり前にインターネットにつながっていましたが、キッチン家電はまだそんな段階ではなかった。そこでテレビのようにネットにつながるキッチン家電でサービスと組み合わせた価値を創出できないかと考え、開発に取り組んでいきました」。

写真:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 大宮 広義(おおみや ひろよし)

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 大宮 広義(おおみや ひろよし)

大宮「パナソニックはお客様の日々のくらしをより良くするために、長きにわたってモノ、つまり家電をお届けすることで価値を提供してきました。ですが、炊飯器を例にすると、お客様は『いい炊飯器が欲しい』のではなく『おいしいお米が食べたい』という気持ちが先にある。それは炊飯器だけではかなえられない。必ずお米の存在が必要になります。
元々パナソニックでは、お米の生産者との共同開発というやり方で、彼らのお米づくりに懸ける熱い思いを伺いながら、炊き上げの細かいプログラムを磨き上げてきました。日本各地にはさまざまな銘柄米があり、それら一つひとつにとってベストな炊き方が異なります。お米の性質や味、食感を一つひとつ分析し、炊く・試食を繰り返し、それぞれを一番おいしく炊き上げられるよう、仕様をこまめにアップデートしている。それが当社の炊飯器の一番の特長です」。

ただ、その炊き分け機能が十分に活用いただけているかは、また別の課題となる。
大宮「例えば63銘柄のお米を炊き分ける機能があっても、消費者は通常、スーパーなどで5kgや10kg単位で販売されている定番のお米を購入する場合が多い。そのため、新しい銘柄米の存在を知ったり、自分の好きな銘柄米を気軽に楽しんだり、という機会はなかなか生まれません。そうした日本ならではの食体験を本当に楽しんでいただくためには、銘柄米を毎月小分けで届けるといった新しいサービスの構築が必要でした」。

大宮がfoodableの開発をスタートさせたのは2019年。翌2020年4月に加わったメンバーが、關 智子(せき ともこ)だ。

關は入社当初、携帯電話やスマートフォン向けのモバイルネットサービスの企画を担当していた。
關「前の部署では、ハードだけではなくソフトありきの価値提供が前提でした。社外の共創パートナーさまとのコンテンツ制作も経験し、その感覚のままコンシューマーマーケティング部門に異動。IoTコーヒー焙煎機のサービス立ち上げを担当しました。このときに、キッチン家電単体の販売に留まらず、専用のアプリ開発や生豆のサブスク販売なども行い、『家電が手元にやってきた後から始まる食の体験をサポート』する仕事に携わりました。こうした経験がfoodableの開発にも生きています」。

写真:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 關 智子(せき ともこ)

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 關 智子(せき ともこ)

「なぜパナソニックが?」の壁を超え、新たな価値を共創

大宮と關が最も力を入れているのが、「新しいサービスにより新しい食文化を創りたい」というパナソニックの思いに共鳴してくれるパートナーの発掘だ。

大宮「『家電×フード』のサブスクは、業界でも前例がないことでしたが、従来のビジネスモデルからの脱却を図るためにも、必ず実現させる意気込みで取り組みました。そのためには食業界のパートナーさまとのコラボレーションが必須。そこで、さまざまなお会社に呼び掛けました。
最初は『なぜパナソニックさんが、うちのような食品会社と?』という反応が多かったですね。家電と食材では、まったく世界が違うじゃないですか、と。いえ、そこは消費者の皆様にとってはセットなんですと、コラボレーションの意義について説明を重ねていきました。

そんな中、以前から当社とお付き合いのあった『くりや株式会社』さんに賛同いただくことができました。くりやさんは、『ごはんソムリエ』として各地の銘柄米の魅力を伝えるという使命の下に、生産者さんとの関係づくりにも注力されています。そしてすでに、『2合1パック』で銘柄米を詰め合わせて、食べ比べが楽しめるセット商品を取り扱っておられました。この少量のパッケージがまさに『さまざまな銘柄米のおいしさを体験してもらいたい』という私たちの思いとマッチするものだったんです」。

写真:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 大宮 広義(おおみや ひろよし)

大宮は、くりや株式会社にパナソニックの炊飯器を持ち込み、試食をしてもらいながら、扱う銘柄米にぴったりの炊飯プログラムを追求。炊飯器と小分けの銘柄米を毎月お届けするという、これまでにないサブスクリプションモデルを実現した。

写真:パナソニックの炊飯器と、くりや株式会社の銘柄米

共創パートナー くりや株式会社 徳永 真悟氏のコメント

写真:くりや株式会社 代表取締役社長 徳永 真悟(とくなが しんご)氏

くりや株式会社 代表取締役社長
徳永 真悟(とくなが しんご)氏

パナソニックとの共創について――
パナソニックさんとは以前からお取引がありましたが、今回のfoodableについては特に、当社の強みである食べきりサイズの小容量パック「オコメール」が必ずお役に立てると思い、コラボさせていただきました。

炊飯器の「銘柄炊き分け」機能は、お米の各産地や品種の特徴を引き出すことで、生産者の思いと一緒にその魅力を最大限に伝えようとする強い信念のようなものを感じました。と同時に、その思いを一緒に伝えられることへのワクワク感を感じましたね。

foodableサービス開始までに苦労した点――
当社の得意分野とはいえ、「銘柄炊き分け」機能の数(63銘柄)に可能な限り近づけるための仕入れや、各銘柄の特徴を把握するための試食を繰り返した点ですかね。これだけおいしいお米がたくさんあることを、foodableのお客様にもしっかり伝えたいと思いながら取り組みました。

発売当初は有名銘柄の出荷量が多かったのですが、品揃えが整ってきて少しずつ希少な産地の銘柄や新品種などへのご注文へと広がっていきました。こちらはそれを実数として把握できるので、トレンドを知る上でも大変勉強になっています。

今後のfoodable事業への思い――
プロジェクト当初から、パナソニックの方たちと「お米に嗜好性を、食卓に豊かさを!」という思いでサービスをお届けできたらいいねと話していました。今後も、お客様がお米を選ぶところからワクワクできるようなサービスへと進化させていければと思います。そのためにも新しい品種の開拓や、生産者の発掘、そしてその思いを届けられるような情報発信をしていきたいと思います。

關は主に、foodableのサービス企画開発と共創パートナー開拓を担当。新しい食体験をお届けしたいという熱い思いを持ったメンバー4名と共に、多様な価値観を生かしながら新コースの企画開発を進めている。2022年10月にはfoodable初のプレミアムコースとなる「おうちでご褒美ごはん体験」コースとして、株式会社ロック・フィールドとのコラボを実現。本格冷凍デリ「RFFF(ルフフフ)」の高品質な味わいを食卓に提供している。

「皆様の忙しい日々の中で、手軽にレストラン品質の『ご褒美ごはん』を楽しんでいただくために企画しました。
創業50周年を迎えられたロック・フィールドさんは、『健康、安心・安全、美味しさ、鮮度、サービス、環境』といった価値観の下、お惣菜による『中食(なかしょく)(※)』の価値向上に取り組まれています。『冷凍食品でごめんね』ではなく、冷凍だからこそおいしい、という価値を持った『そうざい(SOZAI)』の提供を推進されています。今回のコラボでは、日々の食卓を囲む時間を豊かにしたいという共通の目標に向けて、サービスを共創しています」。

※中食:外食と家庭料理の中間にあり、弁当や惣菜などの調理済み食品を購入し家庭で食べること。

写真:「おうちでご褒美ごはん体験」コースのイメージ

また、ホームベーカリー ビストロのコースにおいて、北海道・十勝の「株式会社 満寿屋商店」とのコラボも実現している。

關「十勝の食材、農業の素晴らしさを発信したいという、満寿屋商店さんの思いに感銘を受け、今回のコラボを進めさせてもらいました。私や大宮も含めて、foodableの開発メンバーは、まず自分がその共創パートナーさまに惚れ込むところから始まります。今後も当社の多彩なキッチン家電と各地の食材を組み合わせて、新しい食の感動、ワクワクを食卓にお届けしたいと思います」。

写真:ホームベーカリー ビストロのコース イメージ

foodableに対する評価の声は日々、開発メンバーのもとに集まっている。
關「『パナソニックは家電メーカーという印象だったがイメージが変わった』『パナソニックからこんなサービスが出るんですね』といったお客様のお声を頂戴しています。
『おうちで世界のカフェめぐり体験』『おうちでグランピング燻製体験』など、新コースの開発も皆様の貴重な声を基に実現したものです」。

写真:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 關 智子(せき ともこ)

新しい食の文化を創る一助に

大宮「このfoodableというサービスを通じて、共創パートナーさまからは『これを機会に業態の在り方を変えたい』というお声も多く頂くようになりました。
品質の良い食材は、値段も高くなりがち。それに対して『同じお金を払うなら、もっと安いものをもっとたくさん手に入れたい』という考え方もある。でも、そればかり追求してしまうと、業界に安いものばかり存在するようになる。すると、本当に良いものは、お客様に知られることなく市場から消えてしまう。そうなると、業界全体として提供できる価値も下がっていくわけです。

お米で言えば、銘柄米を炊き分けて楽しむという体験を通して、『お米文化』をもっと豊かなものに変えていきたい。選択肢として『質の高いもの』を常に提供できている業界であり続けたい。実はこれは、家電業界にも同じことが言えるんです。こだわりの家電で、こだわりの食材を楽しめる――ここに注力していくことで、共創パートナーさまと食の未来を変えていく。そんな取り組みでもあります」。

「パナソニックにはポテンシャルの高いメンバーが集い、一丸となってチャレンジできる風土がある」と語る2人。

大宮「食に関する新たな発見や楽しみを共創するコミュニティ『EATPICK』というウェブサイトの立ち上げ時も、通常なら2年はかかるという仕様構築を、できる限り既存のシステムを組み合わせて作ることで3カ月に短縮。アジャイルに開発を進め、できるだけ早くソリューションをお届けすることを目指しました」。

關「モノづくりだけをしている会社であれば、『モノをお届けしたら終わり』でいいかもしれません。でも私たちはそれ以上の存在でなければならない。お客様にとってはキッチン家電を手に入れた時が『スタート』です。パナソニックはそこから先も末永くお客様に寄り添ってサポートし続けたいと思います」。

今後は、サブスクリプションの契約期間を終えたキッチン家電のリファービッシュ、リユースという新たな取り組みも視野にある。
大宮「炊飯器の場合は12カ月連続、ホームベーカリーの場合は15カ月連続でレンタルいただくことで買い取りが可能です。レンジはコースによりますが、12カ月または24カ月連続でレンタルいただくことで買い取りいただけます。
これまでの実績ですと、契約期間終了後、ほとんどのお客様に買い取りいただくパターンが多いのですが、役目を終えて戻ってくる家電についても、きちんとリファービッシュ、リユースへとつなげていきます」。

写真:大宮(写真左)、關

これからもパナソニックは、生産者を含む食業界の共創パートナーと歩みを共にしながらサービスの向上に取り組み、foodableを通してお客様に新たな食の体験を提供していく。同時に、食に関する社会課題にも正面から取り組み、ウェルビーイングなくらしの実現に向けて挑戦を続けていく。

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