2024年10月17日
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【更新】2024年7月26日 「Related Videos」を追加
パナソニックグループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の下、事業活動を通じて自社のCO2排出を減らし、社会のCO2排出削減に貢献することに取り組んでいる。その一環で立ち上がったのが、今回の「子どもたちに環境問題について考える授業を届ける」プロジェクト。株式会社ARROWS(以下、ARROWS)と協力し、小学校6年生に向けた授業コンテンツを制作。2024年3月までに、北は北海道、南は沖縄まで計129校、約6,000人の子どもたちに授業を行っている。本記事では、プロジェクトに携わったメンバーが授業コンテンツの制作に懸けた思いを語る。
――「パナソニックの授業」をつくろうと思ったきっかけについて教えてください。
寺岡:2023年3月にリニューアルオープンした「パナソニックセンター東京」(東京都江東区)の1階では、子どもたちに向けて、環境問題を自分ごと化できるような体験型展示を展開しています。しかし、来館できるのは東京近郊など、一部地域の人たちに限られることが課題でした。遠方に住んでいる子どもたちにも届けられるようなコンテンツができないか……そこで考えたのが、今回の「パナソニックの授業」をつくるプロジェクトです。
藤本:私は、2023年の9月ごろ、このプロジェクトに誘われました。「環境問題の自分ごと化」をお手伝いできるなら「ぜひ」という気持ちでしたね。
寺岡:藤本さんは、環境省に3年間出向されていた経験をお持ちで、最新の情報はもちろん、日本の状況についてもよく知っていました。今回のプロジェクトを通じて藤本さんの思いや知見に触れ、私自身とても勉強になりました。
――授業はどのような内容なのですか。
寺岡:「ストップ温暖化!カーボンニュートラルで地球を守ろう」というタイトルで、日常生活が地球温暖化と密接に関わっていることを知り、誰もが日常生活の中で地球温暖化に対して行動できることを学べる授業としました。また、学校の先生方が負担なく授業を行えるように、スクリーンに投影できるパワーポイントの資料を用意しています。それに付随する形で、動画を2本、授業後にアウトプット学習ができるワークシートが2枚、という構成です。授業を受けた子どもたちが、自宅で振り返りができるように、簡単なクイズも作成しました。今回の授業コンテンツをきっかけに、子どもたちが環境問題に対して積極的に行動し、考え、家族と会話するようになってくれたらうれしいなと思っています。
藤本:小学生に環境問題に対するアクションに取り組んでもらう中で、「とにかく節約を頑張る」みたいな感情にはなってほしくないと思っていて。そうではなく、「日常生活の中でCO2がたくさん出てしまうのはどのような時なのか?」「無理せず続けられて効果的なCO2排出削減につながるアクションは何なのか?」というように、地球温暖化の対策について論理的に考えてもらえるよう意識して作成しています。
――確かに「環境問題=我慢するもの」というイメージもある気がします。
藤本:そうなんです。例えば、環境への負荷を減らそうと思った時、「テレビを見る時間を1日1時間減らそう」といったアクションがありますよね。もちろん、それは間違ってはいないのですが、子どもたちが本当に見たい番組に我慢してまで取り組んで、「環境に良いこと=辛く、苦しいこと」とネガティブなイメージを持たれてしまっては本末転倒です。また、製品を作る際にかかる環境負荷は、当然ゼロではないのですが、電力消費という観点から見ると、10年前のテレビから新しいテレビに買い替えるだけでも省エネになります。今回の授業を通じて、子どもたちには「より良いくらし」をしながら、どうすれば環境負荷を低減できるのか、論理的に考えられるようになってほしいと思っています。
寺岡:そういう意味では、今回作成した授業コンテンツのワークシート「CO2削減アクション一覧」は、きっと役に立つと感じています。「冷やしすぎ・暖めすぎに注意して、エアコンの温度を設定する」「リビングの照明をLEDにする」など、このワークシートを基に実際のアクションをしてもらうと、1クラス当たり20トン近くのCO2を削減できる計算になっています。何をすればCO2削減や省エネにつながるのかを自分たちで考えられるので、環境問題について、少しは身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
――授業をつくる上で、大変さや苦労を感じたのはどんなところでしたか。
藤本:「伝えたいこと」を絞るのが大変でした。例えば、持続可能な社会の実現のために、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが大量に必要であることは、一般的に広く知られていると思います。ですが、これらの発電設備にもメリット・デメリットが存在します。環境という視点だけでなく、安全性や経済性、安定供給性といった点も併せて考えなければなりません。特に資源が少ない島国かつ災害大国とも呼ばれる日本こそ、「電源構成の最適化(エネルギーミックス)」という考え方が重要です。ただ、全て伝えようとすると、とてもじゃないけれど授業に収まりきらない……ということで、今回は「地球温暖化の対策を論理的に考えてもらうこと」「自分たちが行動するきっかけにしてもらうこと」にフォーカスしました。子どもたちに見せる映像や絵柄についても、ぱっと見た時に誤解を与えかねない表現は、何度も修正したりして……。一緒にコンテンツを作ったARROWSさんには、本当にたくさんご協力いただきました。この場を借りて、改めてお礼を言いたいです。
――2023年1月から、「パナソニックの授業」がスタートしていますね。反響はいかがでしたか。
寺岡:私は実際に授業に登壇したこともあるのですが、想像以上に子どもたちからの反響があり、ほっとしています。授業の後、アンケートも実施したのですが、90%以上の子どもたちが「環境のために、何か行動をしたい」と回答してくれたんです。まだ12歳くらいの子どもたちが「次世代のために何かをしたい」とも答えてくれていて。中には、授業が終わった後に「災害の力って、ものすごく大きいと思うから、僕は将来、その力をエネルギーに変えたいと思っています」と直接話しに来てくれた子もいて、感動しました。先生方に対するアンケートでも「この授業を誰かに勧めたいか」という項目に対して、6点満点中平均で5.6点を頂いています。
藤本:授業の際、子どもたちに伝わりやすいよう、CO2排出量を「CO2約1トン当たり、25メートルプール1杯分」と例えていました。すると「パナソニックは2050年までに3億トン分のCO2削減を目指している(※1)ということは、25メートルプールを3億杯分削減するんだね。すごいね!」と言ってくれた子もいました。「論理的に捉えてもらう」という、当初の目標が一つ達成できたと感じた瞬間でした。定量的にイメージできたからこそ「3億杯分削減しても、世界の1%(※2)くらいなんだね」という指摘もありましたね。
※1:パナソニックグループは2050年に向けて、現在の世界のCO2総排出量の「約1%(≒3億トン)」の削減インパクト(※2)を目指す(長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」より)
※2:2019年 エネルギー起源CO2排出量 336億トン(出典:IEA) 3億トンは2020年の排出係数で算出
――なかなか、鋭い指摘ですね。
藤本:身の回りの人たちや国際社会と協力することの大切さを知ってもらえたらと思っています。ほかにも「そもそも、エネルギーって何なの?」と、根源的な質問をしてくれる子がいたのも印象的でした。エネルギーの定義とは何かというと、要は「仕事をする力」なんですよね。けれども、そんなふうに伝えても子どもたちの疑問は解決しないと思ったので、ガソリン車の中では、ガソリンが爆発していて、その爆発で吹っ飛ぶ力がエネルギー、それを使って車は動いているなど、いろんな例えを出して懸命に説明しました。
――反響を受けて、今後の目標があれば教えてください。
寺岡:今回手掛けたのは小学校6年生を対象にした授業でしたが、もっと小さなうちから学べるような仕組みができればいいなと思っています。また、個人的には同じ志を持っている他の企業とコラボレーションするのもいいのでは、と考えています。
藤本:同感です。教育現場はいま、人手不足が深刻ですし、私たちのような民間企業をうまく利用してほしいとも思っています。自分でこんなことを言うのはおこがましいのですが、環境に関する最新動向をお伝えできるのは、民間企業の強みの一つですよね。どんどん有効活用していただきたいです。
これは余談ですが、いまの子どもたちにとって、エネルギーがある生活というのは、ある意味、当たり前なんだと思います。コンセントにプラグを差したらすぐに電気が流れてきますし、ガソリンスタンドへ行けば、簡単にガソリンを補充できます。どこから電気やガソリンが来ているかなんて、気にしなくても生きていける。だけど、この当たり前ってものすごいことなんです。毎日、入りたいと思えばお風呂に入れて、しかも間違ってお湯を飲んでも大丈夫な国なんてほとんどありません。一見、平凡に見える生活も、見えない裏側の部分を知ったら、きっと生活が楽しくなる。今回の授業が、エネルギーの大切さについて興味を持つきっかけになることを願っています。
寺岡:すてきです。私自身、今回の授業コンテンツのように、パナソニックグループが社会を良くするための活動をしていること、藤本さんのような志を持った社員がいること、私もその一員であることを社員としてとても誇りに思っています。
※本記事は、パナソニック_ソウゾウノートにて2024年3月26日(火)に公開された記事を一部編集したものです。
記事の内容は発表時のものです。
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