
2025年6月11日
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先般、大阪・柏原市のパナソニックサイクルテックを訪問しました。同社を担当していたのは2014年から3年弱ですので、約5年ぶりの訪問でした。
ロードバイクが私の趣味のひとつであることは以前にも書きましたが、当時の私の週末朝練コースはサイクルテック社の近くを流れる石川の河川敷〜大和川の堤防に続く南河内サイクルラインでした。また、堺の自宅から奈良の実家にロードバイクで行く時には、必ずサイクルテック社の前を通っていました。
さすがに担当する会社の近くを他社ブランドのバイクで走るわけにはいくまい…と、現在私が持っている2台のPOS(パナソニックオーダーシステム)のロードバイクのうち、チタンの機種ORT17Uは同社の担当になった直後に購入したものです(笑)。
それはさておき、5年ぶりのサイクルテック社の進化と成長には大いに感動しました。
特に、私がとても嬉しかったのは、当時の商品企画のアイデアとして発案されていた、電動アシスト自転車を楽に押し歩きできる「押し歩き機能」を国内初(※)で搭載したビビ・L・押し歩きの商品化にこぎつけてくれたことです。
歩道橋や駐輪場の出入り口など、自転車から降りて押し歩く時の負担を軽減する「押し歩き機能」は確実にニーズがあった。しかし、日本で押し歩き機能を実現するにはとても高いハードルがありました。まず、欧米と異なり日本では規制が厳しく、この企画が起案された2014年時点では搭載することは法的に不可能でした。でも、メンバーは諦めずに「いつか実現する!」と日本の自転車の使われ方に合った押し歩き機能の研究・開発を進めてくれていたのです。
その開発は困難を極めたそうです。
欧州のウォークアシストモードは、自転車に乗った状態でこぎ出しのスタートに使ったり、障害物を乗り越えたりするために使われている機能で、そもそも人が横について歩くという使い方は想定されていなかった。開発チームがイメージしていたものと全然違ったので、そこから技術的な部分を解決するのに相当な時間がかかりました。
自転車に乗っているときのアシストは、個人差はあるものの、正弦波(せいげんは)というペダリングの波形は大体決まっているので制御はしやすい。しかし、押し歩きの場合は人によって加わる負荷が全然違うため、人の押す力、引く力がそのまま制御に対するノイズになってしまう。
これらを解決するため、開発担当はもちろん、営業や企画など多くの社員に加え、ご家族の協力のもと、健康な高齢者や足腰の弱い高齢者の方々に実際に自転車を押してもらい、千差万別の押し方、万人に合わせた制御ができるよう緻密な調整を行ったそうです。
法規制の壁もあり、すぐに商品化できるものではなかったため、社内から反対意見もあった。しかし、「先を見据えた投資は、たとえ会社のお金をたくさん使わずとも、自身が信念を持って活動を続けるべき。もし、法改正されることがあれば、サイクルテックが国内自転車業界で一番に商品化できるように」と、社内で有志メンバーを集めて開発と検証をスタートし、そのときにできることを考え、準備だけはしっかりと進めてくれていた。2019年12月には規制も改訂され、2021年7月についに商品化。
起案から商品化まで約6年かかりましたが、押し歩き機能をお客様に届けたい一心で、歴代の社長にも直談判し、何とかプロジェクトを継続し、商品化にこぎつけたそうです。
この数年、サイクルテックの皆さんがまさに弛まぬカイゼンと努力を続けてきたことに本当に頭が下がりました。
現状ではできない外部要因があっても、それを打ち破って実現する。そんな皆さんの努力の積み重ねが、電動アシスト自転車の5割に迫る圧倒的な国内シェアの原動力になっているのだと思います。
いま、サイクルテック社は、「世界中の人々が青空の下へ走り出せる未来を創造します」というミッションと、「サイクルモビリティのリーディングカンパニーになる」というビジョンを掲げて力強い中長期戦略を推進しようとしています。「青空の下へ走り出せる」・・・これには地球環境への貢献への決意が込められています。
パナソニックグループの持続可能な未来に向けた環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」の目標の中には、自社サプライチェーンのカーボンニュートラル実現の中で、「通勤」に関する温室効果ガス排出が含まれます。
当社には自動車通勤をしているメンバーも多いですが、電動アシスト自転車で通勤できる距離で、かつ雨の降っていない日はぜひ積極的に電動アシスト自転車での通勤をしてもらえたら、これもまたGREEN IMPACTの目標達成の加速に繋がると考えています。
自転車通勤は、夏は暑く冬は寒いですが、これはダイレクトに季節を感じることでもあります。世界でも数少ない四季がある国で、季節、香り、風を感じながら通勤することはメンタルにも良いと思いますし、毎日有酸素運動することで健康増進にも繋がります。
「自転車は疲れる」とお考えの皆さんも、ぜひ最寄りのお店で最新の電動アシスト自転車の性能を実体験されてみてはいかがでしょうか。
※本記事は「楠見 雄規@パナソニック|note」からの転載です。
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。