2024年12月20日
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パナソニックグループでは、多様性推進の機会の一つとして、2021年まで社内イベント「D&Iフォーラム」を実施してきた。2021年10月には、グループ共通のDEI(ディー・イー・アイ)ポリシーの制定と合わせて「グループDEIフォーラム」として展開。これに続き、2022年7月に第2回目となる「グループDEIフォーラム2022」が2日間にわたり開催された。社外からのゲストを含めた多様な出演者が東京・日比谷のオフィスを中心に集い、「話そう。気づこう。越えよう。」をスローガンにそれぞれの思いを語り合い、その様子がオンラインで発信された。各セッションには、のべ14,000人を超える従業員がライブ視聴を通じて参加した。
DEIは、「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称だ。パナソニックグループはこのDEI推進を重要な経営施策の1つとして位置づけ、目指す姿として「多様な人財がそれぞれの力を最大限発揮できる、最も『働きがい』のある会社」を掲げている。もともと、1960年代に日本企業としていち早く週休2日制を取り入れ、1980年代にはフレックス・タイム制勤務を取り入れるなど、働く環境について真摯に考えて取り組んできたパナソニックグループ。創業者である松下幸之助はかつて、次のように語っていた。
「天は二物を与えず、ということわざがありましょう。これは裏を返せば、天は必ず一物は与えてくれているということだと思うのですね。そのように、異なった天分、特質が与えられているということは、いいかえれば万人万様、みな異なった生き方をし、みな異なった仕事をするように運命づけられているとも考えられます。ある人は政治家として最もふさわしい天分が与えられているかもしれない、またある人は、学者に、技術者に、商人にといったように、みなそれぞれに異なった使命が与えられ、異なった才能が備えられていると思うのです。
成功というのは、この自分に与えられた天分を、そのまま完全に生かし切ることではないでしょうか。それが人間として正しい生き方であり、自分も満足すると同時に働きの成果も高まって、周同の人々を喜ばすことにもなると思います」。
松下幸之助のこの考え方は、まさに現在グループを挙げて推進しているDEIの取り組みに通ずるものだ。
「多様性を受け入れ、挑戦する一人ひとりが活躍できるために、DEIがグループの文化として醸成される契機にする」ことが、「グループDEIフォーラム」開催の目的であり、主役は従業員一人ひとりだ。2022年の今回は、「DEIは『自分自身のこと』であることに気づき、一人ひとりが本気になる」こと、特に、「『これまでDEIに触れる機会がなかった従業員』にも新しい対話、気づきが生まれる」ことを目指して、企画内容が練りこまれた。
今回は2日間にわたり、以下のセッションが実施された。
1日目
2日目
グループのDEIポリシーや昨年の「グループDEIフォーラム 2021」を振り返り、当時のアンケート結果などを紹介。「あなたが思い描く、働きがいNo.1の会社像は?」という質問に対しては、「世の中、社会のためになる仕事ができる会社」という回答が最も多かったという。
過去の経験や見聞だけをもとに、知らず知らずのうちに偏ったものの見方をしてしまう......誰もが持っているこの思い込みを「アンコンシャス バイアス(無意識の思い込み)」という。パナソニックグループでは、この思い込みの存在について学び、気づくための研修「アンコンシャス バイアストレーニング」を実施している。
本セッションには、「アンコンシャス バイアストレーニング」の受講者が複数登壇。関連する自身のエピソードや、思い込みに囚われないようにすることの大切さについて意見を交わした。
「発達障がいがあることを打ち明けてみたら、仕事内容は変わる?」「パナソニック用語によるすれ違い」といった、実際に社内で起こり得るシチュエーションをベースに、ロールプレイを展開。視聴者もオンラインでアンケートに答え、リアルタイムでその結果が共有されるなど、インタラクティブな要素も盛り込まれたセッションとなった。
2日目・最初のセッションでは、ゲストとして認定特定非営利活動法人ReBit 事務局長の中島 潤(なかじま じゅん)氏が登壇。参加メンバーとの意見交換では、「DEIと組織パフォーマンスの関係」という、時として両立が難しく思われるジレンマをぶつけ、社会における様々な事例も交えつつ、会社と社会を変えるための身近なアクションについて考察した。
トランスジェンダーであることを明かして民間企業で勤務した経験もある中島氏との対話が展開された。
グローバルでパナソニックグループのDEI推進を担当するメンバーたちが各国・地域の最新の取り組みについて語り合った。日本代表として参加したのは、パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員CHROでDEI推進担当の三島 茂樹(みしま しげき)。
三島は、グローバルにDEIを広げていくうえで、今年度は「アンコンシャス バイアストレーニング」に注力していくこと、またグローバルメンターシッププログラムの導入を計画していることなどを共有。参加者が各国での取り組みを発表しお互いに学び合う中で、地域をまたいだ取り組みのほかに、LGBTQコミュニティの人権保護や、人種、性別への意識など、地域ごとに社会的関心や課題意識など重視するポイントが異なることを踏まえて、地域ごとのアプローチもとても重要との意見も挙がった。
冒頭、三島は、この1年間で多くのDEIの取り組みを実践してきたことを報告し、
「全ての人が多様であり、その一人ひとりが挑戦をあきらめることなく社会へのお役立ちに向かっていく、そのためのDEIを推進していく」と、今後さらなる取り組みへの強い意志を示した。
このコメントを受け、最後のトークセッション「越えよう」が実施された。
ここでは様々なバックグラウンドを持つ多様な従業員のほか、グループCEOの楠見 雄規(くすみ ゆうき)も参加。「自らの弱み」を付箋に書いて並べ、その弱みを他のメンバーの視点から見直してもらうことで「価値のあるもの」として捉えなおしてみる、という対話形式のワークショップが展開された。
フォーラムの締めくくりとして、楠見は「私自身にも苦手なことはたくさんあります。特に苦手なこと、分かっていないことは、いろんな方に知恵をもらったり、お任せしたりすることで補ってもらっている。この補い合いながら仕事をするというスタイルは、グループのあらゆるレベルの仕事の中で一番大切なことではないかと思う」と、自身の意見を述べた。そして、「異なる視点で異なる意見を言うことで、多様な経験や知識を持つ皆さんの知恵や発案を結集し、 経営を行う。すなわち『社員稼業』と『衆知経営』を、本当に皆で実践するということを、グループとして目指していきたいと思います」とのメッセージを発信した。
フォーラムの視聴者に実施したアンケートでは、以下のような声が寄せられた。
「様々な切り口の『当事者』が登壇し、DEIとは誰か特定の人にスポットを当てることではなく、『一人ひとり』のことである、というメッセージが何度も繰り返されたのが良かった」。
「正直、DEIについては、個人的にマイノリティのわがままを聞くというイメージもあるんじゃないかと思っていたが、『本来、DEIの推進は、マイノリティの声を聴き改善することで会社が良くなる(WIN-WINになる)』と推進する側も十分理解して進めているのを知り、新しい社会をイメージしているのだと、腑に落ちた」。
「とても良い取り組みと感じる一方で、『やっとここまで来た』とも思う」。
寄せられた声を、今後さらなる活動の推進に活かし、グループ全体で、意識向上に努めていく。
パナソニックグループは引き続きDEIを推進し、従業員一人ひとりが自分ゴトとしてDEIを捉えることができるように前進していくとともに、「互いに言うべきことを言い合える会社」としての風土を醸成していく。そして「素直な心」で「衆知を集めた全員経営」に挑戦しながら社会課題と向き合い、解決を図ることで、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現と、より多くの人々の幸せに貢献する姿を目指していく。
記事の内容は発表時のものです。
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