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画像:完全生分解性セルロースファイバー成形材料

2022年12月6日

技術・研究開発 / プレスリリース

天然由来の繊維を活用した環境配慮型の成形材料

完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発

持続可能な社会へ向けた材料ソリューションを提供

画像:Panasonic GREEN IMPACT

パナソニック ホールディングス株式会社マニュファクチャリングイノベーション本部は、これまでに開発してきた植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、生分解性[1]の植物由来樹脂(ポリ乳酸)等へ展開し、完全生分解性の成形材料[2]を開発しました。生分解性樹脂にセルロースファイバーを高濃度添加することで、機械特性と生分解性に優れた成形材料として開発することに成功しました。

昨今の海洋プラスチック問題や石油資源の枯渇・地球温暖化といった環境問題から、天然資源の効率的な利用(SDGsゴール12)や、海洋汚染の防止および大幅な削減(SDGsゴール14)が国連の開発目標として定められ、樹脂量の削減が世界的に求められています。

当社は、2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始、2019年に天然由来成分であるセルロースファイバーを55%濃度で※1、2021年には70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発※2、2022年3月には植物由来の樹脂を使用したバイオマス度90%以上の成形材料を開発しました※3。さらに成形材料の完全生分解化に向けて、生分解性樹脂にセルロースファイバーを混ぜ込む取り組みを進めました。既存の生分解性樹脂は、ポリプロピレン等の汎用樹脂と比べると強度や耐久性が低く、用途が限られています。さらにセルロースファイバーと混ぜ込むと流動性が低く、複雑な形状の成形が難しいため展開先が限られていました。そのため、植物由来のポリ乳酸を含む複数の生分解性樹脂をブレンドし、適正な添加剤を加えることにより、1 mmの薄肉成形も可能な生分解性と高弾性率を両立する成形材料を開発しました。また、従来のkinari(セルロースファイバー55%)※4同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功、素材そのものを褐色化させることも可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できます。

開発した成形材料は日本バイオプラスチック協会が認証する「生分解性バイオマスプラ」マーク※5を取得しています。

今後、完全生分解性セルロースファイバー成形材料の特徴と優位性を活かし、家電筐体や車載機構部材、高強度とデザイン性を活かした大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品、また飲料・食品容器等への展開を進めてまいります。このような取り組みにより、樹脂使用量の低減を通して持続可能社会の実現に向けた企業活動を推進してまいります。

なお、開発した成形材料は、東京ビッグサイトで開催されるエコプロ展(2022年12月7日~9日)にて、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスとの共同出展として展示を行います。

【特長】

1. 完全生分解性の高濃度セルロースファイバー成形材料を開発

2. 従来のkinari同等以上の強度と生分解性を両立

3. 主成分が天然由来成分となり、樹脂使用量を削減できることで地球環境へ貢献

画像:完全生分解性のセルロースファイバー成形材料

完全生分解性のセルロースファイバー成形材料

画像:完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を用いた成形体

完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を用いた成形体

画像:ポリプロピレン、ポリ乳酸、開発品の湿度50%における弾性率経時変化

ポリプロピレン、ポリ乳酸、開発品の湿度50%における弾性率経時変化

画像:ポリプロピレン、ポリ乳酸、開発品のコンポスト[3]における生分解速度

ポリプロピレン、ポリ乳酸、開発品のコンポスト[3]における生分解速度

※1:パナソニックグループ プレスリリース
2019年7月8日 高いデザイン性を実現する高濃度セルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2019/07/jn190708-1/jn190708-1.html
※2:パナソニックグループ プレスリリース
2021年2月4日 70%高濃度セルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2021/02/jn210204-1/jn210204-1.html
※3:パナソニックグループ プレスリリース
2022年3月18日 バイオマス度90%以上のセルロースファイバー成形材料を開発
https://news.panasonic.com/jp/press/jn220318-2
※4:パナソニックグループ プレスリリース
2021年12月1日 高濃度セルロースファイバー成形材料『kinari』のサンプル販売開始
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2021/12/jn211201-2/jn211201-2.html
※5:生分解性プラスチックの中で日本バイオプラスチック協会のバイオマスプラ識別表示基準を満たす製品は、「生分解性バイオマスプラ」の名称とマークの使用が認められている。
http://www.jbpaweb.net/identification/

【用途】

家電筐体、車載構造部材、日用品、飲料・食品容器など

【特許】

国内23件 海外33件

【技術に関してのお問い合わせ先】

マニュファクチャリングイノベーション本部 企画部 E-mail:midpress@ml.jp.panasonic.com

【用語解説】

[1]生分解性:微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解される性質のこと。
[2]成形:材料を溶かして、金型に流し込むことで、製品の形に加工すること。成形することができる材料を成形材料という。
[3]コンポスト:堆肥化装置を使用して微生物の分解によって有機物を堆肥化させる処理のこと。

<パナソニックグループの環境取り組み>

パナソニックグループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、自社でのCO2排出量削減に加え、社会におけるCO2削減貢献量の拡大を目指し、事業活動に取り組んでいます。取り組みの一環として、新技術による社会への排出削減インパクトに貢献する活動にも力を入れています。

記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

配信元:
パナソニックホールディングス株式会社
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完全生分解性セルロースファイバー成形材料
完全生分解性セルロースファイバー成形材料を用いた成形体

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