2025年5月20日

企業・経営 / Stories

Talking with Group CEO Kusumi

未来への希望を紡ぐ―― 「ノモの国」で解き放つ子どもたちの可能性
パナソニック ホールディングス株式会社
グループCEO 楠見 雄規

幼少期の感動、そして未来を担う子どもたちへ

1970年の大阪万博――当時私は5歳でしたが、当時の記憶は鮮明に今も心に刻まれています。大阪に住んでいたので、3回ほど会場へ連れて行ってもらいました。一番覚えているのは、初めて味わったミートパイのおいしさでしたが(笑)、各国のパビリオンで目にしたもの全てが新鮮で、これから自分たちが歩む「未来」にワクワクした記憶があります。

今回の大阪・関西万博にパナソニックグループとしてパビリオンを出展したのは、これからの未来を担う子どもたちに、当時私たちの世代が感じた希望やワクワク感を抱いてもらえるような場を提供したい、そんな思いからです。子どもたちに未来への夢を持ってもらうことは、私たちが250年計画の達成に向け、次の世代にバトンを渡すための不可欠な要素であると信じています。

 

Unlock――「天分」と子どもたちの無限の可能性

「子どもたちが未来に希望を持つ体験ができるパビリオン」にしよう、と小川理子万博担当をはじめとするパビリオンワーキンググループのメンバーが懸命にアイデアを出し合い、その結果生まれたのが、パナソニックグループのパビリオン『ノモの国』のコンセプト――「解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。」でした。

このコンセプトの根幹には、「物心一如の繁栄」――すなわち、「精神的な安定と物資の無尽蔵な供給が相まって初めて人生の幸福が実現する」という創業者・松下幸之助の説いた私たちの真の使命、原点となる考え方があります。確かに、1970年の万博の頃とは異なり現在は、先進国を中心に「物」という意味では豊かになりました。しかし、「こころ」はどうか。未来を担う子どもたちの「こころ」にフォーカスし、その内面を解き放つ体験をしていただこう、という思いを込めているのです。

これは、実にパナソニックグループらしい考え方で、松下幸之助の考え方の中にも、「人にはおのおのみな異なった天分、特質というものが与えられている」「成功とは、自分に与えられた天分を、そのままを完全に生かしきることではないか」というものがあります。「ノモの国」は、まさにその考え方をパビリオンの形にしたのです。

「ノモの国」では、さまざまなモノは心の持ちようによってその捉え方が変わる、いわば、モノは心の“写し鏡”である、という考え方を軸にしています。「ノモ」の名称も、ここから名付けました。松下幸之助は、「人間の心の動きは、孫悟空の如意棒のように伸縮自在である」という言葉を残しています。つまり心の持ち方次第で、自分でも気づいていない、自分の新たな可能性にも気づくことだってあるわけです。そんな子どもたちが未来を担うならば、きっと素晴らしい未来が開けるでしょう。これからもパビリオンにご来場くださる子どもさんたちの心のどこかに、こうした「ノモの国」のメッセージを残していただければありがたいと思います。

今回の万博全体のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。しかし、実際にその未来社会をデザインしていくのは誰か、と考えると、それはやっぱり子どもたちなのです。1970年の万博では、進化した「物」を見て未来への期待を感じていただいた。でも、今は未来に対する不透明感もどんどん増しています。その中では、天分を生かし、未来社会を担う子どもたちの内面に秘められた力や可能性をUnlockすることが、「未来社会のデザイン」にとっても大切だと思うのです。

ですから、ご来場いただく皆さま、特にお子さま、若い世代の方々には「ノモの国」を心ゆくまでご堪能いただき、自らの可能性に目覚めていただきたい。そして、「まだまだ、これから取り組むべきことがある」という気持ちを抱いていただければと期待しています。

 

子どもたちの挑戦を支える、「快適」と「安心」の価値

もう一つ、「ノモの国」全体を通じて、万博全体のテーマでもある資源循環の考え方を発信しています。これは、やはりパナソニックグループのお役立ちとして、未来に向けてサステナブルな社会を引き継いでいきたいという思いに基づいています。当社グループにはさまざまな事業がありますが、社会へのお役立ちとして、そこに住まう人々のくらしや仕事において「快適」「安心」という価値を提供するものも非常に多くあります。

「快適」「安心」というと、あまり特別感のない印象を与えるかもしれません。しかし、これが社会のベースにあることではじめて、未来に向けた思い切った挑戦ができると考えています。つまり、若い人たちが安心して挑戦できる社会を未来に残したい。確かに、課題や困難があるから挑戦する、という側面もありますが、全てにおいて困難であれば、どうしても諦めにつながってしまう。持続した「快適」「安心」という環境があってこそ、ポジティブな気持ちで、さらに豊かな未来に向けた挑戦を積み重ねていけると思うのです。

そこに安住するためのものではなく、挑戦し続けるための基盤としての「快適」「安心」。安心して、それぞれの天分を全うし、いきいきと、より豊かな地球の実現に向けた努力を重ねていける。そんな社会を次の世代に残したい――今回の出展にはそんな思いを込めています。ぜひ、大阪・関西万博にご来場いただき、そして「ノモの国」をご体験ください。

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