2024年12月11日
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2024年4月18日
技術・研究開発 / プレスリリース
—京大、パナソニック、シノビによるプロジェクト体制で大阪・関西万博までに試作機の完成を目指す—
国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(以下、CiRA)、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)、およびシノビ・セラピューティクス株式会社(旧サイアス株式会社、以下、シノビ・セラピューティクス)は、この度、共同開発契約を締結し、iPS細胞を活用した新たながん治療方法の確立と普及を目指す「My T-Server※1プロジェクト」を発足しました。
iPS細胞を活用してがん細胞を攻撃するT細胞※2を作製して患者さんに移植する治療方法には、患者さん自身の細胞から作ったiPS細胞を分化※3させる「自家移植(オーダーメイドの治療方法)」と、他人の細胞から作ったiPS細胞を分化させる「同種(他家)移植」という方法が考えられています。「他家移植」では、患者さん本人ではない細胞を利用するため、免疫拒絶反応が出るという問題があり、それを回避するための様々な遺伝子改変※4が試みられています。一方、「自家移植」は免疫拒絶の心配は少ないものの、オーダーメイドのため高額の治療費を要するという課題がありました。
今回、「自家移植」の課題を解決するために新たな治療方法として「個別化移植」の開発に取り組みます。「個別化移植」とは、がん患者さん自身のがん細胞を攻撃するT細胞を取り出し、その中にあるT細胞受容体※5と呼ばれる、がんを認識するセンサーの遺伝子情報をiPS細胞に導入し、大量に増やしたT細胞を移植するものです。iPS細胞からがんを狙うセンサーを持つT細胞を大量に生産することで、一人ひとりの患者さんに個別化されたがん免疫細胞治療を繰り返し行えるようになることが可能になることが大きな特長です。
今回のプロジェクト「My T-Serverプロジェクト」は、T細胞の再生までのプロセスの処理を実行する専用機器「My T-Server」を開発し、施設・機器の小型化・低コスト化と治療の短期間化の実現を目指すものです。CiRA 増殖分化機構研究部門(金子新研究室)、パナソニックHD マニュファクチャリングイノベーション本部、シノビ・セラピューティクスを中心としたプロジェクト体制で開発に取り組みます。
具体的には、iPS細胞を活用した新たながん治療方法をCiRAとシノビ・セラピューティクスが共同で確立し、パナソニックHDを中心としたチームが本技術を活用した小型培養装置を開発します。iPS細胞からT細胞を分化誘導する手順を低コスト化・短期間化し、個別のがん治療に用いるT細胞を小型培養装置にて自動で作製できるようにします。またシノビ・セラピューティクスは自社のEvadeテクノロジー※6を用いた低免疫原性iPS細胞や、Katanaテクノロジー※7を用いた低免疫原性かつ抗原特異性のないiPS細胞由来T細胞を提供し、そこに患者さん個別のT細胞受容体を導入するアプローチについても検証を行い、より早期の全世界での商業化も視野に入れた開発に協力します。
大阪・関西万博が開催される2025年4月までに試作機の完成を目指し、将来的には一般的なクリニックでも導入できるように低コスト化・省力化した製品を提供したいと考えています。患者さんが住んでいる地域でiPS細胞から必要な組織や細胞を作り、安価に個別化治療を実現する「地産地消」の体制を築くことで、再生医療社会の創出を目指します。
■国立大学法人京都大学iPS細胞研究所 国際広報室
E-mail:media@cira.kyoto-u.ac.jp
■パナソニック ホールディングス株式会社 技術企画室 技術広報担当
E-mail:crdpress@ml.jp.panasonic.com
■シノビ・セラピューティクス株式会社
E-mail:info@shinobitx.com
記事の内容は発表時のものです。
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