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画像:透過型電子顕微鏡写真:ナノイー(帯電微粒子水)照射あり

2023年2月22日

技術・研究開発 / プレスリリース

新型コロナウイルスをバラバラに
世界初※1 ナノイー(帯電微粒子水)技術による不活化メカニズムの一部を解明

未知の変異株への効果が期待

パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、大阪公立大学 大学院獣医学研究科 安木真世准教授との共同研究において、ナノイー(帯電微粒子水)の曝露による新型コロナウイルスの不活化は、ウイルスの構造崩壊が一因であることを初めて明らかにしました。

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は感染力の強い変異ウイルスであるオミクロン株の出現により、今なお収束の兆しを見せません。オミクロン株は現在も変異を続けて子孫系統(亜型)を増やしており、その中の特定の変異株により感染者数が急増する場合も考えられます。しかし、感染拡大の防止には、換気、必要な場面でのマスク着用、手洗い、3密(密接、密集、密閉)の回避、ワクチン接種などの基本的な対策の徹底しかありません。

当社は、ナノイー(帯電微粒子水)技術について、2020年7月に新型コロナウイルスに対する抑制効果※2、2021年11月には新型コロナウイルス変異株4種に対する抑制効果※3、2022年3月には約6畳(24 m3)の試験空間における新型コロナウイルスに対する抑制効果※4を実証しています。また、ナノイー(帯電微粒子水)を曝露した新型コロナウイルスをVero細胞※5に接種しても細胞死が起こらないことが明らかとなっており、感染が起こらないことが示唆されています。しかし、これまでは、ナノイー(帯電微粒子水)が新型コロナウイルスにどのように作用して不活化しているのか、明らかになっていませんでした。

そこで、ナノイー(帯電微粒子水)による新型コロナウイルスの不活化メカニズムに焦点を当て、ナノイー(帯電微粒子水)の曝露有無によるウイルスの構成成分ごとの影響や、細胞へのウイルスの結合量を測定しました。その結果、ウイルスを構築する脂質二重膜やタンパク質、ゲノムRNAと多段階で作用する様子が確認されました。さらに、ナノイー(帯電微粒子水)を曝露したウイルスは細胞への結合能力が失われることで感染が抑制されることが示唆され、ナノイー(帯電微粒子水)による新型コロナウイルスの不活化メカニズムの一部が明らかになりました。なお、今回の検証は密閉された試験空間での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではありません。

パナソニックは、今後もナノイー(帯電微粒子水)技術の可能性を追求するとともに、安心安全な空間の提供を通じて、社会に貢献していきます。

■実証データ

画像:検証装置イメージ
  • 検証機関:大阪公立大学
  • 検証対象:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
  • 検証装置:ナノイー(帯電微粒子水)発生装置
  • 検証方法:45 Lの試験空間にて、床面から15 cmの位置にナノイー(帯電微粒子水)発生装置を設置
    ウイルス液を滴下したガーゼをシャーレに設置し、ナノイー(帯電微粒子水)を所定時間曝露後、透過型電子顕微鏡による形態観察(図1)、タンパク質量の測定(図2)
    ゲノムRNA量の測定(図3)、細胞への結合能力の測定を実施(図5)
  • 検証結果:
画像:図1 透過型電子顕微鏡を用いた新型コロナウイルスの形態観察

図1 透過型電子顕微鏡を用いた新型コロナウイルスの形態観察

1:ナノイー(帯電微粒子水)非曝露群 2:曝露群の新型コロナウイルス
曝露群は形態の歪み(エンベロープの損傷を示唆)が観察された

画像:図2 新型コロナウイルスのタンパク質の電気泳動

図2 新型コロナウイルスのタンパク質の電気泳動

ナノイー(帯電微粒子水)曝露群は非曝露群と比較して減少がみられた
※タンパク質が存在すると青く染色される

画像:図3 新型コロナウイルスのゲノムRNAのRT-PCR

図3 新型コロナウイルスのゲノムRNAのRT-PCR

ナノイー(帯電微粒子水)曝露群は非曝露群と比較して有意な低下がみられた

図4 新型コロナウイルス概略図

図1は脂質二重膜(エンベロープ)への影響、図2はタンパク質への影響、図3はゲノムRNAへの影響を示す

画像:細胞への結合能力の測定
画像:細胞への結合能力の測定

図5 細胞への結合能力の測定(ウイルスのゲノムRNA量、ウイルスタンパク質量の測定)

ウイルスを細胞結合させた状態でゲノムRNA量、ウイルスタンパク質量を測定曝露群で減少がみられた

■結論

画像:図6 今回明らかになった新型コロナウイルス不活化メカニズムのイメージ

図6 今回明らかになった新型コロナウイルス不活化メカニズムのイメージ

ナノイー(帯電微粒子水)は、ウイルスの特定の分子や構造を標的とするのではなく、ウイルスを構築する脂質二重膜やタンパク質、ゲノムRNAと多段階で作用し、ウイルスに損傷を与える。ナノイー(帯電微粒子水)の曝露により傷害を受けたウイルスは、宿主細胞の受容体への結合能力が失われて感染性を失う。これら一連の現象が、ナノイー(帯電微粒子水)による新型コロナウイルス不活化メカニズムの一部と考えられる。(図6)

■実証データ

画像:検証装置イメージ
  • 検証機関:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター
  • 検証対象:新型コロナウイルス(オミクロン株 BA.5)
  • 検証装置:ナノイー(帯電微粒子水)発生装置
  • 検証方法:45 Lの試験空間にて、床面から15 cmの位置にナノイー(帯電微粒子水)発生装置を設置
    ウイルス液を滴下したガーゼをシャーレに設置し、ナノイー(帯電微粒子水)を所定時間曝露後、感染価を測定し、細胞への感染の広がりを観察
  • 検証結果:
画像:細胞への感染拡大の観察イメージ

<感染価の測定>

対象

時間

抑制率

新型コロナウイルス オミクロン株 BA.5

2時間

99.9%

<細胞への感染拡大の観察>
ナノイー(帯電微粒子水)を曝露した新型コロナウイルスと曝露していないものをそれぞれVero細胞※5に接種させて、状態が安定するまで約7時間待った後、撮影間隔10分でタイムラプス撮影を実施。

■ナノイー(帯電微粒子水)の発生原理

霧化電極をペルチェ素子で冷却し、空気中の水分を結露させて水をつくり、霧化電極と向き合う対向電極の間に高電圧を印加することで、OHラジカルを含んだ、約5~20 nmの大きさのナノイー(帯電微粒子水)が発生します。(図7)

画像:図7 ナノイー(帯電微粒子水)発生装置

図7 ナノイー(帯電微粒子水)発生装置

※1 イオン放出式の空気浄化技術において。(2022年6月8日現在、パナソニック調べ)
※2 [プレスリリース] 帯電微粒子水の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抑制効果を確認(2020年7月)
※3 [プレスリリース] 新型コロナウイルスの懸念される変異株4種に対する「帯電微粒子水(ナノイー)」技術の抑制効果を検証(2021年11月)
新型コロナウイルスと変異株4種のウイルス感染価には、株の違いによらず同じ減少傾向が認められたことから、「『帯電微粒子水』技術は一部のアミノ酸置換によるウイルス変異では不活化効果に影響を及ぼさず、今後も出現するであろう変異株に対しても45 Lの同条件下で試験を行えば、同様の結果が期待できる」という専門家の見解を得ています
※4 [プレスリリース] 約6畳(24 m3)の試験空間における付着新型コロナウイルスへの「帯電微粒子水(ナノイー)」技術の抑制効果を検証(2022年3月)
※5 新型コロナウイルスの培養に用いられる宿主細胞

■本検証結果の説明動画

<お客様からのお問い合わせ先>

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
ビューティ・パーソナルケア事業部 デバイスビジネスユニット
TEL:0749-27-0485〔お問合せ受付時間:9:30-17:00(土日、祝日除く)〕

記事の内容は発表時のものです。
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配信元:
パナソニック株式会社
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透過型電子顕微鏡写真:ナノイー(帯電微粒子水)照射あり
透過型電子顕微鏡写真 ナノイーなし
感染拡大観察 ナノイーあり
感染拡大観察 ナノイーなし

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