2024年10月10日
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2012年9月13日
製品・サービス / トピックス
パナソニック株式会社デバイス社は、高耐電圧が要求される通信基地局などの電源平滑回路に最適な面実装タイプの「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ[1]」(80V品)を製品化しました。
▼導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ ラインアップ
http://industrial.panasonic.com/www-ctlg/ctlgj/qABA0000_JP.html
近年、スマートフォンなど携帯通信機器の急速な普及拡大を背景に、通信基地局の設置も飛躍的な増加を続けています。このような中、基地局装置は、小型、軽量化が進み、使用される電子部品には、高耐電圧化、高信頼性が求められています。今回当社では、通信基地局などの通信インフラの電源平滑回路に最適な、80Vの耐電圧を実現した「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ」(80V品)を製品化、量産を開始します。
■導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ(80V品)V形ZAシリーズの特長
1.80Vの耐電圧と優れた耐久性で機器の高信頼性化に貢献
耐久性:105℃ 5000h、当社従来品(※1) 比 約2.5倍
通信基地局などの通信インフラ電源の平滑回路用コンデンサには、基地局の通信回路電圧である48Vに対応した80Vの高耐電圧化と小形化が要求されています。一般に、導電性高分子コンデンサ[2]は、耐電圧が比較的低いため、高電圧化要望には十分に応えられないという課題がありました。一方、アルミ電解コンデンサ[3]では、高耐電圧を有するもののESRが高く、低ESR化には製品サイズが大きくなり、さらに電解液蒸発により寿命保証時間が短いという課題がありました。当社では、導電性高分子コンデンサに匹敵する低いESR と、アルミ電解コンデンサに匹敵する低い漏れ電流特性を兼ね備えた「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ」を製品化していますが、今回、電解質として導電性高分子に電解液を加えた独自のハイブリッド化技術のさらなる改良とともに、電解液と導電性高分子の高耐電圧化技術を開発。小形ながら、80Vの耐電圧で保証時間105℃ 5000hと耐久性に優れ、48V系が主流の通信インフラ電源の平滑回路用コンデンサに最適です。またLEDバックライト電源など各種機器の小型化、長寿命、高信頼性化やメンテナンスフリー化にも貢献できます。
2.低漏れ電流特性で機器の省電力化と動作安定化に貢献
漏れ電流[4]:0.01CV または 3μA(※2) 以下
アルミ電解コンデンサの電解質に導電性高分子を採用した場合、導電性高分子自体のアルミ酸化皮膜の修復能力が低いため、製品としての漏れ電流が大きくなり、また実装時のはんだリフロー後に漏れ電流が増加するという課題がありました。当社では低漏れ電流を達成するため、独自のハイブリッド化技術に、さらに新材料技術および新プロセス技術の開発を行い、低漏れ電流特性を実現しました。これにより、待機時に流れる漏れ電流を抑えることができ、消費電力の低減や各種電源の動作安定化に貢献できます。
3.低ESR特性、高リプル電流で機器の小型化・軽量化に貢献
ESR[5]:36~45mΩ、当社従来品(※1) 比 約95%低減
リプル電流[6]:1550mA~1700mA、当社従来品(※1) 比 約8倍
サイズ(直径×高さ):8.0mm×10.2mm、10.0mmx10.2mm
特長1で述べたとおり、本製品は、電解質として導電性高分子に電解液を加えた独自のハイブリッド化技術をさらに改良、80Vの耐電圧で、かつ高周波帯域(100~300kHz)での低ESR特性(当社従来品比、約95%低減)を実現しました。また、高リプル電流(当社従来品比、約8倍)により、大幅な小形化を実現、基板実装面積の低減も図れ、通信基地局電源や、LEDバックライトなどのスイッチング電源の小型化、軽量化、員数削減に貢献できます。
(※1)当社従来品:アルミ電解コンデンサ(FKシリーズ)
(※2)いずれか大きい値
■販売計画
・サンプル開始:2012年9月
・量産開始:2012年10月
・サンプル価格:100円/個より
・月産数量:200万個/月
■用途
通信基地局などの通信インフラ電源(48V系)、LEDバックライト電源などのスイッチング電源の電源平滑回路用他
■基本仕様
・サイズ(直径×高さ):8.0mm×10.2mm、10.0mmx10.2mm
・耐久性:105℃ 5000h
・カテゴリ温度範囲:-55~+105℃
・定格電圧:80V
・静電容量範囲:22~33μF
・ESR:36~45mΩ(100kHz/20℃)
・定格リプル電流: 1550~1700mA(100kHz/105℃)
・リフロー条件:ピーク温度 260℃ 1回
・漏れ電流規格:0.01CVまたは3μA以下(定格電圧印加2分値)
■用語説明
[1]導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ
電解質に固体《導電性高分子(導電性ポリマー)》と液体(電解液)を融合したハイブリッド電解質を採用したコンデンサ。導電性高分子コンデンサの特長である低ESR特性とアルミ電解コンデンサの特長である低漏れ電流特性を兼ね備えたコンデンサ。
[2]導電性高分子コンデンサ
電解液の代わりに導電性を有する固体電解質《導電性高分子(導電性ポリマー)》を用いたコンデンサの総称。主材料に用いられるものはアルミの他にタンタルがある。また構造としては、アルミ電解コンデンサのように巻回構造のものと、他に積層構造のものがある。導電性高分子(導電性ポリマー)は、固体電解質のため、電導率が高く、優れた低ESRの特性を有する。
[3]アルミ電解コンデンサ
主材料にアルミ箔を使用し、その表面に誘電体となる酸化皮膜を形成したアルミ電極箔を用いたコンデンサの総称。アルミ電極箔を陽極と陰極に用い、電解紙(絶縁紙)を挟んで巻回構造にし、電解紙に導電性を有する電解液を浸みこませた構造で、静電容量やESRを引き出す役目(電解質)を電解液が担うものを示す。大容量が得られ、主に電子機器の電源平滑用に使用される。酸化皮膜の修復能力が高く、コンデンサの漏れ電流が低い特長がある。
[4]漏れ電流
コンデンサに電圧を印加し続けた場合に、僅かに流れる電流のこと。内部のアルミ酸化皮膜の微小欠陥を修復する電流であり、この電流が大きいと、機器の待機時にムダな消費電力や、電源として動作が不安定となるなどの要因の一つとなる。漏れ電流はコンデンサの静電容量(C)と定格電圧(V)との積に、一定の係数を乗じた数値を規格とするのが一般的。0.01CV(μA)とは、0.01×静電容量(μF)×定格電圧(V)の略。
[5]ESR
等価直列抵抗のことで、電解コンデンサが持つ等価回路上の抵抗成分。この値が低いほど、リプル電流が流れる際の発熱が少なくなり、ノイズ吸収性に優れるコンデンサとなる。
[6]リプル電流
コンデンサに印加される電圧に脈流(交流成分)が加わっていく時に流れる電流のこと。コンデンサの寿命に影響を及ぼす。この値が高いほうが信頼性に優れるコンデンサとなる。
▼本件に関するお問合せ先
パナソニック株式会社デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL:06-6904-4732
ホームページURL:http://panasonic.net/id/jp/
記事の内容は発表時のものです。
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