【お知らせ】

Adobe Acrobat Readerの特定のバージョンに、一部のPDFが開けないバグが発生しております。PDFが開けない場合、お使いのAcrobat Readerを最新版へアップデートの上お試しください。

2025年2月28日

技術・研究開発 / プレスリリース

タンパク質からなる様々なアレルゲンの抑制効果を示唆

気体状次亜塩素酸によるスギ花粉のアレルゲン※1不活化メカニズムを解明

パナソニック株式会社 空質空調社は、このたび、ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所と共同で、気体状次亜塩素酸によるスギ花粉のアレルゲン不活化メカニズムを解明しました(※2)。これにより、スギ花粉のアレルゲン同様、タンパク質からなるその他のアレルゲンにも本不活化メカニズムを適用できることが示唆されます。

代表的なアレルギー疾患の1つである花粉症の有病率は、日本国内において、1998年が19.6%、2008年が29.8%、2019年が42.5%と、年々増加の一途をたどっています(※3)。花粉症患者の約9割がアレルギー反応を示しているスギ花粉(※3)のアレルゲンは、花粉外皮の表面に付着しているCry j 1(クリジェイ1)と、内部に含まれ、外皮が破れた際に放出されるCry j 2(クリジェイ2)で、カビやダニなどのアレルゲン同様、タンパク質で構成されていることがわかっています。

当社は1987年にカップ式自動販売機の衛生保持システムとして次亜塩素酸水溶液(※4)を採用して以来、約40年にわたって次亜塩素酸技術を研究し(※5)、これまでに除菌・脱臭効果に関する様々な検証を行ってきました。スギ花粉についても、過去に実施した検証において、アレルゲンCry j 1の不活化効果があることを確認していますが、そのメカニズムは明らかになっていませんでした。

このたび実施した共同研究において、当社は専用装置を用いてスギ花粉のアレルゲンCry j 1に気体状次亜塩素酸を暴露し、Cry j 1が有するタンパク質のアミノ酸配列に変容が見られるかを検証しました。その結果、アミノ酸のペプチド結合(※6)が不規則に分断されたことを確認。これが原因となりCry j 1が不活化し、アレルギー症状を引き起こす抗原性が検出されなくなることを明らかにしました。

本検証結果に対し、麻布大学名誉教授であり、現ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所の阪口所長は「今回明らかになったスギ花粉のアレルゲンCry j 1の不活化メカニズムから、タンパク質であれば室内環境において問題となるその他アレルゲンも同様のメカニズムによって不活化されることが推察されます。本検証は、今後のアレルギー関連研究の発展において大きな意味を持つと考えられます。」とコメントしています。

当社は今後も、人々が安心、安全に暮らすことができる空間の創出を目指し、次亜塩素酸技術の研究に取り組んでいきます。

※1 アレルギー症状を引き起こす原因となる物質。

※2 今回の検証は基礎的な研究であり、製品での効果検証ではありません。

※3 環境省:花粉症環境保健マニュアル、令和4年(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf

※4 塩水を電気分解して得られる水溶液。

※5 三洋電機時代の歴史も含む。

※6 α-アミノ酸同士が脱水縮合して形成される共有結合。

【検証の詳細】

図1 気体状次亜塩素酸暴露装置概要

  • 検証機関:パナソニック株式会社 空質空調社
    試験機関:パナソニック ホールディングス株式会社 プロダクト解析センター(ELISA分析、電気泳動法)
    ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所(ドットプロット法)
    株式会社ファーマフーズ アプロサイエンスグループ(LC-MS/MS分析)
  • 検査対象:精製スギ花粉アレルゲンCry j 1
  • 検証装置:次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH8)から揮発した気体状次亜塩素酸(約50 ppb)をバイオカラム(直径:50 mm、長さ130 mm)に通風し、バイオカラム内に設置されたCry j 1に接触させる装置を設置した。併せて、気体状次亜塩素酸に接触していないサンプルを非暴露として用意した。(図1)
  • 接触方法:プレート上に塗布、乾燥させたCry j 1を用意し、バイオカラム内に装填した。その後、気体状次亜塩素酸をバイオカラム内に流して接触させた。接触後は、気体状次亜塩素酸の供給を停止し、カラムを開放し、Cry j 1が塗布されたプレート取り出した。

【検証の結果】

図2 ドットプロット法(ITEA株式会社独自技術、特許第7126665号)による抗原性検出(暴露時間:1時間)
金コロイド染色により試験片にタンパク質がいることが確認され、
また免疫染色による抗原性が無くなった事から、Cry j 1が不活化された事を確認した

(1)気体状次亜塩素酸との接触により、Cry j 1が不活化された。(図2、図3)

(2)気体状次亜塩素酸との接触によりCry j 1の分子量が変化した。(図4)

(3)Cry j 1のアミノ酸のペプチドが不規則に分断された。(表1)

図3 ELISAによるCry j 1の不活化試験結果
非暴露では3時間経過してもCry j 1量が殆ど変化しなかったのに対し、
気体状次亜塩素酸を暴露させた場合は、急激にCry j 1量が現象し、不活化された事を確認した。

図4 電気泳動法による分子量測定
((M):分子量マーカー、(a):0時間、(b):非暴露(24時間)、(c):気体状次亜塩素酸暴露(24時間))
非暴露の水準では、24時間経過後もCry j 1の分子量に相当する位置にバンドが形成されたのに対して、
気体状次亜塩素酸に暴露された場合は、Cry j 1の分子量に相当する場所にバンドは確認されず、分子量が変化した事を確認した。

表1 気体状次亜塩素酸に暴露されたCry j 1のアミノ酸配列(LC-MS/MS分析)
(表中に記載のアルファベットは、各アミノ酸の一文字記号を表す)
規則性の無いペプチド断片が26種類観察。ペプチド端のアミノ酸は18種類あり、切断箇所も不規則である事を確認した。

記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。

配信元:
パナソニック株式会社
カテゴリ:

注目ニュース