2024年12月18日
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パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、視認性が悪い夜間においても250m先にある物体までの距離情報を画像化する、アバランシェフォトダイオード(APD)[1]画素を用いたTime of Flight(TOF)方式距離画像センサ[2]を開発しました。本センサは、車載用距離測定や暗闇での広域監視など、さまざまな分野へ展開可能です。
今回開発したTOF方式距離画像センサは、光が物体で反射して戻ってくるまでの飛行時間(TOF)を全画素で直接計測し、近距離から遠距離までの三次元距離画像を一括で取得します。入力信号を増幅するAPDを受光部に用いるとともに、微弱な入力信号を積算する演算回路を全画素に内蔵することで、250m先までの三次元距離画像化を可能としました。さらに、電子増倍部と電子蓄積部とを積層化、APD画素の小面積化により世界最高となる25万画素の集積化を実現※1。従来は困難であった三次元距離画像の長距離化と高解像度化との両立に成功しました。
本開発は、以下の特長を有しています。
本開発は、以下の新規技術により実現しました。
ステレオカメラなど従来のカメラ技術は夜間の認識精度が低下してしまうという課題があります。一方、赤外線を用いたLiDARは夜間も使用できる反面、解像度が低いため小物体の特定が困難になり、検知漏れが発生するという欠点がありました。
産業/監視/車載センシングカメラ
本開発成果は、2018年6月20日にホノルルで開催される「2018 Symposia on VLSI Technology and Circuits」で発表します。
従来のイメージセンサでは、画素に入った1光子は1電子にしか変換されないため、1光子程度の微弱な信号光に対しては、ノイズに弱くなる課題がありました。光電変換領域と増倍領域と信号蓄積部を積層し構成するAPD画素化技術により、11.2μmピッチの微細画素を形成、25万画素の高解像と信号増幅1万倍の高感度を両立するセンサを実現しました。
図1. 従来のイメージセンサとAPDイメージセンサの受光部構造比較図
図2. 画素内信号増倍の有無の撮像比較図
一般的にTOF方式による距離計測は、光源から発した光が物体に当たり、反射して戻ってくるまでの飛行時間を計測し、距離を算出します。今回、最短10ナノ秒の短パルス光と同期して、センサに内蔵する10ナノ秒の高速シャッタを駆動する独自の短パルスTOF方式を開発しました。本技術により、近距離から遠距離までの複数の距離レンジを合成し、一括で三次元距離画像を取得できます。
図3. 短パルスTOF方式の説明図
図4. APD-TOFセンサによる、短パルス用いた距離毎の画像取得の説明図
1光子を1万個の電子に増倍する増倍領域を設けつつ、光電変換領域と信号蓄積領域と同じ平面積に収まるように倍増領域を積層化することで、増倍機能を持ちながら微細な画素が可能となるAPD画素化技術を開発しました。暗い場所や遠い場所の鮮明かつ高解像度な撮像を実現します。
近距離から遠距離までの距離レンジを一括で距離画像として取得する長距離計測画像化技術を開発しました。250m先からの反射光は、1光子が届くか届かないかという確率的な信号です。今回、光子の到達回数を数える独自の積算回路を全APD画素に内蔵、1光子の微弱信号であっても確実に捉えることができる微弱光積算技術を開発しました。新たな短パルスTOF方式と微弱光積算技術を組み合わせた長距離計測画像化技術により、従来のステレオカメラやLiDARでは難しかった、夜間における長距離計測と高解像度化を両立した距離画像を実現しました。人の目には見えない夜間の遠方でも、人や小さな物体の位置や形状が判別可能な距離画像を取得できます。
図5. 微弱光積算技術による微弱光の高密度化の説明図
図6. 夜間にTOF方式距離画像センサで取得した三次元距離画像
以上
記事の内容は発表時のものです。
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