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今すぐできる「ACT」から始めよう パナソニックが掲げる共創型のカーボンニュートラル

2022年5月 9日

特集

今すぐできる「ACT」から始めよう パナソニックが掲げる共創型のカーボンニュートラル

2022年1月、パナソニックは新たな環境の長期ビジョンである「Panasonic GREEN IMPACT」を発表した。2030年までに全事業会社でのCO2排出量を実質ゼロにし、2050年には現時点での世界の約1%にあたる3億トン以上のCO2排出量削減を目標とする。2022年4月に開催した環境セミナーの模様から、文字通りインパクトを与えるコンセプトの内容、その先に目指すカーボンニュートラル像を紹介する。


社会の公器だからこそ企業に求められる責任がある

地球温暖化防止対策として、温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すカーボンニュートラル政策が世界各国で進む。2020年10月には日本政府が2050年までのカーボンニュートラル達成を宣言。2030年の目標として、マイナス46%(2013年度比)の温室効果ガス削減を掲げている。

中でも、温室効果ガスで最も大きな割合を占める二酸化炭素(CO2)削減は、地球規模での喫緊の課題である。これら環境問題に対し、パナソニックは以前から意識的な活動を続けてきた。その根底には、創業者である松下幸之助氏の「企業は社会の公器」との思いがある。産業の発展が自然を破壊し、人の幸せを損なうことは本末転倒だ――この松下イズムはパナソニックグループの文化として根づいている。事実、2010年には「環境革新企業」を宣言、2017年に「パナソニック環境ビジョン2050」を策定するなど、積極的に環境課題解決に向けた自社ビジョンを発信してきた。

そして2022年1月、米国で開催された国際的IT・家電見本市「CES 2022」のプレスカンファレンスにおいて、「Panasonic GREEN IMPACT」(以下、PGI)と名づけた新たな環境コンセプトを発表。2030年までに全事業会社のCO2排出量を実質ゼロにすることを表明した。さらに2050年を見据え、顧客が利用する商品からのCO2排出量削減、加えて法人、公共機関向けなどへの省エネソリューション、クリーンエネルギーの利活用拡大などを通じて社会全体のCO2を減らす取り組みを進める。

全世界CO2総排出量の約1%削減がもたらすインパクト

2022年4月19日には、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社による環境セミナー「カーボンニュートラル最前線~進化するくらし・街・モビリティ~」がリアル会場とオンラインのハイブリッドで開催された。最初にオペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 環境経営推進部の野上若菜氏が登壇し、PGIの狙いと概要について説明した。

写真:パナソニック オペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 環境経営推進部 野上 若菜氏

パナソニック オペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 環境経営推進部 野上 若菜氏(撮影:丸毛 透、以下同)

「PGIは段階的に拡大していく長期ビジョン。まずは2030年、自拠点のCO2排出削減ゼロが目標です。これを中核とし、自社バリューチェーン(VC)全体、そして既存事業における社会への排出削減貢献、新技術・新事業による社会への排出削減貢献、社会のエネルギー変革に対する波及インパクトと外周を広げていき、2050年におよそ3億トンの削減インパクトを目指します。これは現時点での全世界CO2総排出量の約1%にあたるものです」(野上氏)

2030年まであと8年と迫る中、パナソニックは着々と動き始めていると野上氏は話す。

「すでに日本、中国、コスタリカ、ブラジルとグローバルの自拠点でCO2ゼロ工場を推進しています。自拠点の排出量は自社VCの中のたった2%に過ぎませんが、自らの責任と行動で変えていくための意義ある2%と考えています。これらのモデル工場で得たノウハウを蓄積し、2030年までにグローバルの全工場へと拡大していく予定です」(野上氏)

並行して省エネ商品や省エネソリューションの提供により、既存事業での徹底したエネルギー削減を推進する。例えば独自の照明設計を採用して、快適さを損なわずに照明の消費電力を最大30%削減。空調・換気商品では機器の進化や連携によって、2030年には約40%のエネルギー削減(2020年比)が可能になる見込みだ。

社会のエネルギー変革については、電化による再生可能エネルギー(再エネ)活用について説明した。「我々の商品で天候や日照に左右される不安定な再エネの利用タイミングをシフトして、需要側で再エネを賢く使いこなす支援をしていきたい」と野上氏。さらにモビリティの車載電池性能向上にも注力し、リユース、リサイクルも含めたトータルでの環境負荷低減に取り組む。

一方、パーム油の原料として栽培されるアブラヤシの廃材を使った再生木質ボードを開発し、廃材から発生するメタンガスの排出削減に寄与。同時にアブラヤシ農園の資源循環を促し、パーム油産業の持続的発展に貢献する活動も始めた。

「これらの事例一つひとつを磨き上げるとともに、有機的につながって拡大していくことが、PGIが最外周で描く無限の可能性の部分。理想の実現に向け、これからもグループ一丸となって取り組んでいきます」(野上氏)

続いて登壇したビジネスソリューション本部 本部長 宮原智彦氏は、「サスティナブル・スマートタウン」(以下、SST)でのカーボンニュートラルの取り組みについて語った。SSTはパナソニックが手がけるまちづくりのプロジェクトで、神奈川県藤沢市(2014年)、神奈川県横浜市綱島(2018年)、大阪府吹田市(2022年)の3カ所に存在する。

写真:パナソニック オペレーショナルエクセレンス ビジネスソリューション本部 本部長 宮原 智彦氏

パナソニック オペレーショナルエクセレンス ビジネスソリューション本部 本部長 宮原 智彦氏

パナソニックがまちづくり構想の検討を開始したのは、環境革新企業を宣言した2010年のこと。今後は家庭内の省エネをまち単位に広げ、地域のエネルギーマネジメントによるエネルギー地産地消のスマートタウンが必要と考えたのがきっかけだ。

「当時は省エネやエコは我慢を強いられるイメージが強いものでした。しかしSSTは"くらし起点"の発想で、生活する人びとの視点で社会や地域の課題解決を図るアプローチを採用しました。住民の皆さんと一緒にまちづくりをしていかないと永続的なまちにはなりません。サステナブルを冠しているのはそのためです」(宮原氏)

すべてのSSTで、エネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネス、コミュニティと5つの分野横断型サービスを設けている。パナソニックのみならず、住民、自治体、大学、パートナー企業などが一体となってまちづくりを推進するのも特徴だ。その上で、宮原氏は藤沢SSTと吹田SSTの取り組みを紹介した。

藤沢SSTは「生きるエネルギーがうまれる街。」をタウンコンセプトとし、自立共生型のエネルギーマネジメントタウンと位置づけている。具体的には600戸のスマートハウスに太陽光発電、蓄電池、エネファーム、HEMS(Home Energy Management System)を標準装備。全体目標としてCO2排出量70%削減(1990年比)、再エネ利用率30%以上、災害時などの際の3日間のライフライン確保を掲げる。

「まち全体で、3メガワット級と世界最大規模の個別分散型エネルギーマネジメントシステムを確立しました。戸建てのスマートハウスではすでにCO2排出ゼロを達成し、タウン内の自動車のEV活用を促すことでCO2削減に努めています。テクノロジーや機器だけではなく、最終的には住民の皆さんの行動変容によってCO2排出量70%削減を達成できました」(宮原氏)

2022年4月にオープンしたばかりの吹田SSTでは、「カーボンニュートラルが当たり前の社会」を提案する。特筆すべきが、日本初となる「再エネ100タウン」の取り組みだ。再エネ電源、卒FIT電源、非化石証書を付加した非再エネ電源をパートナー企業の関西電力がエリア一括受電。タウン内で消費する電力を再エネ100%で賄う。高い防災性にも配慮し、太陽光発電、蓄電池、先進ガス機器を活用したエネルギーのレジリエンス(回復力)対策にも力を入れた。

図版:「再エネ100タウン」に代表される、カーボンニュートラル社会に向けたパナソニックの様々な取組み

「再エネ100タウン」に代表される、カーボンニュートラル社会に向けたパナソニックの様々な取組み

宮原氏は「いずれの場合も、我々だけのノウハウでは不可能。パートナー企業の共創があってこそ実現できました」と共創の重要性を強調。継続して持続可能なまちづくりを発展させていきたいと結んだ。

世の中の常識を変えるバイオ燃料とは?

ゲストスピーカーにはユーグレナ 代表取締役社長の出雲充氏が招かれ、同社が製造・販売するバイオ燃料「サステオ」を中心に講演した。

ユーグレナ社は、2005年12月に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功した東京大学発のベンチャー企業。出雲氏は「パナソニックも始まりはベンチャー企業でした。我々も人類に貢献したいとの思いからスタートしています」と述べ、次のように続けた。

写真:ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充氏

ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充氏

「次世代のカーボンニュートラルを達成するためには、あらゆる技術、あらゆるプレイヤーが力をあわせる必要があります。これからはパナソニックのような大企業と大学発のベンチャーが共創しながらオープンイノベーションを起こし、その結果を社会に実装することが求められます」(出雲氏)

研究を重ねる中で、出雲氏は微細藻類ユーグレナから抽出される油脂に着目。このユーグレナ油脂と使用済みの食用油を原料とするのが独自バイオ燃料のサステオである。同社では2010年と早い段階からバイオ燃料の研究を開始し、2018年には横浜市鶴見区に実証プラントが完成。現在、バスや船舶向けのバイオディーゼル燃料や飛行機向けのバイオジェット燃料を供給している。

図版:微細藻類ユーグレナの粉末。ここから抽出された油脂や使用済み食用油等を原料にバイオ燃料「サステオ」を製造する(資料提供:ユーグレナ)

微細藻類ユーグレナの粉末。ここから抽出された油脂や使用済み食用油等を原料にバイオ燃料「サステオ」を製造する(資料提供:ユーグレナ)

従来のバイオディーゼル燃料は、市販軽油と混合できるバイオ燃料の割合は5%が上限だった。当然ながら残りの95%は化石燃料であり、CO2削減効果は少ない。「我々の開発した次世代バイオディーゼル燃料は、国内軽油規格に合致し、JIS/品確法上も軽油と同等であると認められているため、100%のバイオ燃料でも通常軽油と同じように一般車両に使用できます」と出雲氏。バス、船舶、鉄道を中心に40社以上の協力企業に供給し、試験運用を実施している。

2021年3月に完成したバイオジェット燃料は、国際的な工業規格のASTM認証に適合。同年6月には国土交通省の飛行検査機による試験飛行、同月に民間機初となるホンダジェット、2022年3月にはフジドリームエアラインズのチャーター運航での実稼働を成功させた。

「私は12年前からミドリムシのバイオ燃料で車が動いたり、飛行機が飛んだりする時代が来ると言い続けてきましたが、誰も信じてくれませんでした。サステオは真の意味で持続可能なバイオ燃料だと確信しています」(出雲氏)

バイオ燃料は燃焼すると化石燃料と同じくCO2を排出するものの、原料である植物の成長過程で光合成によってCO2を吸収。これにより、燃料を使用した際のCO2の実質的な排出量がプラスマイナスゼロになるカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。また、バイオ燃料の原料のとしてはトウモロコシ、サトウキビなど農地が必須となるものが多いが、サステオは農地を使わず、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさない点でも持続可能性に優れている。さらには発電のグリーン化にも大きく寄与すると出雲氏は説く。

「日本は約7割を化石燃料による発電に頼っており、これはフランスやデンマークなどと比較して非常に高い割合です。言うなれば、大量のCO2排出と引き換えに発電していることになる。電気をバイオ燃料のようなエネルギーで作ることは、皆で取り組むべき課題だと捉えています」(出雲氏)

写真:ディスカッションの様子

ディスカッションの様子

講演後のディスカッションで出雲氏は「パナソニックがグローバルカンパニーとして3億トンのCO2削減を目標としているのは実に素晴らしいこと。こうした主張を、未来を担うミレニアル世代やZ世代は価値ある意思表明だと感じ取っているはずです」と評価した。これを受け、野上氏は「人びとが変化したいと思う気持ちを進化・発展させるスキームを提供していくことが大事」、宮原氏は「創業者の"やってみなはれ精神"よろしく、やり続けることで成果が見えてきます。共創パートナーが増えているのはその証です」と話した。

Panasonic GREEN IMPACT のロゴは、「ACT」の部分を緑色で強調している。そこには「パナソニックにできる一つひとつのアクションは小さいかもしれないが、ACTを積み重ねることが地球温暖化対策につながる大きなIMPACTになる」との決意がある。大企業が率先して一歩を踏み出すことで、世界が変わる――今回のセミナーからは、そうした気概が感じられた。

(ライター:小口 正貴(スプール))

社会課題解決のアイデアバンク「未来コトハジメ」にて、2022年4月28日(木)公開

「カーボンニュートラル最前線 ~進化するくらし・街・モビリティ~」|環境セミナー

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