2024年12月19日
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パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、低温はんだを用いたフロー実装を、世界で初めて※家電製品の量産に適用しました。
環境問題に対する世界的な気運の高まりを背景に、鉛の有毒性を考慮して開発された鉛フリーはんだが主流となっています。しかし、鉛フリーはんだにすることではんだの融点が高くなってしまうという問題がありました。
融点が 184度以下のはんだを低温はんだと呼び、スズ(Sn)やビスマス(Bi)をベースにすることではんだの融点を下げる開発が進められています。当初は、強度や耐久性などがネックとなり、なかなか実用化に至りませんでしたが、温度条件や各種信頼性の確認が進み、高密度実装に用いられるリフロー実装での採用が増えています。当社の家電製品では、2012年から他社に先駆けて低温はんだのリフロー実装を量産適用しています。
一方、家電製品などで多く用いられるフロー実装では、加熱して液体状になったはんだをプリント基板の実装部に噴流するため供給量のコントロールが難しいほか、はんだ槽の表面に浮くはんだの酸化物(はんだドロス)の生成などが課題となり、低温はんだの実用化は困難でした。
この度、当社は材料メーカーと協力し、はんだ組成を最適化。フロー実装に適したSnとBiの合金はんだ(Sn-58Bi)およびSn-58Bi専用のフラックスを開発しました。さらに、これまで培ってきた実装技術の知見をいかして、温度や噴流条件など実装条件を最適化するとともに、新開発のフラックス採用によりはんだドロスを低減。低温はんだを用いたフロー実装を、世界で初めて家電製品の量産に適用しました。
Sn-58Biは、従来の鉛フリーはんだと比べて融点が約90度下がるため、実装工程の消費電力が約30%削減します。さらに、CO2排出係数が小さいBiを用いるため、はんだ自体のCO2排出係数も大幅に減少。Sn-58Biへの切り替えによってCO2削減に貢献します。
パナソニックは、今後も環境負荷の小さい材料や工法を積極的に開発・採用し、Panasonic GREEN IMPACTの実現を加速していきます。
融点が約90度下がることにより、(1)はんだ槽の温め、(2)はんだの溶融、(3)実装、(4)作業効率の向上(はんだ槽が早く温まることによる実稼働の前倒し)で消費電力が低減、実装工程トータルで約30%の省エネ化を実現します。
CO2排出係数の小さいBiを積極活用。現在使用している鉛フリーはんだからの置き換えを促進し、CO2排出量の削減を実現します。
比較的価格が安定しているBiの含有量が多い低温はんだの使いこなしにより、従来の鉛フリーはんだと比べて、約30%のコスト削減を実現します。
脆く、耐久性やぬれ性に劣るといった懸念に対して、落下委衝撃試験や、はんだづけ性評価、基盤の組み立て時にかかる負荷を想定したたわみ負荷評価などを実施。実用に耐えうる信頼性を確認しています。
※2022年8月3日時点、パナソニック調べ
記事の内容は発表時のものです。
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