
2025年6月11日
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突然ですが、皆さんは「テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機」におけるリサイクル率(再商品化率)ってどのくらいだと思われますか?
経済産業省の発表によると、令和2年度における廃家電4品目の再商品化率は、エアコン:92%(法定基準80%)、ブラウン管式テレビ:72%(同55%)、液晶・プラズマ式テレビ:85%(同74%)、冷蔵庫・冷凍庫:81%(同70%)、洗濯機・衣類乾燥機:92%(同82%)で、法定基準を上回る再商品化率が達成されました。
リサイクル率(再商品化率): 新しい製品の材料や原料として再利用できた割合
一見、役目を終えたかのように見える家電、実はそこにはまだまだ使える資源=“宝物”が残されています。
今年は6月下旬から早々に各地で猛烈な酷暑が訪れていますが、そこで大活躍しているエアコンも、その役目を終えた後、「次の商品」に生まれ変わっていきます。これから紹介するパナソニックエコテクノロジーセンターでは95%という高いリサイクル率で、貴重な資源を高純度に取り出し、リサイクル素材として新しい役目を与えられるのです。
パナソニックエコテクノロジーセンター(以下、PETEC)は兵庫県加東市にあります。
ここは2000年4月4日に設立され、2001年4月1日の家電リサイクル法の本格施行に合わせて事業を開始した、パナソニックグループの家電リサイクル事業のフラッグシップ工場です。
ここでは、マテリアルリサイクルを使命とし、まだまだ使える資源=“宝物”を先進の技術で選別。大切に取り出す「トレジャーハンティング(宝探し)」を合言葉に、循環型社会の実現を目指し、操業を開始して以来、2022年3月末までにリサイクルした家電製品の数は約1,730万台にのぼります。
運び込まれるのは当社製品のみならず他社製品も含めたエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ。解体した後、様々な技術・方法で、金属であれば鉄・銅・アルミに、樹脂であればPP(ポリプロピレン)・PS(ポリスチレン)・ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)に選別して再生材料として出荷しています。
この樹脂の分別の技術では、2015年10月に資源循環技術・システム表彰の経済産業大臣賞を受賞しており、その折には私も表彰式に出席させていただいたので、懐かしい拠点です。
さらに、2021年にも、今度は「家電リサイクル樹脂の循環型サプライチェーン構築」でこの経済産業大臣賞を受賞しています。循環型経済に対する早くからの先進的な取り組みをどんどん進化させており、パナソニックグループが誇るべき拠点であると思っています。
切断装置で細かく解体された室内機から必要なパーツを丁寧に人の手で選別
最近、改めてPETECを訪問し、工程を詳しく見せてもらいましたが、2015年当時に比べて、解体の方法においても、従来は完全に人手で解体していた工程を、エアコンの室内機や薄型テレビでは、まず機械で切断することで人手による作業を大幅に効率化したり、解体した部品をロボットでピッキングするなど、その着実な進化に感心しました。
同時に、改めて私たちが資源循環を進める上では、製品設計段階からの取り組みが極めて重要であると気づかされました。
まず、再生材の活用を進めるためには使いこなしと同時にバージン材(新品の材料)よりも安価でなければなりません。そのためには、解体・分別にかかるコストを抑える必要があります。まずは、解体しやすく、解体に時間がかからない機構でなければなりません。解体に時間がかからないということは、それだけ構造がシンプルで、当然、組立にも時間がかからないわけですから製品としてもコストダウンが図れるわけで、一石二鳥のはずです。
ネジの本数の1本、ネジの位置に起因する人の動作やワークの持ち替えにこだわって設計するのは、基本中の基本ですが、それが資源循環にとっても大切であるというわけです。
また、使いこなしという観点では、再生材の供給は不安定ですから、再生材でもバージン材でも成型できるように金型設計時に配慮しておくことで、再生材がある限りにおいては再生材を使って生産することもできます。
資源循環を前提とした「環境配慮設計」(注)は、今こそ、全ての製品の設計時に配慮すべき事項と考えています。
(注)[参考] 家製協「家電製品 製品アセスメントマニュアル」に記された環境配慮設計の15項目。太字が循環型経済に深く関わる項目
今後の取り組みにも、ぜひご注目ください。
PETECはリアルな工場見学も可能です。また、Webサイトでは、バーチャル工場見学も開催中ですのでよろしければぜひ覗いてみてください。
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※本記事は「楠見 雄規@パナソニック|note」からの転載です。
記事の内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。