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画像:導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP)

2025年9月18日

製品・サービス / プレスリリース

USB Type-Cの高出力給電に対応した、業界最低背※1の「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP)」を製品化

~USB Power Delivery 3.1準拠の超高耐圧・大容量※2で、情報通信機器の小形・高機能化に貢献~

パナソニック インダストリー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員・CEO:小澤 正人)は、ノートパソコンやタブレットなどの情報通信機器の電源回路に搭載される「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ」において、USB Type-Cコネクタでの高出力給電に対応する超高耐圧・大容量を業界最低背の高さ3 mm品で実現した「POSCAP 50TQT33M/63TQT22M」を製品化しました。2025年12月より量産を開始します。

本製品は、USB給電規格であるUSB Power Delivery(USB-PD)[1]3.1に対応する、電源の電圧安定化やノイズ除去に最適なコンデンサです。以前は最大100 W(20 V/5 A)までだったUSB Type-Cコネクタでの供給電力が、USB-PD 3.1では最大240 W(48 V/5 A)まで拡大できるのが特徴です。これにより、普及が拡大しているUSB Type-Cコネクタでの高速データ転送や急速充電が可能となり、出力を要するディスプレイなどの大型機器などへのさらなる用途拡大が期待されています。

一方、ノートパソコンをはじめとする情報通信機器は小型・薄型化が求められており、限られたスペースに搭載できるよう、コンデンサには超高耐圧・大容量かつ低背品の両立が求められています。当社は、1997年に「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP)」の量産を開始、リーディングカンパニーとして業界初の製品を創出してきました。このほど、独自の“粉末成型技術”と“皮膜形成技術”により、業界最低背となる高さ3 mm品で超高耐圧・大容量の両立を実現した2モデルを製品化しました。

当社は、独自のデバイステクノロジーで、ノートパソコンをはじめとする各種電子機器の高機能化に寄与するとともに、機器の小型・軽量化や使用部材の削減による環境負荷低減に貢献していきます。

<特長>

1. 独自の“粉末成型技術”と“皮膜形成技術”により、業界最低背(※1)の高さ3 mm品でUSB Type-Cの高出力給電に対応する超高耐圧・大容量(※2)の両立を実現

2. USB-PD 3.1対応モデルを50 V、63 Vでラインアップ

3. 低背化により、使用部材削減および環境負荷の低減に貢献

※1 2025年9月18日現在、定格電圧50 V、63 Vで静電容量22 μF以上の導電性高分子タンタル固体電解コンデンサにおいて(当社調べ)
※2 USB Power Delivery 3.1(180 W/240 W出力)に対応する定格電圧50 V、63 Vの高耐圧かつ静電容量22 μF以上の大容量導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ

【用途】

  • ノートパソコン、ディスプレイなどの情報通信機器および周辺機器のUSB-PD 3.1対応電源の電圧安定化やノイズ除去
  • USB-PD 3.1対応コネクタのアーク放電[2]対策

【主な特長】

1. 独自の“粉末成型技術”と“皮膜形成技術”により、業界最低背の3 mm品でUSB Type-Cの高出力給電に対応する超高耐圧・大容量の両立を実現

POSCAPの断面図と電極体内部の拡大図

USB-PD 3.1対応の電源に求められるコンデンサ特性を低背で実現するためには、トレードオフの関係にある大容量化と高耐圧化を両立させる必要があります。大容量化に向けては、電極材料に大容量のタンタル粉末を用いる必要がありますが、大容量タンタル粉末は粒子サイズが小さく成形加工が難しいため、安定生産には課題がありました。

また高耐圧化に向けては、電極表面への均一な誘電体膜形成が重要ですが、大容量タンタル粉末材料を用いた電極は電極内の細孔が非常に小さいため、誘電体酸化被膜に欠陥ができやすいという課題がありました。

当社では、大容量タンタル粉末を均一な密度で成形する独自成形技術を新たに確立し、さらに皮膜を欠陥がなく均一に形成するための成膜プロセスの最適化を図り、USB Type-Cの高出力給電に求められる超高耐圧・大容量で業界最低背となる3 mm品の開発に成功しました。

2. USB-PD 3.1対応モデルを50 V、63 Vでラインアップ

当社では、これまで導電性高分子タンタル固体電解コンデンサは耐圧35 Vまでの展開であり、USB-PD 3.1で拡大された36 V(180 W)/48 V(240 W)ラインに適合するモデルはありませんでした。今回、新たに超高耐圧となる50 V/63 Vの2モデルで22 μF以上の大容量を業界最低背である3 mm高さで実現。用途、機器の仕様に応じて、使い分けが可能となります。

3. 低背化により、使用部材削減および環境負荷の低減に貢献

業界標準サイズ(※3)に比べて、体積が25%削減可能なため、使用部材の削減による環境負荷の低減に貢献します。

※3 USB-PD 3.1対応の電源に用いられる導電性高分子タンタル固体電解コンデンサの業界標準サイズ(長さ7.3 mm×幅4.3 mm×高さ4 mm品)との比較

【仕様】

  • 寿命:105℃ 2,000時間 保証温度範囲:-55℃~105℃
  • リプル電流[3]:100 kHz、105℃
  • ESR[4]:100 kHz、20℃

 

50 V品

63 V品

サイズ(※4)
(mm)

容量
(μF)

リプル電流
(mArms)

ESR
(mΩ)

容量
(μF)

リプル電流
(mArms)

ESR
(mΩ)

L7.3×W4.3×H2.8

33

1200

100

22

990

150

※4 製品寸法公差 長さ(L)±0.3 mm、幅(W)±0.2 mm、高さ(H)±0.2 mm

【用語説明】

[1]USB-PD
USB Implementers Forum(USB-IF)という規格団体で策定された電力供給の規格。2021年に発表されたUSB-PD 3.1では、USB Type-Cケーブルおよびコネクタを介して最大240 Wの電力を供給できるようになり、スマートフォンからノートパソコン、モニターなどの大型機器まで幅広く対応できます。

[2]アーク放電
電気回路における低電圧、高電流の時に発生する電気的な火花や放電現象。

[3]リプル電流
コンデンサに電圧の変動が加えられると、電圧の変動分に応じた充放電電流がコンデンサに印加されます。このコンデンサに印加される電流がリプル電流で、高いほど許容電流が大きくなります。

[4]ESR(Equivalent Series Resistance)
等価直列抵抗のことで、発熱などの要因となる内部の抵抗成分値。この値が低いコンデンサほど、リプル電流を多く流すことができ、ノイズ吸収性にも優れます。

【パナソニック インダストリー株式会社について】

パナソニック インダストリー株式会社は、電子デバイス・マテリアル等の開発・製造・販売を手掛ける、パナソニックグループの事業会社です。グローバル約39,200人の従業員を擁し、2025年3月31日終了の会計年度で1兆836億円の売上高を計上しています。私たちは、「多様なデバイステクノロジーでより良い未来を切り拓き、豊かな社会に貢献しつづける」をミッションにかかげ、情報化社会の進展にともなうデータ爆発、モビリティ社会における環境・安全性要求の高まり、モノづくりにおける労働力不足などを背景に、継続的な進化が求められる領域に注力し、コンデンサや電子材料など、当社固有の材料技術やプロセス技術で特長の際立つ顧客価値を提供し続けていきます。パナソニック インダストリーの詳細についてはhttps://www.panasonic.com/jp/industry.htmlをご覧ください。

記事の内容は発表時のものです。
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配信元:
パナソニック インダストリー株式会社

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