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2014年12月24日
技術・研究開発 / トピックス
インドでは人口の約7割が水道以外の水(主に地下水)を飲用に使っています。ヒマラヤ山系の鉱脈に含まれるヒ素や、皮なめし工場から発生する六価クロム、残留農薬などの有害物質が地下に流れ込み、5000万人もの人々が健康被害に苦しむ汚染が、社会問題化しています。
パナソニックでは、顕在化する世界各地での水問題の解決のため、「光触媒水浄化技術」を新たに開発しました。「光触媒水浄化技術」とは、水中の有害物質(*)を光触媒と太陽光に含まれる紫外線によって高速処理し、安全な飲料水をつくる技術です。先日東京で開催された「エコプロダクツ2014」で初公開され、大きな注目を集めています。
*ヒ素、六価クロム、雑菌、一般有機物、難分解性有機物(医薬品、農薬、環境ホルモン)に有効
パナソニックの「光触媒水浄化技術」は、以下2つのコア技術開発により効率的に水処理することができます。
1. 「光触媒の材料合成技術」で高い分解能力を実現
紫外線が光触媒に当たると、活性酸素の働きにより有害物質が無毒化されます。しかし二酸化チタンという光触媒粒子は非常に細かく、水中に直接混ぜ込むと回収が困難です。別の物質に結合させる等の方法が採られてきましたが、活性が損なわれるのが課題でした。今回、ゼオライトという粒子の表面に二酸化チタンを結合させた、新構造の光触媒粒子を開発しました。この結果、光触媒は本来の活性を失うことがありません。また、二酸化チタンとゼオライトは静電的な引力で結合されるため、結合剤などの化学物質も不要です。
2. 「光触媒材料を分散させる水浄化技術」で高い処理速度を実現
新構造の光触媒粒子を混ぜた水をかくはんすると、二酸化チタンはゼオライトから離れ水中に分散していきます。この結果、タイルなどの表面に光触媒粒子を固定する従来の方法と比べると、反応速度が著しく上昇し、大量の水を短時間で処理することができます。かくはんを止めると二酸化チタンはゼオライトに再結合するため、容易に回収し再利用が可能となります。
■安全な飲料水の普及のために
光触媒は、駆動力が光であること、薬品は一切使わないことから、低コストで環境負荷もないのが特徴です。
パナソニックでは、例えば光触媒水浄化装置を搭載したトラックで集落を回って水を供給するほか、現地の水道事業者と提携して水処理施設の建設、企業への技術供与も考えています。インドをはじめとする新興国に普及を図るため、メンテナンス頻度やコスト低減に取り組んでいます。
<関連情報>
・[プレスリリース] 新構造の光触媒粒子による水浄化技術を開発(2013年8月5日)
http://news.panasonic.com/press/news/official.data/data.dir/2013/08/jn130805-6/jn130805-6.html
・エコプロダクツ2014:パナソニックが提案する「より良いくらし(A Better Life)」
http://panasonic.co.jp/news/topics/2014/130476.html
・[映像] エコプロダクツ2014 パナソニックブースハイライト~光触媒水浄化技術が初公開
http://youtu.be/E1Mw4BvKEEQ?t=56s (日本語字幕ONでご覧ください)
・パナソニックの技術・研究開発
http://panasonic.co.jp/company/r-and-d/
記事の内容は発表時のものです。
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