2024.07.19
パナソニックグループのひと
顧客との新たな共創の形
思いを一つに、車載カメラの次代を切りひらく:楳田 勝美
シリーズ:
車載カメラ
長年培った技術とユーザーインサイトで
車の全体を見渡し、最適を導く
顧客ニーズを熟知する
設計開発のキーパーソン
楳田 勝美
パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 車載システムズ事業部
安全・安心システムズビジネスユニット 第一商品開発部
うめだ・かつみ 1996年入社。ハードディスク用磁気ヘッドや携帯電話の高周波デバイスの開発からキャリアをスタート。その後、光学技術者として車載カメラの肝であるレンズ設計に従事。大手カーメーカー様に3年間出向し、車載カメラの企画や仕様の策定を顧客と共に手掛けた。この経験で、顧客のニーズを熟知。車載カメラの開発をリードし、国内主要カーメーカー様からの受注につなげている。
互いの立場を超えて本音で議論
お客様の理想に寄り添うために
より安全・快適な運転を支援する自動駐車、周辺監視用の車載カメラの開発を担当しています。
あまり知られていませんが、世界で初めて乗用車向けの車載カメラの開発に取り組んだのは、実はパナソニックです。1996年に生産を始めて以来、30年近くにわたり多機能かつ高機能な車載カメラの開発を進め、車両周辺を映し出すビューカメラの分野で高いシェアを誇っています。
現在の車載カメラに求められる仕様はさまざまです。車両の周囲360度をボケなく見られる広い視野や、人の目に近い色再現性を備えた高画質、強い日差しや雨風、気温の変化といった厳しい環境下でも高精細を保つ画像の提供など、お客様の理想に寄り添う仕様を高次元でかなえる技術の確立を目指し、日々開発を行っています。
そんな中、2025年以降に量産される車両の全周囲カメラと電子ミラーの仕様策定に向け、企画段階から参画してもらいたいと、ある国内主要カーメーカー様から求められ、2020年から約3年間出向することに。当社として初めての試みでしたが、デバイスメーカーとしてではなく、顧客であるカーメーカー様と対等の立場で議論し、どうすればエンドユーザーであるお客様に喜んでもらえる車になるか、そのために車載カメラにはどのような仕様が最適なのかについて、率直に意見を交わしながら、お互いの良いところを足して形にしていきました。企画や仕様策定の段階から参画することで、ニーズをいち早くキャッチし、エンドユーザーの使用環境を熟知したシステムやカメラの設計ができるなど、車全体から部品に至るまで一気通貫で考えて設計仕様に落とし込めます。出向先で得た情報は会社に速く正確にフィードバックし、連携を図りながらの推進を心がけました。
高性能と低コストを両立
最少部品での共通プラットフォーム化に挑戦
従来の車載カメラは、顧客や用途ごとに異なる仕様、部品点数の多さによる製造・部品コストが大きな課題でした。この課題に対し、他カーメーカー様への展開も視野に入れ、別々の構造だった全周囲カメラと電子ミラー用を共通化する仕様を策定。実現のポイントは、最小限の部品構成による共通プラットフォームの開発でした。電気部品の放熱や電磁ノイズへの対策などの困難にも直面しましたが、メンバー間で粘り強くアイデアを出し続けた結果、新しい材料を用いて電波の妨害を抑止し、放熱も低減する新たな解決策を見いだしました。これにより、構造の共通化と部品の最少化を実現し、性能とコストの両立を達成したのです。その後、当社の長年にわたる納入実績や、品質・供給面での評価に加え、今回の新技術とコスト面での優位性が評価され、国内全ての主要カーメーカー様から受注を獲得。今回の成功につながったのは、関係者全員の「交通死亡事故をゼロにしたい」という強い思いと、最高の技術力で車載カメラの次代を切りひらくぞという熱意、そして仕様を共に策定したカーメーカー様からの信頼と期待があったからだと感じています。
「交通死亡事故をゼロに」
車載カメラで実現する未来
取り組むべき課題はまだまだたくさんあります。私たちが担当している車載カメラは、現在、主に自動駐車などの低中速走行時に使用されていますが、将来は、自動運転での高速走行時にも活用されるよう、課題解決に挑んでいます。さらに、夜間使用時の見えづらさといった課題に対応するために、暗い環境でも使用できる赤外域を活用した車載カメラの開発も検討しており、昼夜を問わず安全な車社会の実現に貢献しようと考えています。
パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社が掲げる「世界一の“移ごこちデザイン”カンパニー」という企業ビジョンの下、カーメーカー様と手を携えてさらなる技術革新や合理化を図り、全ての自動車に車載カメラを搭載することで、自動運転、自動駐車、周辺監視を一般化させ、目標とする「交通死亡事故をゼロにし、“移ごこち”の良い街を実現する」を達成し、お客様の「幸せの、チカラに。」なれるよう進化を続けていきます。
記事の内容は公開時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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