――持株会社としての取締役会のあるべき姿、果たすべき役割は何でしょうか?
津賀:事業会社はお客様第一であり、お客様に何をしていくのかを常に考えています。しかし、社会が大きく変わる際、既存のお客様に寄り添い過ぎると社会の変化に追随できなくなるケースもあります。そのためホールディングスの役割として、社会の変化を冷静に見極めることが重要です。ホールディングスは将来の変化を捉え、事業会社はお客様にしっかりと寄り添う、このような役割分担が最適であると考えています。
冨山:ホールディングスはメタ視点で時間と空間を広げて考える必要があります。10年後、20年後を見据えたバックキャスティングはホールディングスが担う領域であり、このような観点の議論は取締役会でも増えてきています。また、事業会社への監督も、収益性等を確認する会計的な面とメタ視点を基にした中長期的な面の両面が必要であり、それらを備えた取締役会が理想の姿であります。
津賀:取締役会の監督機能の発揮は、社外取締役の過去の経験、スキルに依存していると感じています。例えば、長期の産業構造の変化を捉えている社外取締役と現場に強い社外取締役では、監督方法は変わってきます。われわれは製造業であるので、取締役会はメタ視点に加えて、ホールディングスと事業会社をつなぐ現場視点も必要と考えています。
冨山:その点で現在の取締役会は、さまざまな経歴の社外取締役がいるので、良い構成と感じています。