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画像:業界初、気体状次亜塩素酸が、付着した百日咳菌を99%以上抑制

2025年10月31日

技術・研究開発 / プレスリリース

約25 m3(約6畳)の空間で効果を確認

業界初※1、気体状次亜塩素酸が、付着した百日咳菌を99%以上抑制※2

パナソニック株式会社 空質空調社は、業界で初めて(※1)、次亜塩素酸水溶液(※3)から揮発した有効塩素成分である気体状次亜塩素酸が、約25 m3(約6畳)の空間で、付着した百日咳菌に対して、4時間で99%以上の抑制効果が得られることを確認しました(※2)

百日咳菌を原因とする百日咳は、けいれん性の咳発作を特徴とする感染力が強い急性気道感染症です。特に乳児が感染した場合に重症化することがあり注意が必要ですが、近年は10代の感染者の割合が多くなっている傾向が顕著(※4)で、乳幼児の接触が多い家庭や保育施設だけでなく、10代が多く活動する学校などの人が密集する空間での感染拡大が懸念されています。2025年は、百日咳、新型コロナウイルス感染症、リンゴ病(伝染性紅斑)、はしか(麻しん)が同時に流行し、「クワトロ感染症」という言葉が生み出されるほどに社会的注目を集めました。

次亜塩素酸水溶液は、食塩水を電気分解することで生成され、除菌、脱臭に高い効果があります。当社は1987年にカップ式自動販売機の衛生保持システムとして次亜塩素酸水溶液を採用して以来(※5)、約40年にわたって次亜塩素酸技術を研究してきました。次亜塩素酸水溶液を用いた当社の検証は、揮発した「気体状次亜塩素酸」が自己分解しにくく遠くまで拡散する特長を持つことから(※6)、基礎的な研究であっても、空気清浄機などの性能評価に用いられる「日本電機工業会規格(JEM1467)」に準じた約25 m3(約6畳)の空間で実施。これまでに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株、イヌパルボウイルス、麻疹ウイルスなどの抑制効果を確認してきました。今回、百日咳菌への効果を確認できたことで、クワトロ感染症の原因となる全4種の菌・ウイルスが付着した状態に対して、気体状次亜塩素酸の抑制効果を期待できます(※7)

パナソニック株式会社 空質空調社は安全で安心な空間の提供を通じた社会への貢献を目指し、今後も次亜塩素酸技術を進化させるとともに、その可能性を追求し続けていきます。

※1 国内の空気浄化、空調業界において。2025年10月31日現在、当社調べ。
※2 今回の検証は、基礎的な研究であり、次亜塩素酸水溶液を搭載した製品での効果検証ではありません。
※3 食塩水を電気分解して得られる水溶液。
※4 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「百日咳の発生状況について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/whooping_cough.html
※5 三洋電機時代の歴史も含む。
※6 気体状次亜塩素酸の量が半分になる時間(半減期)は50時間以上(当社調べ)で、同じく除菌、脱臭に効果があるオゾンの約20時間の2.5倍以上。出典 サンユー書房「オゾン利用浄化技術の実際」
※7 イヌパルボウイルスはリンゴ病の原因であるヒトパルボウイルスの代替ウイルス。出典:WHO Technical Report, Series No. 924 Annex 4, 2004

■次亜塩素酸とは?

「次亜塩素酸」は、除菌手段として歴史が深く、実績のある物質で、身近な水道水の塩素消毒としても用いられています。強力な酸化剤の一種で、菌やニオイから電子を奪い働きを抑制(酸化)することで除菌・脱臭を行います。次亜塩素酸分子(HOCl)のうち、Cl+が他の物質から電子を奪うことで強力な酸化分解力を発揮します(図1)。次亜塩素酸水溶液は食塩水を電気分解することで生成します(図2)。生成した水溶液から揮発した気体状次亜塩素酸の量が半分になる時間(半減期)は実に50時間以上、自己分解しにくい特性があり、遠くまで拡散することができます。

図1 次亜塩素酸の作用

図2 次亜塩素酸水溶液の生成方法

※ご参考:パナソニック次亜塩素酸ラボサイト(https://panasonic.co.jp/hvac/pes/technology/hocl/

■検証の詳細

●検証機関・・・パナソニック株式会社 空質空調社
●試験機関・・・一般財団法人 北里環境科学センター
●検証装置・・・回転式フィルタに約100 mg/Lの次亜塩素酸水溶液を染み込ませ、一定の風(3.8 m3/min)をあてて気体状次亜塩素酸を揮発させました。
●検証方法
・暴露時間・・・0~12時間
・試験空間
暴露・・・約25 m3(約6畳)、換気無、検証装置有
非暴露(自然減衰)・・・約25 m3(約6畳)、換気無、検証装置無

・百日咳菌の設置
暴露・・・シャーレに百日咳菌が入った液を所定量(2 μL×5か所:計10 μL)滴下し、安全キャビネット内で約60分間乾燥させたものを百日咳菌を付着させた試料として、検証装置から1.5 m離れたところに設置(高さ:床上から1.2 m)しました。
非暴露・・・百日咳菌を付着させた試料を約25 m3(約6畳)試験室内に設置しました。

・暴露方法・・・検証装置を運転する事で行いました。
・百日咳菌の測定
所定時間作用毎にシャーレを回収し、シャーレの洗い出し液を試料原液として、滅菌生理食塩液で10段階希釈を作製しました。その試料原液または希釈液の各0.1 mLを羊血液寒天培地に塗布しました。これらの培地を37±2℃で7日間培養しました。培養後、発育した集落を数え、シャーレ1枚あたりの付着菌数を求めました。

●検証結果・・・百日咳菌に対し、4時間で99%以上の抑制効果を確認しました。(図3)

図3 時間経過ごとの付着百日咳菌数

画像:25 m3試験空間の外観(平面図・側面図)

■次亜塩素酸の除菌効果 主な検証内容

(黄色ハイライトはクワトロ感染症に関するもの)

画像:次亜塩素酸の除菌効果 主な検証内容

記事の内容は発表時のものです。
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パナソニック株式会社
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業界初、気体状次亜塩素酸が、付着した百日咳菌を99%以上抑制
次亜塩素酸の作用
次亜塩素酸水溶液の生成方法

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