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2025年1月16日

技術・研究開発 / プレスリリース

群馬パース大学との共同研究を実施

業界初※1、実使用空間において次亜塩素酸を用いた浮遊菌・付着菌の除菌効果を検証

「感染制御空間」創出を目指し産学連携を推進

パナソニック株式会社 空質空調社は、この度、群馬パース大学と共同で、業界初(※1)、実使用空間で次亜塩素酸を用いた浮遊菌・付着菌の除菌効果を検証しました(※2)。今後も産学連携を進め、次亜塩素酸技術のさらなる進化、また菌・ウイルスによる感染リスクを低減する空間づくりを目指して研究を行っていきます。

昨今、インフルエンザ、新型コロナ、マイコプラズマ肺炎など様々な感染症の流行が確認されている中、当社が30年以上にわたり研究し(※3)、除菌・脱臭で高い効果が認められている次亜塩素酸において、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなど多くの菌・ウイルスへの除菌効果を確認してきました。また、2022年4月には、次亜塩素酸に関するより高度な検証を行うための施設として、愛知県春日井市に「IAQ検証センター」を設立し、さらなる研究体制の強化に努めています。

これまで蓄積してきた次亜塩素酸による菌・ウイルスを抑制するエビデンスに加えて、実際にヒトの感染リスク抑制に向けた効果検証を進めていくため、今回、医療系大学である群馬パース大学との産学連携を開始しました。群馬パース大学の先端医療科学研究センターは、先駆的な医療科学研究を推進しており、ウイルス感染症の新規検査診断法の開発など、ウイルス感染症の診断治療に不可欠かつ重要な研究や院内・施設内感染制御ならびに原因究明に関する研究を一貫して行っています。

この度の検証では、業界で初めて(※1)、群馬パース大学の教室や実習室(実使用空間)を使い、次亜塩素酸による室内の浮遊菌および付着菌の除菌効果を検証しました。浮遊菌では、生徒が実際に授業を受け、換気・空調を運転している約70畳の広さがある教室を2つ用意し、一方に次亜塩素酸水溶液を装置内部で生成する機能と集じんフィルタを搭載した検証装置を設置。実際に大学が稼働している月曜から金曜日の5日間24時間装置を運転させ、火曜日の昼食時、午後の講義後に浮遊菌を採取しました。その結果、検証装置が設置されている教室では約85%の菌の減少が確認できました。さらに、教室内の浮遊する菌を同定し、カビやバチルス属菌、黄色ブドウ球菌等の種々菌や真菌が検出されました。これらにより、次亜塩素酸生成と集じんフィルタを搭載した装置が幅広い浮遊菌に対して効果があることが示唆されます。
付着菌では、換気・空調を運転している約56畳の広さの無人の実習室に、上記と同様の検証装置から8 m離れたところに大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌を付着させたシャーレを配置し、検証装置内で生成した次亜塩素酸水溶液を揮発させた気体状次亜塩素酸によって、検証装置無し(自然減衰)に対して24時間後の比較では、黄色ブドウ球菌で99.9%の減少を確認しました。

本研究結果に対して、群馬パース大学のインフェクションコントロールドクターである木村博一教授は、「引き続き実使用空間の除菌試験と罹患率評価に取り組み、将来的には、次亜塩素酸技術の活用が、感染リスクの低減に効果的であると確認されることに期待したい」と述べています。当社は今後も、人々が安心、安全に暮らすことができる「感染制御空間」の創出を目指し、次亜塩素酸技術の研究に取り組んでいきます。

※1 実使用空間における浮遊菌および付着菌への除菌効果の検証について。国内の空気浄化、空調業界において。2025年1月16日現在、当社調べ。
※2 今回の検証は、基礎的な研究であり、次亜塩素酸水溶液を搭載した製品での効果検証ではありません。
※3 三洋電機時代の歴史も含む。

(ご参考)群馬パース大学 プレスリリース https://www.paz.ac.jp/news/2025/01/16/press-250116/

【検証の詳細】

(1)浮遊菌除菌試験

■検証方法
群馬パース大学内で授業を実施している2つの教室に検証装置を各4台設置した。検証装置の次亜塩素酸発生ありと発生なし(自然減衰)とで比較し、浮遊菌除菌効果の検証試験を行った。また吸込部に集じんフィルタを搭載ありと搭載なしで比較した検証試験も実施した。サンプリングした菌はグラム染色を行い、落下浮遊菌の同定を実施した。

■検証結果
次亜塩素酸発生あり、集じんフィルタありでの空中浮遊細菌は約85%減少と有意差を示した。
次亜塩素酸発生なし、集じんフィルタありでの空中浮遊細菌は約50%減少と有意差を示した。(図1)
またサンプリングした細菌をグラム染色を行った結果、カビやバチルス属菌、黄色ブドウ球菌等の種々菌や真菌が検出された。(図2)

【図1 経過時間ごとの浮遊菌減少結果】

【図2 グラム染色による菌の同定結果(一例)】

試験機関・・・パナソニック株式会社
検証機関・・・群馬パース大学

●検証装置・・・回転式除菌フィルタに約100 mg/Lの次亜塩素酸水溶液を含浸し、一定の風(5.6 m3/min)を回転式除菌フィルタに流し、吸込部に集じんフィルタを搭載した検証装置を4台設置
●検証方法
・検証装置稼働・・・月曜日から金曜日の24時間
・検証装置条件(※4)・・・次亜塩素酸(+)集じんフィルタ(+)、次亜塩素酸(-)集じんフィルタ(+)、次亜塩素酸(-)集じんフィルタ(-)(自然減衰)
・試験空間
大学教室・・・約322 m3(約70畳)換気あり、空調あり(図3)

<浮遊菌のサンプリング>
・次亜塩素酸(+)集じんフィルタ(+)、次亜塩素酸(-)集じんフィルタ(-):教室内の浮遊菌を初期、2.25時間、4.25時間後に血液寒天培地が入ったシャーレをセットしたエアサンプラーを用いて500 L/5分捕集する。
・次亜塩素酸(-)集じんフィルタ(+):教室内の浮遊菌を初期、3.75時間、5.75時間後に血液寒天培地が入ったシャーレをセットしたエアサンプラーを用いて200 L/2分捕集する。
・エアサンプラー設置位置・・・検証装置から2.3 m離れたところに設置(床上0.7 m)

<菌の測定>
所定時間作用毎にシャーレを回収し、シャーレをインキュベータで約48時間、培養した。コロニーをカウントして菌の減少率をTukeyの統計手法により、有意差を評価した。

<グラム染色による同定>
・採取した血液寒天シャーレから数種類の菌を釣菌し、グラム染色を施した後、顕微鏡で観察し同定した。

※4 次亜塩素酸(+)・・・電解あり、次亜塩素酸(-)・・・電解なし、集じんフィルタ(+)・・・搭載あり、集じんフィルタ(-)・・・搭載なし

【図3 大学内教室の概略図】

<教室概要>
・教室面積:115 m2(70畳)
・天井高さ:2.8 m
・入室学生数:40~50人
・換気能力:200 m3/h×3台(強)
・換気回数:1.9回/h
・空調:エアコン稼働

(2)付着菌除菌試験

【図4 各特定菌の24時間経過後の付着菌減少結果】

■検証方法
群馬パース大学の実習室に検証装置を2台設置し、検証装置から8 mの距離に大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌を付着させたシャーレを配置した。検証証装置を運転した空間と検証装置のない空間(自然減衰)で付着菌除菌効果の検証試験を行った。

■検証結果
検証装置無し(自然減衰)に対し、検証装置有りは、大腸菌は24時間で94.6%、緑膿菌は24時間で99.6%、黄色ブドウ球菌は24時間で99.9%減少と有意差を示した。(図4)

試験機関・・・パナソニック株式会社
検証機関・・・群馬パース大学

●検証装置・・・回転式除菌フィルタに約30 mg/Lの次亜塩素酸水溶液を含浸し、一定の風(5.6 m3/min)を回転式除菌フィルタにあてて有効塩素成分を揮発させる検証装置を2台設置
●検証方法
・検証装置条件(※5)・・・次亜塩素酸(+)、次亜塩素酸(-)(自然減衰)
・試験時間・・・24時間
・付着方法
付着大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌の各菌液をシャーレに50 μL滴下し乾燥させる。

・試験空間
次亜塩素酸(+)・・・大学実習室約260 m3(約56畳)換気あり、空調あり(図5)
次亜塩素酸(-)・・・安全キャビネット内

・シャーレの配置
次亜塩素酸(+)・・・検証装置から8 m離れたところに配置(床上0.8 m)
次亜塩素酸(-)・・・安全キャビネット内に配置

<菌の測定>
付着シャーレ設置24時間後に回収し、シャーレの洗い出し液を試料原液として、10段階希釈液を作製した。その試料原液または希釈液をペトリフィルムに採取しインキュベータで24~48時間培養した。コロニーをカウントして菌の減少率をMann-Whitney U testの統計手法により、有意差を評価した。

※5 次亜塩素酸(+)・・・検証装置設置あり、次亜塩素酸(-)・・・検証装置設置なし

【図5 大学内実習室の概略図】

<教室概要>
・教室面積:93 m2(56畳)
・天井高さ:2.8 m
・換気能力:103 m3/h×3台(弱)
・換気回数:1.2回/h
・空調:エアコン稼働

画像:次亜塩素酸の除菌効果検証一覧

感染症に関わる次亜塩素酸エビデンスのこれまでの自社取り組みについて、以下掲載します。

■次亜塩素酸の除菌効果検証一覧

※本検証は、当社の技術研究成果もしくは研究中の内容であり、製品による効果ではありません。

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配信元:
パナソニック株式会社
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