2024年10月10日
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2012年9月6日
製品・サービス / トピックス
パナソニック株式会社デバイス社は、スマートフォンやタブレットPC、ノートPCの本体電源回路部に最適な、当社独自パッケージPMCP(Power Mount CSP)[1]を用いた、高放熱かつ超小型、電圧損失の小さい高効率なショットキバリアダイオード(SBD)[2]を商品化しました。
スマートフォンなどのモバイル機器市場では、さらなるバッテリーの長寿命化に向けて電源利用効率を上げ消費電力を抑えるための高効率なダイオードが求められています。また、スマートフォンなどの機器の小型・薄型化のため回路基板上に部品を高密度実装する必要があり、放熱性の高い小型のダイオードが求められています。このようなニーズに対応するため、高放熱と超小型を両立した当社独自パッケージPMCP(Power Mount CSP)を用いた高効率なSBDを商品化し量産を開始します。
本製品は高放熱超小型かつ高効率な特長を活かし、本体電源回路部の他、アダプターなどの電源における一般的な整流用途に適しています。
【ショットキバリアダイオード DB2Pシリーズの特長】
1. 当社独自のPMCPパッケージ採用により高放熱で小型・低背化を実現
<放熱特性>
接合温度[3]:147℃(電流:1A、外気温:25℃時) 当社従来品※1比:28%低減 (従来品 203℃)
<製品サイズ>
実装面積:1.92mm2 当社従来品※1比:39%低減 (従来品 3.13mm2)
厚み : 0.33mm 当社従来品※1比:53%低背 (従来品 0.7mm)
パッケージサイズと放熱特性はトレードオフ関係にあります。パッケージ小型品は部品の実装密度を上げることが可能ですが、面積が小さくなるため放熱特性が悪く、部品の実装密度を下げるなどの熱分散設計が必須となります。また高放熱特性品は高密度実装が可能ですが、高放熱特性を保つためにパッケージサイズが大きくなってしまいます。そのため、結果的にどちらも部品の実装面積が増大する課題がありました。本SBDは、当社独自の最適放熱設計技術を用いて、超小型・高放熱PMCPパッケージを採用し開発しました。回路基板放熱量と気中放熱量の最適化を図ることで、小型化と放熱性のトレードオフ関係をブレイクスルーすることにより、28%※1放熱特性を向上させながら、従来比39%※1の小型化と従来比53%※1の低背化を実現しました。SBDの小型・高密度実装が可能となり、機器の電源の小型・薄型化に貢献します。
2. 業界最高クラス※2の順電圧(VF)[4]の低減
<VF特性>
0.39V(Max値、1A時)当社従来品※1比:33%低減(従来品 0.58V)
ダイオードは電圧を徐々に上げていくと、VFを超えたところで順電流(IF)[5]が流れ始めます。そのため、VFまでの電圧は損失となります。VFを低くすることで電源から供給された電圧を少ない損失で機器に供給することが可能になります。本SBDは150nmプロセスルールの加工技術[6]を用いてJBS構造[7]を形成することで、さらなる低VF化を図ることが可能となり、従来比33%※1減という業界最高クラスの低VF化を達成しました。これらにより、電源供給において電源の利用効率を向上し、機器の省電力化に貢献します。
【生産・販売計画】
・量産開始:2012年12月
・サンプル価格:数量により異なるため個別相談
・月産数量:300万個/月
【用 途】
モバイル機器の電源回路
※1 当社従来品はDB2J41100Lとの比較。本製品はDB2P40100Lとの比較
※2 2012年9月5日現在、当社調べ、ショットキバリアダイオードとして。
【用語説明】
[1]PMCP(Power Mount CSP(Chip Size Package))
リードフレームの形状などを工夫し、樹脂による封止をすることなく高放熱と超小型を両立する当社独自のパッケージです。
[2]ショットキバリアダイオード(Schottky Barrier Diodes:SBD)
ダイオードはアノード(陽極側)とカソード(陰極側)の2端子を持ち、アノードからカソードへのみ電流を流します。その中で、ショットキバリアダイオードは金属と半導体とを接合し、順方向(アノードからカソード方向)の電圧降下が低く、スイッチング速度が速いという特長を持つダイオードです。
[3]接合温度
ショットキバリアダイオードを構成する金属と半導体との接合部の温度を指します。
[4]順電圧(VF)(Voltage Forward)
ダイオードのアノード(陽極側)からカソード(陰極側)方向に電流を流したときにダイオードで降下する電圧を順電圧VFと言います。
[5]順電流(IF)(Intensity of electric current Forward)
ダイオードのアノード(陽極側)からカソード(陰極側)方向に流れる電流のことです。
[6]150nmプロセスルールの加工技術
半導体を小型に製造するために必要な技術であり、加工線幅を150nmで製造する技術のことです。
[7]JBS構造(Junction Barrier Schottky)
金属と半導体との接合部であるショットキ接合領域に、等間隔で微細なP型半導体を形成することで、ショットキ接合部で発生する逆方向漏れ電流を抑制する構造をもつダイオードのことです。
【お問合せ先】
パナソニック株式会社 デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL:06-6904-4732
ホームページURL:http://panasonic.net/id/jp/
記事の内容は発表時のものです。
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