2024年10月30日
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2024年10月3日
技術・研究開発 / プレスリリース
約25 m3(約6畳)の空間でウイルスへの効果確認
パナソニック株式会社 空質空調社は、食塩水を電気分解して得られる次亜塩素酸水溶液から揮発した有効塩素成分が、約25 m3(約6畳)の空間で、付着するイヌジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルスを120分で99%以上抑制する効果があることを検証しました。(※2)
次亜塩素酸水溶液は、食塩水を電気分解することで生成され、除菌、脱臭に高い効果があります。当社は1987年にカップ式自動販売機の衛生保持システムとして次亜塩素酸水溶液を採用して以来(※3)、30年以上にわたって次亜塩素酸技術を研究し、近年ではイヌパルボウイルスやネコ汎白血球減少症ウイルス、ネココロナウイルスについて、抑制する効果があることを確認しています。
イヌジステンパーウイルスは、主にイヌに影響を及ぼしますが、他の野生動物にも感染することがある伝染力の強いウイルスです。空気中の飛沫や直接接触、また、感染動物の体液および排泄物などを介して伝播し、初期には発熱、くしゃみ、咳、鼻水、目の炎症、進行すると、消化器系症状(下痢、嘔吐)、神経症状(痙攣、麻痺)などが現れ、重篤な場合は死亡することがあります。
一方のネコヘルペスウイルスは、ネコ科動物に感染するウイルスで、主に呼吸器系に影響を及ぼします。空気中の飛沫や直接接触を通じて伝播し、初期にはくしゃみ、鼻水、目やに、結膜炎、重症化すると、発熱、食欲不振、口内炎、呼吸困難などの症状が現れます。
この度の検証結果より、次亜塩素酸水溶液から揮発した有効塩素成分が、床やペット向けの診察台、手術台などに付着したイヌジステンパーウイルスおよびネコヘルペスウイルスを抑制する効果が期待されます。
■検証方法
回転式除菌フィルタに約100 mg/Lの次亜塩素酸水溶液を含浸し、一定の風(3.8 m3/min)を回転式除菌フィルタにあてて有効塩素成分を揮発させて、イヌジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルスを付着させた試料に暴露した場合と、有効塩素成分を暴露させない場合(自然減衰)とで検証試験を行いました。
■検証結果
イヌジステンパーウイルスに対し、120分で99%以上の抑制効果を確認(図1)。ネコヘルペスウイルスに対し、120分で99%以上の抑制効果を確認(図2)
※1 塩水を電気分解して得られる水溶液。
※2 今回の検証は、基礎的な研究であり、次亜塩素酸水溶液を搭載した製品での効果検証ではありません。
※3 三洋電機時代の歴史も含む。
●検証機関・・・パナソニック株式会社
試験機関・・・一般財団法人 北里環境科学センター
●検証装置・・・回転式除菌フィルタに約100 mg/Lの次亜塩素酸水溶液を含浸し、一定の風(3.8 m3/min)を回転式除菌フィルタにあてて有効塩素成分を揮発
●検証方法
・暴露時間・・・0~5時間(暴露<検証装置設置有>/非暴露<検証装置設置無>)
・試験空間容積
暴露・・・約25 m3(約6畳)換気無
非暴露(自然減衰)・・約25 m3(約6畳)換気無
<ウイルスの設置(暴露)>
・付着イヌジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルスの設置
シャーレに試験ウイルス液を所定量(※4)滴下し、シリカゲルを入れたデシケータ(※5)内で約20分間風乾させ、試験ウイルス付着シャーレとし、検証装置から1.5 m離れたところに設置(床上1.2 m)
※4 イヌジステンパーウイルス:2 μL×15か所(計30 μL)
ネコヘルペスウイルス:2 μL×5か所(計10 μL)
※5 乾燥剤を入れた密閉容器
<ウイルスの設置(非暴露)>
・付着イヌジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルスのシャーレ約25 m3(約6畳)試験室内に設置
●暴露方法
約25 m3の試験室内にイヌジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルスを付着させた試料を設置し、検証装置を運転する。
・イヌジステンパーウイルスの測定
所定時間作用毎にシャーレを回収し、シャーレの洗い出し液を試料原液として、10段階希釈液を作製した。その試料原液または希釈液を細胞に感染させたのち処理を加え、CO2インキュベータで所定期間(※6)培養した。ウイルスの増殖により生じたCPEを顕微鏡で観察し、Reed-Muench法によりウイルス感染価(TCID50/mL)を求めた。本試験においては、試験片の洗い出し液1 mL当たりの感染価(TCID50/試験片)とした。
※6 イヌジステンパーウイルス:7日間
ネコヘルペスウイルス:6日間
対象 |
効果検証内容 |
検証機関 |
検証年 |
---|---|---|---|
イヌパルボウイルス |
気体との接触 |
(一財)北里環境科学センター |
2019年 |
ネコ汎白血球減少症ウイルス |
気体との接触 |
(一財)北里環境科学センター |
2019年 |
ネココロナウイルス |
気体との接触 |
(一財)北里環境科学センター |
2020年 |
ジステンバーウイルス |
気体との接触 |
(一財)北里環境科学センター |
2024年 |
ヘルペスウイルス |
気体との接触 |
(一財)北里環境科学センター |
2024年 |
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