
2026年1月15日
- 製品・サービス
- プレスリリース

少子高齢化、労働力不足が深刻化する昨今、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化へのニーズが加速し、物流・製造現場でのロボット導入が進んでいる。一方で、知識やスキルを持つ人材の不足などにより、導入したロボットを実際の運用に生かし切れないという課題も存在する。パナソニック コネクト株式会社(以下、パナソニック コネクト)が2025年10月から提供開始した「Robo Sync(ロボシンク)」は、専門知識がなくとも複数メーカーのロボットや各種機器を一元的に管理・運用できるロボット制御プラットフォームだ。ロボット導入・運用のハードルを下げるとともに、パナソニックグループでサプライチェーンソリューション事業を手掛けるBlue Yonderとの連携の下、そのサービスの裾野を大きく拡大していくポテンシャルを秘めている。
2025年12月3日(水)~12月6日(土)の4日間、東京ビッグサイトで開催された「2025 国際ロボット展(iREX2025)」では、同一ソフトで異なるメーカーのロボットや機器を一元制御するRobo Syncのデモ機が披露され、大きな注目を集めた。
従来、物流・製造の現場におけるロボット導入には、ロボットSIer(※1)などの専門業者が不可欠だった。また、企画から現場導入まで最低でも1~2カ月を要し、導入企業側にも、それを支援するロボットSIer側にも負担が大きいという本質的な課題が存在していた。
※1 ロボットSIer(ロボットシステムインテグレーター):現場の自動化ニーズに合わせて、ロボット導入・制御・運用のシステム全体を設計・構築し、ロボットと周辺機器を統合する技術者・企業のこと。
もっとロボットを気軽に導入・運用できる機会を増やし、日本の現場を元気にしたい――そんな思いと共に、パナソニック コネクトは2022年からRobo Syncの開発をスタート。2024年から本格的に事業推進を担ってきたのが、パナソニック コネクトの牛島 敏(うしじま さとし)だ。
牛島「パナソニック コネクトとしてどんなお役立ちができるのか、大阪府東大阪市にある町工場を新規事業開発メンバーと訪ね、ヒアリングを重ねていたのですが、そこで稼働していないロボットを多く見かけました。聞けば、一度は導入に踏み切ったものの、初期構築の後、変更や調整が追いつかず、そのままになっていると。それを知り、今われわれに求められているのはハードではなく、ロボットをもっと簡単に使えるようにするソフトウェアなのだと思い至りました」
パナソニック コネクト株式会社 SaaSビジネスユニット SaaSビジネスユニット長
牛島 敏(うしじま さとし) ダイレクター
同社が本プラットフォーム開発に取り組む意義は三つあったと牛島は言う。
牛島「一つ目として、私たちは長年にわたり、幅広い領域でモノづくりを続けてきた、つまり多くの現場を持つ企業だということです。まずは自社拠点で、今回のプラットフォームに盛り込む用途や機能についてトライ&エラーを重ねていくことで、導入スピードを加速できると考えました。
二つ目は、当社は協働ロボットを持たない、ニュートラルな立場であるということ。だからこそ、よりオープンなポジションで多くのベンダーさん、メーカーさんの製品に対応でき、各社をつないでいけるというメリットがありました。
三つ目は、パナソニック コネクトの100%子会社のBlue Yonderなどが提供する上位システムとのシームレスな連携が将来的に可能だということ。お客様のニーズに合わせて、ごく限られた現場の自動化に留まらず、SCM(サプライチェーンマネジメント)の全体最適化もご提案できるのが私たちのアドバンテージと言えます」
Robo Syncの開発にあたり、主なターゲットについては、産業用ロボットが稼働する大規模な現場ではなく、単一工程を含む、人とロボットが協働している比較的コンパクトな現場とした。よって、「中小企業のお客様にこそ、ぜひご検討いただきたい」と牛島は言う。ロボットSIerのみならず、専門知識を持たない現場担当者でも、必要とする作業を自身で設定可能なUIを用意することで、導入・運用開始後の担当者や専門家の負担を大幅に削減できるプラットフォームを実現した。
牛島「従来は、制御のためのプログラミングであったり、ロボットメーカーごとに制御仕様を理解せねばならなかったりと、ロボット導入に対してどうしても二の足を踏んでしまわれるお客様も多かったと思います。また、ロボット導入後も、少しの変更であってもプログラムの再構築が必要となり、長期間運用停止、ロボットSIerに依頼、といった運用面の課題もありました。それらを現場作業者の方たちだけで解決できるように開発したのがRobo Syncです」
こうした思いで開発されたRobo Syncは、以下三つの特長を持つ。
市販のロボットアーム、ハンド、カメラ、センサーといった異なるメーカーの多様なロボット関連機器を自由に組み合わせて、同じインターフェースで一元制御できる。多くのニーズがありながらも難易度が高いとされてきた画像認識も標準機能として実装しており、汎用カメラを用いて実現可能。
メーカーごとの仕様を気にせず制御可能となるため、他メーカー/ベンダーのロボット変更も容易になり、急なロボット・ハードウェア変更や現場オペレーションの変化などにフレキシブルに対応できる。
開発時に一番要望が多かったのが「ノーコードで直感的に設定したい」という声。それに応え、動作や検出などの機能ごとに分かれたブロックを組み合わせることで、簡単にロボットの動作シナリオが作成できるプラットフォームを実現。専門知識の無い現場担当者だけでシステムを構築することができる。
パナソニック コネクトが持つロボット制御のノウハウや技術をテンプレート化。ピッキングやプレイス(物を置く)などの主要動作があらかじめ組み込まれたテンプレートにより、複雑な制御でも、すぐに動作検証を実施できる。運用開始後の変更や新たな用途へも簡単に展開可能。
料金体系は、Robo Syncで制御するロボット台数ごとのライセンス課金となる。
支払い方法は月額払いと併せて年額払いも用意。これまでコストの面からロボット導入を諦めざるを得なかった企業にも、検討しやすいプランを提供している。
※2 ロボット導入に関する設置工事費や各種機器費等は含まれていません。
Robo Syncによって現場のスキル平準化が進めば、ロボットSIerにとっても、より多くのロボット導入の案件を推進しやすくなる等のメリットが生まれる。牛島の下には「今後も期待している」という声がメーカー、ベンダー、SIerと、各所から届いていると言う。
Robo Syncに賛同するロボティクス関連パートナーは、ロボット機器メーカー7社、ロボットSIer・商社など19社の、計26社(2025年10月20日現在)だ。
各パートナー企業との関係構築を含め、Robo Syncの開発全般を担当するのは同社の松山 吉成(まつやま よしなり)だ。
パナソニック コネクト株式会社 技術研究開発本部 コアテクノロジー ロボティクス部
松山 吉成(まつやま よしなり) シニアマネージャー・Robo Syncプロダクトマネージャー
松山「2025年6月30日の本サービス発表時には、すでに12社に賛同いただいていましたが、発表後、『同じ課題感を抱えていた』とさらに複数のお会社様にお声掛けをいただきました。今後もオープンなプラットフォームとして、各種ロボティクスパートナーとのエコシステムは広がっていきます」
Robo Sync ご賛同企業一覧
「2025 国際ロボット展」では、合計5社のロボット・関連機器が連携するシステムが構築された
Robo Syncは前述の通り、パナソニックグループ内の「現場」に導入され、2026年1月現在、グループ内6拠点で活用中だ。
パナソニック コネクト社内(神戸工場)において、ノートパソコン製造工程でのラベル貼り作業の自動化を、一般的な小型多関節ロボットによって実現。
松山「従来のロボットベンダーの純正ソフトウェアでは、パソコンの機種ごとに作業内容を切り替えるのが難しく、課題となっていましたが、Robo Syncの採用により、バーコードを読み取るだけで作業内容の切り替えが可能になりました。ロボットSIerなどの専門家の手を借りることなく、現場の生産技術者が主体となってシステムを構築でき、製造工程の工数削減に貢献しています。作業自体も高速化を実現し、効率アップにつながりました」
松山「このほか、業務用製品のタッチパネルの検査工程、コンシューマー製品のラベル貼り付け工程などでRobo Syncが採用され、いずれも業務効率化への貢献を果たしています」
ロボット導入プランナーの概要
同社は、2025年10月から、ロボット導入プランナーの先行評価版(α版)の提供も開始した(※3)。本サービスは、現場に協働ロボットを導入するにあたり、自動化効果の定量的可視化を行い、投資対効果について事前に把握することができるサービスだ。
松山「ロボット導入の検討段階にかかっている時間を、もっと短縮できないか、というところからご用意したサービスです。企画構想から仕様定義・設計までの上流工程を一貫して支援し、性能、生産性、コストの三つの観点で評価を行うことで、自動化の可否や経営判断に必要な情報を提供します。当社内での採用実績として、ロボット導入検討開始から実際に導入するまでの期間が、従来に比べ50%減少するという結果も出ています。本サービスの正式なご提供は2026年度の開始を予定しています」
※3 α版は、ロボットシステムインテグレーター(SIer)向けにご提供します。
Robo Syncの導入に合わせて、WMS(倉庫管理システム)(※4)等の上位系システム、自動倉庫システム、そしてさまざまなロボットベンダーとの間を有機的に連携させる「システム連携サービス」の開発も進んでいる。
※4 WMS(Warehouse Management System):倉庫業務(在庫・入出庫・保管)の管理を行い、効率化と精度向上を支援するシステム。
牛島「このシステム連携サービスがハブとなり、例えば、Blue Yonderが提供する次世代『コグニティブソリューション』の一つである倉庫管理システムと物流向けロボティクスソリューションを提供するラピュタロボティクス株式会社の『自在型自動倉庫 ラピュタASRS』を組み合わせることで、上位システムからの指示に対し、リアルタイムかつ最適な形で自動倉庫、ロボット、現場担当者にタスクを割り振ることも可能になります」
牛島「また、テクノロジーの進化が著しいソフトウェア業界においてSaaS(※5)型のビジネスにチャレンジするにあたり、従来のハードウェア事業の各業務や開発の進め方をゼロベースで大きく変える必要がありました。Blue Yonderから貪欲に多くを学び、彼らの持つ、ソフトウェアを軸に据えた経営スタイル、プロダクトマネジメント、アジャイル開発手法等のノウハウを柔軟に取り入れながら、従来とは違うスピード感でのシステム開発・市場投入が可能となっています」
※5 SaaS(Software as a Service):クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットのネットワークを経由してユーザーがサービスとして利用できる状況のこと。
Robo Syncの打ち出すサブスクリプション型ビジネスは、パナソニックグループ内でも注目を集めており、事業間におけるシナジー効果のみならず、カルチャーの面においても社内外でプラスに作用し始めている。
Blue Yonderとの連携然り、今後はAIによりRobo Syncを進化させていくことで、「AI-Defined Robotics(以下、AIDR)」(AIを活用することで可能になるより柔軟なロボット運用)の実現を目指すと牛島は語る。
牛島「経済産業省が『AIロボティクス戦略』を推進していることもあり、今後、AIの高度化に合わせて、SDR(Software Defined Robot:ロボットの機能をハードウェアと分離し、ソフトウェアで定義・更新する設計・運用モデル)、更にはAIDRの開発・運用が一層、求められるようになります。Robo Syncの取り組みが業界全体の底上げにつながるように今後も注力していきます」
今後の展開について、牛島は次のように述べた。
牛島「海外の物流・製造現場でも、人手不足により、日本と同じ状況が見受けられます。Blue Yonderとのシナジーをより深めていくためにも、次は米国に向けての取り組み拡大を視野に入れています」
Robo Syncは「人とロボットが共に働く社会を もっと身近に」をビジョンに掲げ、引き続き、ロボットの積極的な導入・運用に向けて現場の背中を後押しし、人とロボットがより協働しやすい社会の実現を目指していく。
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。