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画像:パナソニックHD、生成AIを応用した、接触に強いロボット制御向けAI技術“Diffusion Contact Model”を開発

2024年10月2日

技術・研究開発 / プレスリリース

パナソニックHD、生成AIを応用した、接触に強いロボット制御向けAI技術“Diffusion Contact Model”を開発

パナソニックホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、接触の多いタスクにおけるロボット制御の学習を効率化・高精度化するロボット制御向け拡散モデル“Diffusion Contact Model”を開発しました。

人手不足が深刻な社会課題となる中、産業用ロボットの活用がさまざまな分野で進んでいます。なかでも製造業やサービス業などでは、人や物との接触を伴うタスクが数多く存在します。しかし、ロボットが人や物に触れた時の動きや力は、非常に複雑でシミュレーション環境でのモデル化が難しく、安全で正確な動作を実現するには、実機を用いて事前に何度も試行錯誤させる必要があります。そこで当社は、ロボット導入にかかるコストや時間を押し上げるこの課題に対処するため、昨今画像生成に用いられることの多い「拡散モデル(Diffusion Model)」を応用したロボット制御向けAI技術“Diffusion Contact Model”を開発しました。

本技術は先進性が国際的に認められ、AI/ロボティクス技術のトップカンファレンスであるIEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS)2024に採択されました。2024年10月14日より10月18日までアラブ首長国連邦アブダビにて開催される本会議で発表します。

技術の内容:

図1 ロボットの制御パラメータの最適化における、従来法と提案法を示す図

安全で正確な動作をロボットに実現させるには、ロボットの動きや力の加減を制御するパラメータをロボットが置かれた状況に応じて細かくチューニングする必要があります。チューニング方法は、主にシミュレーション環境(モデルベース)と実機での試行錯誤(実機ベース)に分けられ、モデルベースには、実機ベースに比べて、大量の試行錯誤を効率的に実施できるというメリットがあります。しかし、接触を伴うタスクは、ロボットが人や物に触れた時の動きや力(接触ダイナミクス)の複雑さからシミュレーションが難しく、実機で何度も人が教えながら試行錯誤する必要がありました。

そこで当社は、昨今、画像や音声生成に用いられる拡散モデルが有する、複雑で非線形なモデルを表現できる特長に着目し、拡散モデルのノイズ除去プロセスと接触シミュレーションの最適化プロセスの類似性を応用することで、実機を使うことなく複雑な接触ダイナミクスをシミュレートできる“Diffusion Contact Model”を開発しました。Diffusion Contact Modelは、ロボットが物体に触れた際の力を段階的にシミュレーションし、ロボットが物体に触れた際の力を高精度に予測できるので、モデルベースで制御パラメータを効率的にチューニングできるようになります。
図1上段に示す従来法では、まずベイズ最適化アルゴリズムにより制御パラメータを推定した後、実機で評価を行ってパラメータを再度調整するという試行錯誤のループを所望の性能を得るまで繰り返します。一方、下段に示すDiffusion Contact Modelにおいては、従来法同様にまずベイズ最適化アルゴリズムにより制御パラメータを推定しますが、評価の際、実機の代わりにDiffusion Contact Modelを用います。
まずシミュレーション環境で実験を行い、従来の深層モデル(DNN)と比較して、Diffusion Contact Modelが接触力を高い精度で予測できることを示しました。複雑な接触ダイナミクスを実機を使わずにシミュレーションできるようになれば、従来の方法に比べて、実機を必要とする場面を減らすことができます。ふき取りタスクを対象とした実機での実証では、主に人手でロボットに教え込む作業により全体で80分かかっていたふき取りタスクの学習を、約25分に短縮できることを示しました。

今後の展望:

今回開発した拡散モデル“Diffusion Contact Model”は、ロボット学習における実機での学習にかかる時間を大幅に低減しうる技術です。論文中で触れたふき取りタスク以外にも、シミュレーションが難しく、実機での試行錯誤を要するロボットのタスクは数多くあります。本技術を応用することで、効率的に数多くのタスクを自動化できる可能性が高まり、人手不足などの社会課題解決などに役立てられると考えています。
今後もパナソニックHDは、AI/ロボティクスの社会実装を加速し、お客様のくらしやしごとの現場へのお役立ちに貢献するAI技術の研究・開発を推進していきます。

【関連情報】

  • 発表論文“A Contact Model based on Denoising Diffusion to Learn Variable Impedance Control for Contact-rich Manipulation”
    https://arxiv.org/abs/2403.13221

記事の内容は発表時のものです。
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配信元:
パナソニックホールディングス株式会社
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ロボットの制御パラメータの最適化における、従来法と提案法を示す図

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