福澤:「ビビ・L・押し歩き」は、法改正の壁や、社内での反対意見がある中、約6年間諦めることなく、あらゆる逆境をはねのけて商品化を実現させました。モチベーションを維持するための秘訣や原動力は何でしょうか。
山澤:私の場合、参画当初は気楽にやっていいよと言われたので、メインの仕事の合間に、息抜きのような感じで検討していました。6年間コツコツと続けてこられたのは、趣味の延長で取り組めていたのが良かったのかもしれません。最初から結果を求められると、ストレスになって、続けられなかったかもしれないです。
福澤:だからこそ視野広く、柔軟なアイデアが出てきたのかもしれないですね。
山澤:2019年12月の法改正(※)で、商品化に向けて本格的に動き出してからは、業界で一番に出すために、スピードが求められるようになり、かなり大変でした。でも、しんどいなと思ったときは、街中でお客様が当社の製品を使用する姿を見て、気合を入れていました。これが大きなモチベーションになっていましたね。
※原動機の駆動により歩行をアシストする機器が、歩行補助車(歩行者の一部)として位置づけられるようになった。
柏谷:私は、「何事も『時』が解決してくれる」という考え方をベースに仕事をしています。もちろん、ただ何もせずに待つのではなく、最終目標は定めます。でも、それは絶対じゃない。取り組む中で、できることできないことは必ず出てきます。目標に向かって、戦略を立てながら努力をしますが、タイミングや、周りの人・状況など、いろんなものがかみ合って合致した時にやっと達成できるものだと思っています。そこの見極めをしながら、物事を進めていくためにも、一歩引いて考えるようにしています。
福澤:もっと前のめりになって、がむしゃらに活動されていたのかと思っていました。
柏谷:アグレッシブに活動することは大事ですが、それだけだとうまくいかないこともある。ずっと走り続けると必ず息切れします。大事なのは、ここだというタイミングが来たときに絶対に逃さず、力強く周りを引っ張りながら、つかみ取ること。何事も押して引くが肝心で、強弱をつけてやっていかないといけないと考えています。
福澤:業界初の新しい機能は、需要がどれだけあるのか分からない中で売らないといけないというプレッシャーもあったと思いますが、そのあたりはどうでしたか。
柏谷:残ったら自分で担いででも手売りする覚悟でいました。便利な機能だと信じ続けてきたので、お客様に知ってさえもらえれば購入いただけるはずだと。広報と連携して、マスコミ含めていろいろなところでPRし、まずは広く知ってもらう活動をしました。
福澤:押し歩き機能の使い方やシーンを説明した動画(文末参考動画「ビビ・L・押し歩き 使い方」参照)は非常に分かりやすかったです。
柏谷:資料だけでは分かりにくい商品。どれだけ便利かを可視化するために、急遽「押し歩き機能」の良さが分かるプロモーションビデオを作ることになり、私の母親に出演してもらいました(笑)。