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画像:ナノイー(帯電微粒子水)技術による花粉アレルギー反応の抑制効果のイメージ図

2024年2月14日

技術・研究開発 / プレスリリース

初めてナノイー(帯電微粒子水)技術による花粉アレルギー反応の抑制効果を細胞で実証※1

パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、麻布大学 獣医学部 獣医学科 福山 朋季准教授との共同研究において、ナノイー(帯電微粒子水)で抑制した花粉※2では、アレルギー反応が抑えられることを、細胞レベルで明らかにしました。なお、細胞レベルでの効果実証は、今回が初めての試みとなります。

花粉症は2019年時点で日本人の約42.5%※3が罹患していると言われており、若年層での発症も増加しています。増加の一途をたどる花粉症ですが、有効な治療法は限られているのが現状です。そのため、花粉が体内に侵入する前の段階で、花粉に含まれるアレルゲンを抑制することも花粉症対策として有効になります。

現在、日本の花粉症患者の約9割がスギ花粉※3に対してアレルギー反応を示しています。当社は、これまでナノイー(帯電微粒子水)技術を用いて、スギ花粉を含む国内の主要な花粉13種に対して、抗原性抑制効果を実証しています。しかし、ナノイー(帯電微粒子水)によって抗原性を抑制された花粉が、生体に対してアレルギー反応を抑制する効果があるのかは明らかになっていません。

そこで今回、免疫細胞を用いてアレルギー反応の抑制効果を検証しました。ナノイー(帯電微粒子水)照射により抗原性が抑制された花粉※2を免疫細胞に接触させて反応を観察した結果、花粉※2に対する樹状細胞の過剰な反応が抑制され、炎症性物質の産生が抑制されることがわかりました。また、花粉症発症の原因となる抗体生成を指示するT細胞における花粉に対する反応性も抑制されることが確認され、ナノイー(帯電微粒子水)によるアレルギー症状の抑制が示唆されました。さらに、本検証でアレルギー反応の抑制メカニズムが判明したことで、ナノイー(帯電微粒子水)技術により、室内に存在する他のアレルゲンに起因するアレルギー症状についても抑制が期待されます。なお、本検証は後述の試験条件での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではありません。

パナソニックは、安全で安心な空間の提供を通じた社会への貢献を目指し、今後もナノイー(帯電微粒子水)技術を進化させるとともに、その可能性を追求し続けていきます。

■本実験のポイント

  • 花粉症症状の誘発に関わる免疫細胞に、ナノイー(帯電微粒子水)照射により抗原性が抑制された花粉※2を接触させ、反応を観察
    (1)花粉※2に対する樹状細胞の過剰な反応が抑制され、炎症性物質の産生が約70%抑えられた
    (2)花粉症発症の原因となる抗体生成を指示するT細胞の増殖活性が約40%抑制された
  • ナノイー(帯電微粒子水)によるアレルギー反応の抑制が確認され、アレルギー症状の抑制が示唆された
  • 免疫細胞での効果を実証できたのは今回が初めてであり、ナノイー(帯電微粒子水)技術の花粉症対策における有効性が期待される

■実証データ

45 L試験空間

  • 検証機関:麻布大学、ITEA株式会社
  • 検証対象:樹状細胞
    T細胞
  • 検証装置:ナノイー(帯電微粒子水)発生装置
  • 検証方法:45 Lの試験空間にて、床面から5 cmの位置にナノイー(帯電微粒子水)発生装置を設置
    花粉※2が入ったシャーレを設置し、ナノイー(帯電微粒子水)を所定時間照射後、細胞へ添加、各項目を測定
  • 検証結果:花粉※2へナノイー(帯電微粒子水)を照射した結果、樹状細胞では、花粉※2に対する過剰な反応が抑制され、T細胞に花粉の情報を提供する細胞膜抗原の発現と炎症性物質の産生が抑制された。また、T細胞では花粉に対する反応性が低下したことから、ナノイー(帯電微粒子水)によるアレルギー反応の抑制が確認できた。
画像:検証結果1
画像:検証結果2 通常の花粉※2を添加した樹状細胞・ナノイー(帯電微粒子水)照射花粉※2を 添加した樹状細胞

図1 樹状細胞へのCaイオン流入の様子
樹状細胞は花粉※2の接触により、Caイオンを細胞内に取り込む。蛍光強度の測定により添加したCaイオンの取り込みの違いを観察。花粉※2へのナノイー照射により、樹状細胞のCaイオン流入抑制が確認できた。

(a)Caイオンを取り込んだ樹状細胞の割合
(b)細胞内へのCaイオン流入
(c)樹状細胞の蛍光画像(赤:Caイオン流入が起こっている状態、緑:Caイオン流入が起こっていない状態)

画像:図2 樹状細胞の細胞膜抗原の発現

図2 樹状細胞の細胞膜抗原の発現
花粉※2へのナノイー(帯電微粒子水)照射により、T細胞に花粉の情報を提供する抗原の発現が抑制された

画像:図3 樹状細胞における炎症性物質の遺伝子発現量と放出量

図3 樹状細胞における炎症性物質の遺伝子発現量と放出量
花粉※2へのナノイー(帯電微粒子水)照射により、炎症性物質の遺伝子発現と放出量が抑制された

画像:T細胞の増殖活性

図4 花粉※2添加時のT細胞の増殖活性
花粉※2へのナノイー(帯電微粒子水)照射により、T細胞の花粉に対する反応性が低下した

■結論

ナノイー(帯電微粒子水)が花粉※2の抗原性を抑制することにより​

  • 花粉※2に対する樹状細胞の過剰な反応が抑制された。
  • T細胞に花粉の情報を提供する樹状細胞の細胞膜抗原の発現が抑制された。
  • 樹状細胞による炎症性物質の産生が抑えられた。
  • 花粉症発症の原因となる抗体生成を指示するT細胞の花粉に対する反応性が低下したことが確認できた。

■ナノイー(帯電微粒子水)の発生原理

霧化電極をペルチェ素子で冷却し、空気中の水分を結露させて水をつくり、霧化電極と向き合う対向電極の間に高電圧を印加することで、OHラジカルを含んだ、約5~20 nmの大きさのナノイー(帯電微粒子水)が発生。(図5)

画像:図5 ナノイー(帯電微粒子水)発生装置

図5 ナノイー(帯電微粒子水)発生装置

※1 ナノイー(帯電微粒子水)技術によって抗原性が抑制されたスギ花粉アレルゲンで実証
※2 スギアレルゲンで実施
※3 環境省:花粉症環境保健マニュアル、令和4年
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf

【お問い合わせ先】

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
ビューティ・パーソナルケア事業部 デバイスビジネスユニット
TEL:0749-27-0485〔お問合せ受付時間:9:30-17:00(土日、祝日除く)〕

記事の内容は発表時のものです。
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パナソニック株式会社
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